目覚め
女に追われながら錬は大学院に向かって走った。
いや、そこに向かわされたといった方が正しいのかもしない。
周りの道がいきなり霧のような靄がかかり、通れなくなったのだ。
道は化け物がいるので引き返すことも出来ず、ひたすら前に走ると大学院に着いたのだ。
「おい、これは夢だろ、どうしてこんな事になるんだよ。」
錬自身夢はご都合主義だと思っているためイラついていた。
化け物は大学院に入ると同時に姿が消えどこかに行ってしまったため、錬は腰を下ろし座る。
普段とは違い静かな大学院で座っていると突然建物が崩れ出した。
「え、おかしいだろ。夢なんだから僕の思った通りにさせてくれよ。」
錬が両手で瓦礫から身を守ろうとすると意識が薄れていく。
「っは」
錬は目を開けると数日前に来たペンションの自室だった。
隣のベットではフィーネがスヤスヤと寝ている。
錬は頭を抱えながらベットから起き上がる。
カーテンを開け外を見ると朝日が昇って来るところだった。
時間は四時くらいだと思いながらも錬は着替えだす。
今日一緒に行くのはリアとキュラだったので二人の部屋に向かう。
「お~い~、リア起きてるか~」
扉をコンコンとノックするが返事が無い。
四時に起きるのはかなり苦痛だろう。
普通なら五時半でも間に合うのだ。
錬は一度扉から離れキュラの部屋の向かう。
すると、台所から調理をする音が聞こえてくる。
錬はそっと覗き込むとキュラが料理をしていたのだ。
「おはよう、キュラ。」
「おはようございます、錬さん早いですね。」
「そのセリフは僕の方ですよ。どうしてこんな朝早くに。」
「今日は仕事に行くので準備を整えないと足手まといになってしますからね。」
そう言って出来上がった料理をさらに盛り付けて行く。
料理は三人分用意されており、キュラの優しさが染み渡る。
錬は盛り付けられた皿を食卓に運ぶ。
「そう言えばリアさんはまだ起きていないんですね。」
「まぁ、五時半に起きれば間に合うから、まだ寝かしていても大丈夫じゃないですか。」
「それは男の子だけですよ。起こしてきますね。」
キュラは朝食に全く手を付けず起こしていった。
錬はその状況を片目で見ながら手を合わし黙々と朝食を頬張った。