リアの信頼
錬はペンションに戻る最中にリアの買い物に付き合う。
他の皆は先に戻ってしまったのだが、今日はリアが夕食の当番なので買い物をしているのだ。
錬は荷物持ちに名乗り出てついてきたのだ。
リアは断ろうとしたのだが錬がどうしてもと言ってきたのでリアが先におれてしまったのだ。
「どうしてそんなに荷物持ちしたかったの。」
「え、特に荷物持ちをしたくて来たわけじゃないよ。」
「でも、荷物持ちをしたくて来たんじゃないの。」
「まぁ、分かってくれていない方がいいけど。」
錬がそうつぶやくがリアは聞いていなかったのか首を傾げる。
「何か言った。」
「別に。」
「そう、じゃあ早く食材買って帰ろう。」
「分かったよ。」
リアは何を作るのか悩みながら食材を手にする。
野菜などを何個か手に取りながら品質を見極めている。
その風景を見ていると、錬は母さんの事を思い出してしまった。
(そう言えば、昔はよく一緒に買い物しに行ってたなぁ。お菓子を買ってもらうためとは言え、良くついて行ったものだ。今では絶対に行けないな。ハハハ)
錬がそんな事を思いながらリアの買い物姿を見ているとも知らず、リアは黙々と食材を選んでいく。
「今日のメニューはどうするんだ。」
「そうだね、唐揚げと秋刀魚の塩焼きなんてどう。」
「いいと思うよ。」
いきなり、和食が出てきて正直錬は驚いていた。
(この世界に来てまさか秋刀魚の塩焼きという言葉を聞くとは思っていなかった。)
錬は買い物を終えたリアの荷物を持ちながら帰る。
「そう言えば、主食はどうするんだ。」
ペンションには米もなければパンもない。
秋刀魚をパンと食べるのはどうかと思うがないよりはましだろう。
「ペンションにお米あったよ。」
「え、今日の朝探した時には何もなかったけど。」
「お米は私とメリアの部屋にあるの。」
「どうして、持ち込んだんだ。」
「持ち込んだわけじゃなよ。クローゼットの奥にあったの。」
「それを食べるのか。」
錬が怪訝な顔をするとリアは胸を張って答える。
「もちろん、食べるよ。それに私食べて大丈夫か確かめたから。」
リアがずっとピンピンしていたことは知っているので大丈夫という事だろう。
錬は少し不安に思いながら本当に大丈夫なことを願いながらペンションに戻った。