聞けよ!!
錬はおじいさんの顔をまじまじと見つめる。
おじいさんも錬の顔をしっかりと見つめる。
錬がいきなり怒鳴ったせいもあり、おじいさんは黙ってしまったのだ。
錬がゆっくりと口を開く。
「怒鳴ってすいませんでした。どうしてデュマリオさんがお坊ちゃまって何ですか。」
「話は長くなるのですが、よろしいですか。」
おじいさんはゆっくりと語りだそうとすると、三屋が先に口を開ける。
「そう言うからにはめちゃくちゃ長いんだろう。俺は興味ないから。」
そう言って出て行ってしまった。
おじいさんも呆気にとられている。
錬たちも唖然としている。
それと一緒に外の風景が目に入る。
ここまでに来るまで時間が掛かったのだが、まさか夕方になっているとは思いもしなかった。
三屋は気づいていたので帰ったのだろう。
「すいません、おじいさん。僕たちも帰らないといけません。」
「え、でもこれから・・・」
おじいさんが何か言いたげだったが全員が帰る準備を始める。
「明日から僕たちが手伝いに来ますのでその時に教えてください。」
錬はそう言って頭を下げる。
そのまま店から出て行き先に帰りだした皆を追いかけだした。
「普通は聞くところですぞ。」
悲しそうに呟くおじいさんはクルリと後ろを向き店の奥に入っていった。