朝食作りへ
錬は目覚めると六時をまわっていた。
もし、今日働きに行く予定なら確実に遅刻だろう。
せめて、五時半に起きなければ朝飯を食べることが出来ない。
まぁ、つまり朝食を食べなければこの時間でも間に合うという事だ。
ベットから起き周りを見ると、ティオが床に寝そべっていた。
錬はフィーネとティオを起こさないようにマグカップを二つ持ち、台所に向かう。
この時間では誰も起きていない事は分かっているのでゆっくりと台所に向かう。
少し、地面はきしむだけでそこまで音はたてていないつもりなのだが、リェルが目をこすりながら出てきた。
「どうしたのですか、錬さん。今日は特に予定がなかったのでは。」
「いや、遅い方ですよ。あとで皆に紹介したいものがいるので居間に集まってもらっていいですか。」
「ええ、いいですよ。では、皆さんを起こしに行きますね。」
「いえ、まだ大丈夫ですよ。朝食を僕が用意してからで。」
「そうですか、では私も手伝います。」
「あ、ありがとうございます。」
意外に手伝ってもらえることになり、一瞬戸惑ったがすぐに了承した。
リェルはキュラを起こさないように着替え、錬の待つ廊下に出る。
「すいません、お待たせして。」
「いいや、大丈夫ですよ。」
二人は特に話す話題が無く無言が続く。
気まずい雰囲気が流れ、錬は話しかける。
「あ、あの・・・」
「無理しね、すいません、間違えました。無理に話しかけなくていいですよ。」
「なに、どう間違えたら、そうなるんですか。」
「いや、考え事をしていて。」
「何を考えていたらそうなるんですか。」
「いや、それは・・・」
リェルは顔を赤らめ、もじもじしてしまう。
錬はそこから特に何も追及することなく台所まで無言で歩いた。
その間、錬は身を震わせながら歩いた。