三屋への挑戦②
霧が晴れると大きな氷の塊が見えるがその中には三屋の姿はない。
「やっぱり無理か。」
錬は燃え上がっている腕を後ろに振りかざす。
すると、三屋の黒刀と当たる。
錬はすぐに距離をとろうとするが黒刀の形が変わり腕を掴まれる。
形状は明らかに刀とはかけ離れた形をしている。
黒刀は黒鞭になっていた。
「クッソ」
錬は腕を無理やり自らの体に寄せるがすぐに三屋の方向へ持っていかれる。
「よくもやりやがったな。」
三屋は口元を吊り上げながら笑う。
錬はなすすべなく三屋の方へジワリジワリと引っ張られる。
このままではダメだと思った錬は抵抗しながらも思考を巡らす。
錬は何かを呟き地面を蹴る。
「くらえ~」
錬は全身の炎を右腕に集中させる。
そして、拳を握ると手から大量の炎が噴き出す。
その炎が三屋を取り巻く。
かなりの熱さなのか三屋は鞭で錬を吹っ飛ばした。
「ック」
錬は地面を転がる。
三屋は自分の体にまとわりつく炎が消えず動けないでいた。
「何をした。」
「それ、炎だと思ったでしょ。」
「ち、違うのか。」
「炎魔法と束縛魔法の合成魔法です。」
「だが、ここまで維持し続けるのは精神力が高くないと不可能だ、お前は弱かったはず。」
「それは、前のダンジョンまでだ。僕は成長したんだ。」
そういって、錬詠唱を始める。
一方三屋はどうすることも出来ず、黒刀をいじっている。