メリアのゲーム事情
少し気まずくなりながらも二人はペンション内に入る。
「ただいま。」
錬は玄関から入るといつも通り小声でただいまを言う。
もちろん返事はなくすぐに居間に行く。
そこにはフィーネとメリアがいるだけで他の人はいなかった。
意外にもフィーネとメリアは二人で遊んでいて驚いた。
フィーネが拒むと錬は考えていたのだ。
だがどうして二人なのだろう。
「メリア、他の皆は。」
「錬兄ちゃん、まだお姉ちゃんたちは帰って来てないよ。」
「え、そうなんだ。でも、どうしてキュラさんがいるの。」
「私たちの面倒を見てくれてたの。」
「そうだったのか。」
昨日の事もあり皆は意外にもいろんな事を考えていたらしい。
「私は晩御飯作ってきますので自由に待っていてください。」
キュラがそう言うと台所に消えてしまった。
「ところで、メリアたちは何をしていたんだ。」
「私たちは術式の模造戦略ゲームをしていたの。」
「で、どちっちが勝ったんだ。」
「私が五勝で全勝したの。」
ニコッとメリアが錬に微笑む。
その笑顔を真意に受け止めフィーネを見る。
すると、下手な口笛で誤魔化して来る。
「フィーネ、元女神だよな。」
「そうですが。」
「手、抜いたのか。」
「も、もちろんじゃないですか。」
フィーネはそう言っているが完璧に目が泳いでいる。
「メリアはこのゲームが上手いんだな。」
「私は一人でこのゲームをして、ほとんど一人二役でやっていたから考えるのが得意なんだ。」
多分だが、これは前の街でやっていたのだろう。
申し訳なく思いながらも「凄いな。」と褒めておく。
そんな事をしていると玄関が開く音がした。
「ただいま。」
リアの声が響きその後ろからも複数名の足音が聞こえる。
「帰ってきたな。」
「お出迎えしてくる。」
そう言ってメリアが駆けて行くのを見て微笑ましく思っていると、台所の方からいい匂いが鼻をくすぐって来る。