帰り道初日
その後、特にデュマリオと話すことが出来ず、言いたいことが言えなかった。
自分で作った店のはずなのに、かなり儲かる店が出来ると捨ててしまう事が錬には許せなかった。
そんな事を思いつつ仕事を終えペンションに向かう。
朝とは違いゆっくりと歩いて街並みを見て帰る。
西洋を感じる建物やメカメカしい建物が存在している。
錬は入ってみたいのだがかなりの時間まで働いていたので、帰るのが遅すぎると怒られてしまうのでグッとこらえる。
そして、ペンションに向かい歩いていると、青果屋や花屋など一般的な生活に使う店の並びの道を通る。
朝は何もなかった道なのだが夕方にこんなにも盛んになっている事に驚きつつ錬は通る。
すると、その道にキュラがいた。
錬が近づいて行くとキュラも錬に手を振って来る。
「どうしたんですか。ペンションへは遠回りですけど。」
「遠回りだったんですか。知りませんでした。」
「私、一人でこの街を探検していたんですよ。」
キュラの特徴の細い目でニコリと微笑んでくる。
「見た目に反して意外に幼いですね。」
「そうですかね。私って昔から変わらないんですよね。」
「そうなんですね。リュラさんにおもりされていたんですか。」
「いいえ、昔は私がおもりをする役目だったんですよ。フフフ」
昔を思い出しキュラは楽しそうに笑う。
「もしかして、探検のついでに今日の当番の食材買っているんですか。」
「そうなんですよ。時間の使い方上手いでしょう。」
常に楽しそうに話すキュラと話していると錬の心は癒される。
もう、デュマリオの件は頭からなくなっており楽しくキュラと話す。
「早いところ帰りましょう。また、三屋が騒ぎ出しますよ。」
「そうですね。錬さん、近道教えてあげますよ。」
「本当ですか。ありがとうございます。」
錬はキュラについて行き帰ることにした。