指導開始
錬は一度ティオとの会話を中断し着替えだす。
デュマリオには六時半までには来て欲しいと言われていたので、急ぎだす。
飯は昨日ガルディナに買ってきてもらっていたパンを一つくわえ、もう一つを手に持って走り出す。
着替え終わったときにティオに静かにしているようにと言ったので大丈夫だと思うが心配だ。
ガルディナはティオを知っているが見た目が明らかに違うものに変わっているので分からないだろう。
ペンションで変なことが起こらないことを願いつつ、メモを見ながら錬は走る。
メモには一日目は一人で大丈夫だと書かれていた。
それに、メモの裏に場所が書かれている地図を見るとかなり街中に店がある事が分かった。
小走りで走っていると早朝のためあまり誰とも合わない。
時折会うのは健康に気を使って散歩をしているおじいちゃんくらいだ。
とくに、美少女と角でぶつかることもなく安全を感じながら店の前に着いた。
「失礼します。」
見た目が凄く美しく店のオーラさえ感じてしまうほどの店の扉を開ける。
「おぉ、来たか。」
「すいません、遅れましたか。」
「全く大丈夫だ。でも、もう少し早い方がいいかな。」
「そ、そうですよね。」
錬はそう言うと同時に時計を見る。
時間は六時十分だったが色々な準備をする上では遅かったのだろう。
「じゃあ仕事の流れを説明するぞ。」
そう言って、デュマリオからの指導が始まった。