デュマリオとの契約
キュラが発表した方針に誰も文句は言わなかった。
いや、言えなかったのかもしれない。
なぜなら、錬たちは錬がやらかしたせいで頷くことしかできず、キュラたちは三屋を押さえつけ黙らしていたからだ。
八人の後ろでデュマリオが腕を組み立っていた。
その表情は無表情だった。
デュマリオの表情を見たガルディナは顔を引きつらせた。
かなりの要求のはずだったのにもかかわらずだ。
ガルディナはもう一度、キュラたちのやり取りを思い出す。
「では、私たちとデュマリオさんで決めたことを発表します。」
「どうするんですか。」
錬がキュラの言葉にすぐに反応し返事をする。
その反応に寝ていた三屋とフィーネが起き上がる。
「どうしたんだ。」
眠たそうに目をこすりながら三屋が聞いてくる。
「まぁ、聞いていて下さい。」
キュラがあしらうが誰もその事に触れない。
三屋も寝ぼけているのかいつものようには怒らない。
「早く言ってもらっていいですか。」
なぜかリアがキュラに噛みついているのか、ガルディナには分からなかったが触れない方がいいだろうとさっとリアから視線をそらした。
「すいません、では言いますね。今後、錬さんがデュマリオさんの店を手伝う事は確定なのですが、さらに残りの七人から二人毎日手伝う事にしました。」
「どうしてですか。僕一人だと不安だという事ですが。」
錬が自分の事を信じてくれないのかという風に怪訝そうな顔をしている。
「そういう事ではありません。デュマリオさんの店を手伝い自分たちの生計を立てさせてもらう事になったんです。それに残りの五人でデュマリオさんの店にほぼ無償でアイテムを集めることが決定したので。」
完全に眠気から覚めた三屋とフィーネが騒ぎ出した。
「どうして、俺がしなくちゃいけないんだ。」
「私も嫌なのですが・・・・」
「えっ」
キュラが二人に向かって微笑む。
笑顔ではない、明らかに悪魔の微笑みだった。
そんなことがあり文句を言うまでもなく話がまとまってしまった。
それでも、やはり無償でアイテムを謙譲は酷いものだ。
アイテムを街の外に取りに行くのだからリスクが高いのだがなとガルディナは思っていた。
そんな事を言うまでの無く皆が皆、賛成をしてしまった。
八人はデュマリオに連れられてこの家から移動を始めた。