震えの停止
五人が戻ると錬が目覚めていた。
錬はガルディナに何かを言われて頷いてた。
「分かったか、錬。落ち着くんだ。お前は誰も殺していない。夢を見たんだ。」
「そうだったのか。」
「そうだったんだよ。」
まるで自己暗示にかけるように落ち着かせていた。
錬もガルディナの言葉を必死の飲み込んでいた。
嫌な現実から逃げているようにしか見えなかったが。
その横でフィーネと三屋が爆睡していた。
二人にとっては関係ないことなのだがここまで割り切れるとは思いもしなかった。
それにフィーネはまだ子供なのにこんな性格で世の中を渡れるのか疑問だ。
リアがそう思いながら錬の所に行く。
「錬、何話してたの。」
「僕は夢で首を取る夢を見たんだ。」
「え~、そんなことがあったんだ。」
リアは適当に頷いておく。
錬は何か目が虚ろのような目をしているような気がするが、まぁいいだろ。
そして錬と少し話ているとメリアたちとまたお茶を入れてデュマリオが帰ってきた。
錬は震え出したがなにも叫ばない。
「なぁ、ガルディナ。僕が夢で首を取った男に似ているんだが。」
「夢は夢だ。気にするな。」
「そ、そうだよな。」
錬の震えは未だに止まらない。
「やぁ、起きたか少年。」
「え、どういうことです。」
「君は水魔法を暴走させて気を失ったんだ。」
「そうだったんですか。ありがとうございます。」
錬は丁寧に頭を下げる。
もう、震えは止まっていた。