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 お……終わったか!? と思ったが、リンは素早いヘッドスプリングで起き上がった。


「……ま……まだまだっ……!」


 歯をくいしばり、なおも構えをとる。


 しかしダメージは甚大だったようで、フラフラだ。

 真っ白だったブラウスは、文字どおり暴行を受けた後のように汚れている。


「そうこなくてはな……まだ肉料理が残っている」


 リッコは屈伸をするよに、しゃがみから立ち上がると、軽やかなステップを踏む。


「あんなクズ肉とは違う……最高級の肉がな……!」


 「あんなクズ肉」のところで一瞥され、俺は総毛立つ思いがした。


 だ……ダメだ! このまま戦わせるわけにはいかねぇ!

 立っているものやっとのリンと、ノーダメージのリッコ。

 もう勝負は決まったようなもんじゃねぇか……!


 俺はまだいい。

 何をされたところでスクールカースト最下位だから、扱いの悪いさはたいして変わらねぇ。


 でもリンは……アイツは違う。勇気を振り絞って女になったんだ。

 今はうまいことやってるようだが、危ういバランスの上に成り立っているのは間違いねぇ。


 アイツはいつも元気いっぱいで、へこたれないように見えるけど……本当は繊細なんだ。

 ガキの頃からの付き合いで、知ってる……!

 俺みたいに惨めな思いに耐えられるヤツじゃねぇっ……!


「お、おい、リン! もうやめろ!

 コイツはとんでもねぇサディストだ! 何されるかわからねぇ!

 俺なんて、フルチンにされちまったんだぞ! 取り返しがつかなくなる前に逃げろ!」


 しかし、リンは俺の言葉を振り払うかのように、頭をブンブンと左右に振った。


「ぼ……ボクは……絶対に逃げない!

 小学生のころ、ボクがピンチのとき……いつも三十郎が駆けつけてくれて、助けてくれたよね……だから今度はボクが、三十郎を助けるんだっ!」


 いじめっ子に反旗を翻したような面持ちのリン。自分を鼓舞するように叫ぶ。


「引っ込み思案だったボクのことを、相棒だって言って一緒に遊んでくれたよね……。

 手を引っ張って、遊びの輪に入れてくれたよね……。

 強引だったけど、それがボク、すっごく嬉しかった……。

 だからボクは、強くなって……本当の意味で、三十郎を助ける相棒になりたかったんだ!」


 俺は絶句した。リンがそんな想いでいただなんて……!


 こうなったら、フルチン姿を全校生徒に見られようが、世界配信されようが、構わねえ……!

 リンを助太刀するぞ……どんな汚ねぇ手を使ってでも……アイツをブッ倒す……!!


 俺は不死鳥のように立ち上がろうとしたが……バッ、と手で止められちまった。


「三十郎は手を出さないで!

 これは、ボクの戦い……! ボクがひとりでやらなくちゃ、意味がないんだ!

 さあこいっ! ボクは負けないぞぉ!

 ボクの願いを叶えてくれた三十郎の願いを、今度はボクが叶えるんだっ!

 三十郎のハーレムを、作る……! 絶対にハーレムを作るんだっ!」


 ……俺の頭には、テュリスの言葉がこだましていた。


『ホンモノの恋愛っちゅうのはな、相手と一緒になにかを成し遂げて、相手と一緒に歩いて行くということなんや』


 これが……これが……もしかして……恋……愛……!?


 ひたすら燃え上がるリン。恋愛の片鱗を垣間見た俺。

 リッコはため息とともに、呆れたように肩を上下させていた。


「ああ……やれやれ……華一はかなりの重症のようだな……!

 三十郎というクズ肉のハーレムの妄想に、等しく取り憑かれている……!

 ならん! ならんぞぉ! ボクっ子は、性に臆病でならなくてはならぬ……!

 『ボク、男の子だよ? それでもいいの?』の精神を、失ってはならぬのだ……!」


 ……コイツ、何言うてんの? せっかくいいところやったのに、台無しやん……!

 つい、テュリスのマネをしちまった。


「もはや、物理的に去勢してやるしかなさそうだ……!

 リー先生直伝の踏みつけで、股間を踏み抜いてやる……!

 名実ともに、女子部へようこそ……!」


 怖気(おぞけ)がするような嫌らしい顔で、舌なめずりをするリッコ。

 気丈に構えていたリンだったが、これにはさすがに身体をブルッと震わせていた。


 しかし……二度の戦いを通じて、だいぶ敵のことが理解できたような気がする。


 間違いなく言えるのは……ヤツはかなり、入り組んだ性癖をしているということ……!

 女装男子であるリンに入れ込んでいるうえに、俺を脱がしたときの女みたいな反応に喜んだ……!


 とんでもない変態……! とんでもないどS……!

 そして……女みたいな男好き……!?


 俺は、萎縮してしまったリンを勇気づけるために声をかける。

 戦いのなかで俺が見出した、一発逆転の秘策を伝えるために……!

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