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蒼界武侠竜銘伝(そうかいぶきょうりゅうめいでん) 作者:桜ジンタ
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218 竜気迸發で、武闘殭屍の方を薙ぎ払わないと、限(きり)が無いって!

 右掌が青い光を放ち始めたかと思うと、青く光り輝く渦巻く竜飛気の暴風を、政宗の右掌が放ち始める。
 政宗は蒼渦竜飇を使い、自分達に当たりそうな掌力だけを、大雑把に薙ぎ払う。

 だが、薙ぎ払っても次々と、武闘殭屍達からの掌力は押し寄せて来る。
 政宗は蒼渦竜飇を連射し、薙ぎ払い続けるのだが、きりが無い状況だ。

「竜気迸發で、武闘殭屍の方を薙ぎ払わないと、きりが無いって!」

 そう言いながら、沙門は剛竜功に切り替えた上で、政宗を右腕で抱き寄せると、背を撫でながら命じる。

「滅絶竜姫政宗、刀形!」

 沙門の腕の中で、青い光に包まれながら、政宗は扶桑刀としての姿に変わる。
 光はすぐに、消え失せてしまい、刀形となった政宗だけが残される。

 政宗の黒い鞘を左手で、柄を右手で握り、沙門は一気に鞘を引き抜く。
 鞘は青い光に包まれたかと思うと、光と共に姿を消してしまう。

 白銀色に輝く政宗を頭上に掲げると、沙門は斜上架刀しゃじょうかとうの構えを取る。
 莱拉が行った斜上架刀と、基本的には同じなのだが、長柄の大刀である莱拉と違い、政宗は柄は短いので、左手は刀尖に近い刀背に添えるだけだ。

 攻防一体の斜上架刀の構えを取った上で、沙門は政宗に声をかける。

「邪魔な武闘殭屍連中、一掃するぞ!」

 沙門が言葉を発するのと同時に、政宗は刀身から月白色の竜気を放出し始める。
 氷結竜気の、竜気纏繞を開始したのだ。

 幾つもの掌力が、沙門達に襲い掛かって来るのだが、政宗が放出する氷結竜気に打ち消され、その殆どは沙門にまでは届かない。
 沙門が斜上架刀の構えを取ったのは、今回は十分に竜気纏繞を行うつもりだったので、前方のあらゆる方向から飛来する掌力を、政宗が放出する氷結竜気で打ち消す為だった。

 防御向きの剛竜気でなくとも、前方や上方に対する防御力が高い、斜上架刀の構えで竜気纏繞を行えば、遠距離から飛来する掌力の殆どは、膨大に放出される氷結竜気の盾で防げてしまう。
 僅かに届く掌力もあるのだが、剛竜功を発動中の沙門の剛竜気を、僅かに削れるだけである。

 十秒程……竜気纏繞を行い、夜中なのに昼間の様な明るさになる程、膨大な氷結竜気を纏った時点で、沙門は斜上架刀の構えを解き、右腕を右後ろに向けて、政宗の刀身を寝かせる。
 そして、鋭い声で指示を出しつつ、無数の殭屍達が蠢く正面方向に刃を向け、撫で斬る様に一気に政宗を振る。

「放てっ!」

 水平に正面を斬る刀法……斬刀ざんとうにより、正面方向に放たれた膨大な氷結竜気は、砍刀で放つ場合よりも、かなり角度が広い扇状に拡散する。
 代わりに、射程が犠牲になるのだが、今回は十分に溜めた上での竜気迸發なので、防御力が低い武闘殭屍を仕留められる程度の威力を維持したまま、一里を余裕で越える距離まで届く(一里は四百五十メートル)。

 東側と同様、西側の川原の幅も一里程度。
 射程よりも攻撃範囲の広さを優先した、今回の竜気迸發は、余裕で川原を越えて、森にまで確実に達する。

 月白色に光り輝く氷結竜気の煌颶こうくが、草に覆われている緑の川原を、月白色に塗り潰しながら、突き進んで行く。
 高速で突き進む暴風は、沙門達に掌力攻撃を行っていた武闘殭屍達を飲み込み、一瞬で氷結させた上で、暴風により打ち砕いて一掃。

 掌力攻撃を行える範囲にはいなかったが、一里強の射程内にいた武闘殭屍達までも、煌颶は破壊し尽くしてしまう。
 結果、千体を超える武闘殭屍が、一掃されてしまった。

 射程内には装甲殭屍もいたのだが、当然の様に煌颶は通用しない。
 川岸付近にいる沙門達の前方、二百七十歩辺りで、槐花達は立ち止まっていた(二百七十歩は四百五メートル)。

 川原に入った後、西側に直進を続けた槐花は、二百七十歩辺りで一度停止した。
 森の中に入るかどうか、槐花は迷ったのだ。

 森の中は木々だけでなく、多数の武闘殭屍達がいた為、移動し難いと判断した槐花は、森に入るのを止め、南側に進路を変更して移動を再開。
 その直前、一体の装甲殭屍が、森の中へと入った。

 槐花の命令ではなく、枷が外れている装甲殭屍自らの判断で、別行動を取り始めたのだ。
 自身の装備は、槐花と同行するよりも、別行動を取った方が有効であると、装甲殭屍自身が槐花に説明し、別行動を認めさせたのである。

 南への移動を開始した槐花達は、左側……つまり東側から押し寄せる、月白色の氷結竜気の煌颶に気付いた。
 沙門達は広角で竜気迸發を放った為、屍軽功で高速移動する槐花達も、その攻撃範囲から逃げられはしなかった。

 装甲殭屍達には煌颶は通用しないが、槐花には通用してしまう。
 故に、装甲殭屍達は一時停止した上で、隙間が無い様に密集隊形を取って、槐花を煌颶から完全に守り通したのである。

 槐花が命じた為ではなく、枷の外れている装甲殭屍が、背後から迫る煌颶に気付き、そうでない装甲殭屍達を先導する形で、槐花を防御する陣形を取った(装甲殭屍の半分程は枷が外れている)。
 煌颶が通用するとは言え、槐花は倒されはしないのだが、苦痛は覚えてしまうので、装甲殭屍達は煌颶を防いだのだ。

 川原の広範囲で、武闘殭屍達が一掃され、沙門達と槐花達だけが残された状態になる。


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