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第二夜 その賭け金はこの日常で支払う

さあ、今日もやる気もかけらもない

チャイムから始まります。

【ルーン文字専門学校】


「そろそろ、6日目。スリソーズちゃんも弾けようよ〜?」「お願いします。私は観葉植物だと思って放置プレイして下さい。ハガルズさん」


こんなやり取りが今日も教室を木霊します。

ちなみに今は授業中、『大学突破はこれで楽勝!ヴァイキングの狩猟術』の真っ最中です。

よくよく考えたのですが、ここは何の高校でしょうか?黒板の上に、『就職率100%!有名声優陣来たる!』と書いてありますが、普通の高校が何故、就職ありきで声優さんを呼ぶのでしょうか・・・?


「何処でさ、スリソーズちゃんは今日は何色の下着してるの〜?私のはわかるかな?」「どう見ても赤のシルクです。何故か一目でわかります。私のは想像で終わらせて下さい」「やだなぁ、妄想膨らませたら一日終わちゃうよ?女の子の下着の妄想で終わらせるほど、時間は無限ではないんだよ?だから!バサッと見せて他に時間を使うという事なんよ〜」「良いこと言ったつもりですね?そのドヤ顔・・・」ハガルズさんは、何かにつけて私に話し掛けてきます。それは、ありがたいですが、同じ露出狂への道へ引きずり込む意志が見え見えです。他に生徒はいないかといえば、満席の時もあれば、2、3人の日もあります。ハガルズさんは「フレックスタイム制だから」と教えてくれましたが、そんな学校聞いた事も有りません。今日は人が多いですが、それでも10人程度。ハガルズさん以外は、名前も知りませんが、あのギフトがいないのは救いです。


「はいはい。では、授業終わります。次の授業まで、一時間自習してて下さいねー」


自習と言う名の長い休み時間が始まりました。

この間に見ている先生方は居なく、外出も可能という、この高校を象徴する自堕落な時間です。「あ〜あ、天気もいいし、渋谷でも行こうかな。新しい下着がほしいの。スリソーズちゃんも行こうよー」「だ、駄目です!授業中ですよっ」「だから、社会勉強って名の授業をやるんだよ。人の目が快感に変われば、圧迫面接とか余裕になるよ〜」「結構です。私は書類選考だけのまともな商社へ行きたいんです」「えー!楽しいんだよ、圧迫面接?」


「 『き、君は何て破廉恥な格好で面接に及んでるんだ!』『え〜、こういうのが好きで買いたいから、こんな会社でブラックな奴隷して金稼ぎしてるんでしょ?今日は無料何だから泣いて喜んでね?ところで、面接官さんはどんな女の子が好きで、どんなプレイが好きなの?奥さんや子供はいるの?罪悪感とか欠片もないの?そこら辺りを詳しく教えて。わかるまで』とかね、精神が崩壊するまで追い込みかけると、何か勘違いして、お金くれたり色々いい事あるんだよ〜」

「・・・ハガルズさん、最低は貴女です」


こんな会話をしている内に、一人の生徒さんが

やってきました。制服を着てるのに・・・。

何故か、アウトローな雰囲気、あえて言うなら

競馬場か競輪場にいつも赤鉛筆とセットで居る

風貌の方です。


「お話中、すんません。私はパース言いますねん。

スリソーズはん、これから宜しく頼みます」

「これは、ご丁寧に。私はスリソーズです・・・」

「すとーっぷ!スリソーズちゃん!騙されちゃ駄目

だよ。こいつはパースちゃんと言って、覚醒剤や

えっちの前にギャンブルの快感で、脳がトロトロに

溶けちゃった賭博堕天録人間だよっ!」


「・・・露出狂の道、極めたハガルズはんに言われ

とう無いです。それにスリソーズはんにギャンブル

を勧める為に来た訳では無いです。ただ、友人いない

同士仲良くしようと」「お、お友達はこれから出来ま

す!・・・ハガルズさんもいます」「そうだよ?それに

パースちゃんに友達いないのは自業自得じゃない?」

「ククク・・・それは聞き捨てならへんな・・・何がです?」


「パースちゃんにFXを教えてもらって、株より

基本通りに動くから機械的に−2%で損切りと+4%の

利食いで十分ですわ!って言うからやったら、

その手法で500万が90万になったんだけど?」


「・・・ハガルズはん、それでは失敗しますわ。

−5%で損切り+5%で利食い。私はこの手法で

400万を12万に溶かしましたわ!」


「えぇ〜!それって凄くない?これからパースちゃん

の事、FX神って呼んでもいいかな?かな?」

「ククク・・・偶然に命張るのは犬猫ケモノする事ですわ。・・・人間相手の博打には勝算、頭を張って勝たねばならんのですわ。・・・おおっと、パチスロの設定6が空いたと連絡が。ククク・・・ギャンブルではこういう誘いが一番危ない。まさに地獄へ直結の道。・・・故に無防備・・・必ず殺る!駅前まで失礼しますわ!・・・スリソーズはん。あんた、初めて見た時からちょっと他の人と違う、思いましたよ。また会いましょう」


パースさんは何が言いたいかよく解らない事を言って

教室を出て行きました。一つだけ理解できたのは、

あの方は人間のクズという事だけでした。


「あ〜あ、FXは難しくてわかんないや。私はうま〜く、世渡りしてお金はキャッシュで奪うのが楽でいいなあ。スリソーズちゃんはギャンブルなんかしちゃ駄目だからね?」ハガルズさんは何時もいい事をおっしゃいます。ただ、言動が追い付かないだけなのです。


この後、予想通り授業は無くなり下校時間

になりました。制服姿のパースさんはパチスロ

屋さんで補導されたと小鳥達の噂で聞きました。

刑事さんの第一声は、「また、お前か」。



 ・・・さあ、今日はもう休みましょう。

 ベットで眠り、今日の気だるさを忘れる為に。


 何しろ、明日は今日とは違う。

 今日という日が始まるのですから


 本日の含み益は80万円でした。

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