1巻1章 夕闇更級 3話
打ち切ります
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夕闇更級という少年は、いつも考えていた。
いつ、どこで間違えてしまったのだろうか、と。
別に更級は、今の生活を本当に、切実に変えたいと思っていないし、悲劇のヒーローを語るなんてつもりもない。両親の死という辛いことはあったが、乗り越えた。だから、不満があると言うわけでもない。
あるとしても、親友がハーレム作っていることとか、金欠気味なのに、不景気で、近所の店が野菜の値段を上げたくらいだ。
でも、ナニカを間違えた。そう思ってしまう。
夕闇更級は、其なりの魔法の名家に生まれた。
いわずもがな、夕闇家である。できのいい妹はいるが、自分は魔法が使えないーーだとか、魔力がそもそもないーーだとか、妹が優秀すぎるせいで家に居場所がないーーといったことは何もなかった。
学校の成績や、魔法の成績は悪くて中の上。客観的に見るというのは更級は苦手だが、上の下か中になっていると思う。クラスでは、アイツ頭いいな、位の認識で過ごした。小学校も、中学校も。
勉強自体はしているが、宿題をやって、後はゲームをするという生活だった。勉強はテスト前に毎日2時間くらいやるだけだった。
両親は自分が中1の時に死んだので、お咎めなし、だったが、妹には怒られた。
でも、成績表を見せて、まあまあいい点数なので言われなくなった。
更級は、適当に頑張れば、テストもそれなりの点数が取れる頭を持っていた。
テストは250点満点中、200点を割ったことはない。そもそも210点より下を取ったことは1度か2度だでも、240点台を取ったことはない。
妹は、「勉強をしないでゲームやっていてそれなんですから、本気出せば良いのではありませんか? 勉強」とのことだが、自分はどれだけ頑張っても、そうはならないと思っていた。
だって、妹はほとんど完璧だから。
妹は、自分が取れなかった240点くらいをいつもだす。248点もあった時もあるくらいだ。
そんな妹を見て過ごしたから、自分は本当の意味での天才にはなれない。
そう分かっていた。
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