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1 夕闇更級 2話 親友の幼馴染みーー巫女

は、はじめて2500文字超えました。

書いてみて思うのですが、時間が掛かる・・

    3

 「ちょ、巫女が怖いからちょっと離れて。アイツはなんか俺がせいのたちといると怒って来るんだよ。……それで、なんでみんなこっちを怖い目で睨んでいるんだ!?」


 なんか、更級たちの視線に気づいたようでびっくりしていた。

 --なんでこんなに鈍感なんだよ。

 少しあきれる更級。

 でも、こいつはなぜか人望があるんだよなあ。

 そして、更級は波乱のことを親友として信頼していた。

 

 数日前だって、







 ーー数日前、6月14日。

 魔法学園レムファレン、男子寮一階一角、とある2人部屋にて。


「ーーおい、起きろ。起きろ」


 6月という梅雨の時期には珍しく、お天道様が顔を出した爽やかな朝。

 窓の外にはつゆが滴る紫陽花の葉の上にカタツムリが乗っかっているほど穏やかな朝。

 少し長い黒い髪が特徴の15才の少年ーー夕闇更級は、寮の同室の金髪の少年ーー天原波乱を揺すって起こそうとしていた。

 それも、かなりの強さで。

 ところが、波乱は少し身じろぎし、言った。


「......う、うう。あと10分......」


 その言葉に、更級はため息をつく。

 そんなやり取りがもう5回も続いていた。

 いい加減痺れを切らした更級は、布団を剥ぎ取ればいくらなんでも起きるだろうと、思いそれを実行した。

 だがしかし、布団を剥ぎ取られた波乱はというとーー

 ーー立ち上がり、近くのベットからふとんをとって、再びベットに横になり、寝た。


「って、それ僕の布団!!」


 あまりに斜め下の波乱の行動に、フリーズしたように固まっていた更級は、布団を取られたことに気付き、再起動した。

 再び布団を剥ぎ取れば起きるだろう。もう、残りのベットもないのだし。と思い、布団を引っ張るがーー

 ーー剥がれない。

 波乱がしっかりと布団を掴んでいた。

 更級はなんとか布団を剥ぎ取ろうと(取り返そうと、とも言う)するが、結果は更級が息を切らすだけの徒労に終わった。

 ーーこれはもうどうしようもないのかなあ。......よし、また頼むか。

 更級はそう考え、苦肉の策を使うことにした。

 更級はポケットから携帯を取りだし、


「ーーあの、紅焔さん、また波乱が起きないんですが、何時ものアレ。お願いします」


 と、電話を掛けた。




 その90秒後、部屋のドアが勢いよく開いた。


「また、波乱が起きないのですって?」


 おうよそ、男子寮には相応しくない女性ーーそれもどこか気品を感じさせる声が更級たちの部屋に響いた。

 いや、実際にやって来たのは少女であるから、女性の声であることはおかしくないのだが。

 この少女の名は紅焔巫女。

 波乱の幼馴染みであり、いかにもお嬢様と言うような縦ロールの髪の少女だ。

 ......残念ながら金髪ではなく、日本人らしい黒髪であるが。

 少女が、男子寮に入ることが危険だと思うかも知れないが、巫女は学年でも上位の魔法力を持ち、ほとんどの生徒は返り討ちにされるのが関の山であるから、心配はいらない。

 更級も最初は心配していたが、彼女にナンパっぽいものをした生徒が、いきなりブスブスと黒い煙を上げて保険室に搬送されたのを見てから、何も言っていない。

 それどころか、寝起きの悪い波乱を起こすために、こちらから呼んでいるくらいだ。ーー今のように。

 ちなみにナンパっぽいものといったのは、言葉を言い切る前に、強制的に黙ることになったからだ。


「さあ波乱、起きてくださいまし。今日は迷宮探索の授業が有りますから早く起きないとつらいですわよ」


 優しい声で波乱を諭す巫女。波乱のことを思っていることが伺える。


「......」


 このあとの言葉を聞いたとき、気のせいだろうか、寝ていた筈の波乱が、少し青ざめたような気がした。だが、更級は知っている。


「それとも、わたくしの炎、また浴びたいので?」


 少し怖いこの台詞、照れの裏返しだと。


「いいえ、今から起きますです、閣下」


 起きた。

 一瞬で。

 そのあまりの身代わりの早さに更級は、

 ーーなんで、紅焔さん相手ならすぐに起きるんだよ。とか、

 ーーなんで、紅焔さんをそんなに怖がってるんだよ、幼馴染みだろ? とか、

 別のこととしては、

 ーーなんで、紅焔さん、素直になれないんだよ。など、

 言いたいことは沢山あったのだが、


「......」」


 結局何も言えなかった。

 ーーいや、今の紅焔さん怖いし!? 安定のツンデレ......

 でも、これだから盲目的なほかの波乱ハーレムの人とちだがい信頼できるんだよなあ。




 ちなみにその後、

「ーー毎日毎日寝起きが悪いとは......これは少しわたくしの炎を浴びて反省したらどうです?」

「ちょ......まって、洒落になってなーー」

「洒落ではありませんわ」

「た、助けてくれ、相ぼーー」

「ピューピュー。ああ、聞こえない♪」

「更ァァ級ィィィ、裏切り者ーーーっ!」

「更級さんのせいにするとは......許しませんわ!! 波乱!!」

「うぎゃぁぁぁぁあああ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ぐ......くそ、まだ痛てえ。巫女のやつ手加減無しでやりやがって......」


 広いベージュ色の道を、悪態をつきながら歩く波乱。

 怒りをアピールしたいのか、その辺の小石を蹴り飛ばした。

 しかし、実際の様子は、結構うれしそうであった。


「うん、波乱。僕には君が、魔法を受けて喜んでいるように見えるんだが。もしかして、君はマゾだったのかい?」


 ポンと肩に手を起き、「君がどんなになろうと、僕は君の友達だからね」と更級はいい、すたすたと足を早めた。

 最初は訳が分からなかったのか、ポカンとしていた波乱だったが、直ぐに気付いたのか、慌てて更級を追いかけた。


「違う違うってば。俺はマゾなんかじゃないって。ああして巫女は心配してくれてることは良く伝わるからな。《ルシフェル》がいなくなって、悲しかったけれど、アイツはまだ居てくれることがわかってうれしーー」


 追い付き慌てた様子で弁明する波乱。


「ああ、いい天気だなあ」

「ーーちょっと聞け! 俺はマゾ何かじゃ」


 ーー分かってるさ。

 辺りで必死になって弁明しようとする波乱を尻目に、更級はそう心のなかで呟いた。こういうからかいは、信頼しているからこそできることだ。



 現在--

波乱は、せいのだけでなく、ほかの押し寄せてきた波乱ハーレムの人たちにに囲まれていた。

 話を聞くにどうやら、先ほどのクラスメイト(男)が更級らに話そうとしてきたことを、伝えようとしているみたいだ。

 それで、波乱は少女に囲まれている。

 クラスの目線はすごいし、迷惑ーー大多数の女子生徒除くーーになっているし、大変だ。

 ということで、


『あの、もしもし。紅炎さん?』


 ーー信頼していても、妬むくらいのことはする、と言うことだ。

前に書き溜めて挫折した小説をまとめた短編を投稿するのでそちらもよければ見てください。

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