38/50
夢物語
「如何にかして掴みたい」
「何を?」
「あの空を」
そう言った彼の横顔を私は飽きることなく見ていた。彼もまた私と同じようにあの空を飽きることなく見ていた。
その瞳に映る空の色を見ていると、いつの日か、彼はあの空の向こうに行ってしまうのだということが分かった。そういう運命なのだと思った。
ふと、彼は顔の向きを変えて真正面から私を見つめた。
「僕らもあの空のようにありたいよね」
私はその意味を掴みかねて、曖昧に頷いた。聡い彼はそれに気付いて、
「あの空のようにどこまでもつながっていたいんだ」
そう言った。
私がそれが夢物語であると知りながら、いつまでもその夢に溺れていたかった。




