春うらら
陰陽師の少年、黒川 光翼に与えられた任務とは……
学校は崩壊が激しくしばらく休校となった。俺は事後報告のため総会を訪れていた。総会とは、陰陽師総合連合会、略して総会。あんな長ったらしい名前をいちいち言ってたら日が暮れる。隊長に報告を済ませて、帰っても暇なので木に登って一休みしていると
「光翼!」
と大声で呼ばれた。否、叫ばれた。こんな事をしてくるのは一人しかいない。
「なんだよ澪?」
「なんだよじゃない!」
と澪は叫んだ。弥生 澪。3番隊所属の俺の幼馴染みだ。
「あんた昨日また、ジャージで仕事したでしょ!」
「……あー、したかも」
「かもじゃない!やったの!いつも言ってるでしょ!正装で仕事しなさいって!」
「あー、悪ぃ」
俺は澪の剣幕に押されて頭をさげた。
「もう、悪ぃじゃない!ほんとにもうあんたは!」
とまた澪に説教を聞かされそうになった瞬間
「光翼、ちょっとええか?澪ちゃんも」
「なんですか、師走隊長?」
内心で師走隊長に礼を言いながらその場を後にした。
「1番隊の隊長さんがお前に任務やー言うてな」
「睦月隊長が俺にですか?」
「そや、やから連れてこい言うてなー」
「はー、あの人が俺に一体なんの任務ですかねー?」
「まぁそれは、聞いてからのお楽しみや」
そう言って、1番隊の隊長室をノックした。返事があり中に入ると
「まーた、紅月にどやされてやがったな」
といきなりにやけ顔の如月隊長が目に飛び込んできた。
「まーまー、そうからかったりなや」
と師走隊長がなだめた。
「邪魔するなら出て行け、静かにしろ」
と睦月隊長の声が響いた。
「黒川、お前に任務を与える」
「はい」
「鬼の発生源を突き止めろ」
「は……い……」
「以上だ」
そう言うと、さっさと出て行けという仕草をした。部屋を出ると
「どえらい任務押しつけられたなーまあ、今日の所は取り敢えず帰ってええから、頑張りや」
ぽんと俺の肩を叩いて、師走隊長は仕事に戻っていった。
まじでか……、鬼の発生源を突き止めろって前やって失敗したじゃないですか、睦月隊長……。
俺、黒川 光翼は、難易度MAXの任務に抜擢された。
うららかな春の陽射しの中、俺は絶叫した。
無理難題な任務を押し付けられた光翼。一体、どうなるんでしょう。