Last words -07
おまたせしました!
今話から、ラストのクライマックスに向けて一直線ですよ~。
そんなある日の下校中、僕に一人の女子高生が声を掛けてきた。制服から判断すると、この近くにある高校のようだ。
「ねぇ、そこのキミ」
最初、僕に言われたのだと思わなかったから、そのまま通り過ぎてしまった。しかし、彼女は諦めずに
、
「ちょ、ちょっと!キミよ、キミ!」
と言いながら、僕の肩を掴んできた。僕は半目になって言った。
「えっと…要するに逆ナンってやつですか……?」
「違うわよ!?」
「あいにくとナンパとか、間に合ってますんで……」
「こっちの話を聞いてよ、伊達君!」
思わずその時、僕は不覚にもハッとしてしまった。僕の名前を呼んだその声やイントネーションが、僕が知っている彼女によく似ていたから。
「…………」
いや、感傷に浸っている場合じゃない。だって、彼女は――――――――――。
と言うか。
「何故、貴女は僕の名前を知っているんですか?どこかでお会いしました?」
言外に、「貴女は誰だ?」という意味を込める。すると、彼女は首をかしげてこう言った。
「あら?覚えてないの?」
あいにくと全く記憶にない。
「小さい頃は一緒にお風呂にも入ったのに」
「本気ですか!?」
つい突っ込みを入れてしまった。というか、そんな記憶を忘れてしまっている自分の脳を恨む。
「まぁ、嘘よ」
「嘘かよ!」
なんとなく予想出来ていた事ではあるのだけれど。
「で、結局貴女は誰なんです?」
聞くと、彼女は名乗った。
「本当に覚えてないの?私は白鳥杏子。百合ちゃんの姉よ、伊達君」
二年前から止まっていた時間が、再び動き出した。そんな気がした。