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Last words -06
多分、今までで一番短いんじゃないでしょうか、今回。
―――何も、出来なかった───
後にはそんな無力感と、とても大きな喪失感だけが残った。
こうして僕は、大切な人を喪なった。
それから、2年が経った。
今、僕は高校一年生になった。
今もまだ僕の心には、白鳥の死が、抜けることの無い刺となって刺さっている。
多分、僕はこれからもずっと、この刺の痛みを抱え、背負っていくのだろう。
でも、これはこれで悪くないと思う。白鳥のことを、忘れずに済むのならば……。
もっと他に、何か僕に出来る事はなかったのだろうか。もちろん、あの頃の僕に何も出来る筈がないという事は、頭の中では理解している。それでもやはり、そう思ってしまう。
白鳥を喪ってから、僕の何かは壊れてしまった。成績は少しずつ悪くなっていった。高校に入学した今も、サボる事がしばしばある。
グレたわけではない。ただ、何事にも真面目になれないだけだ。無気力、と言ってもいい。勉強する意味が、目的が、僕には無いんだ。