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リベンジアレンジ

生成されたタブレットは二枚。わずかに厚みの薄い方を狩南に手渡す。いずれも今のままではほとんどガラス板と大差がない無記入のタブレットだ。


「それじゃあタイトルを拝むとするか」

「あ、ちょっと待ってください」


シナリオやルールにおいて、KPでも全く手が出ないわけではない。セッションをクリアするたびにKPスキルは強化されていく。ということで、KP用のタブレットに手をかざし、さっきの狩南よろしく扇ぐように手を振るってみる。

パフォーマンスなど関係ないと言わんばかりの狩南の視線の先、空白だったタブレットにはリジェクト・PvPというメッセージが書かれている。


「ある程度KPスキルがあるのか。もうちょっと注文付ければ良かったな」


流石に当日予告のソロセッションは初めてだが、RTRPGが普及してからもそれなりにKPはしてきた。

ソロセッションで対人を抜いても意味はないが、敵視というか信用されてない感があるので一応つけておく。


「お待たせしたところで、今回のルールは……」


キーパールールを追加したタブレットの上部を横にスライドさせると、今回のRTRPGのタイトルが現れる。


「リベンジアレンジ。復讐と賞金稼ぎがテーマのTRPGですね。準備、行動、遭遇の3フェーズを繰り返し、クライマックスで復讐を果たします」

「プレイしたことはあるか?」

「ゲームマスターとしてなら」


RTRPGが台頭し、KPに対して通常のTRPGではそのままゲームマスター、GMと呼ぶ場合が増えた。


「ということは、RTRPGでは未経験か」

「ぐぬぬ……」

「なんだその反応……広くも深くも遊べるのが醍醐味だろう」


確かにそうなんだけど、まさかこの人にそんな真っ当なことを言われるとは。


「新規シナリオですが、キャラ作成は――」


自分が使用するプレイヤーキャラ――PCの、所属・設定・汎用技……こちらが伝える間もなく、狩南は渡されたタブレットに情報を記入していく。この手際の良さは、元々使っていたキャラクターをある程度流用しているのだろうか。


「ふむ」


残すはキャラ名のみという段階でわずかに躊躇しているかにも見えたが、こっちの視線を感じたのか、やはり手慣れた様子でキャラ名も入力して向き直ってくる。口元を覆うように飲み物を口にする彼の表情は、少し緊張しているように見えたり。


「元々二人で来る予定だったんですよね。やはりソロシナリオを?」

「そのつもりだったが……対人シナリオを除けるなら、RTRPGのKPを任せても良かった」

「今度来るときは任せてくれて良いですよ」

「よし、シナリオを進めてくれ」


どうせなら楽しんで欲しいと思ってる内に疑問があるが、こいつ楽しんでいるのか……?


「読みますよ。『ある者は死んだ友の復讐、ある者は自分を陥れた者への復讐に駆られ、レルムを訪れる。裏世界の賞金首が掲載されているその場所に、求める人物が、あるいは自分の名前が晒されていないか。また、自分の依頼した懸賞が、確かに晒されているか――リベンジアレンジ、開始』」


リベンジアレンジの口上を読み上げ、狩南に情報を伝えることで次のシナリオがタブレットに映し出される。


「続いて導入――今回、復讐者達はS県N町の避暑地にやってきた。二泊三日で霧涼館という旅館を取ったが、その後ノープランだ。しかし、旅行先のレルムで復讐相手の目撃情報を耳にした復讐者は、旅行と同時に相手の足取りを探るべく行動を開始したのだった――じゃあ、行く場所の候補を伝えていきますね」

「承知した。クライマックスを除いて2サイクルか」

「はい。あと初日は準備パートはなく、行動と遭遇パートのみです。旅行行ってるからね――主な候補はシーパーク、神社、アウトレット」


リベンジアレンジは、場所と人を指定して情報を集めるRTRPGである・・・・・ということで、狩南もといPLに三つの場所を挙げたので、次は遭遇できるNPCキャラの紹介だ。


「友人のバンジは、旅行と同時に体調を崩し、文句を言いつつ霧涼館で待機。また、旅館の主であるオオナは、足を洗う前は復讐者をしていたという噂がある」

「人物が二人だけ……追加キャラもいそうだな」

「どうですかね……キャラ紹介お願いできます?」

「構わない――名前は二ノ腕筋次郎。追放されるまではボディービルダーをしていた。復讐相手は俺の食事にドーピング剤を混ぜた、二ノ腕筋太郎兄さんだ」


狩南さん……!? まあ探している復讐相手さえ分かれば問題ない。なんならこのタイプのキャラを何の迷いもなく持ってくるのは嫌いじゃない。


「紹介も済んだところで、シナリオを始めます」

「よろしく頼む」

「――朝方、N町のレルムを訪れ、懸賞首の一覧を確認した筋次郎。自分自身も復讐相手も懸賞には掛けられていなかった――では、行き先を」


今回の1サイクル目では、復讐者の集うエリア――レルムでの準備を挟まないため、2つのフェーズでどう動くかを決めることになる。行き先を決める行動と、出会う人を決める遭遇の2フェーズ。


「アウトレットへ行こう。見たことのないプロテインがあるかもしれない」


割としっかりPCに入るタイプらしい。初対面の人に思うのもなんだが、TRPGって色々な面が見れるんだよな。

さて、行動先に対応したシナリオがタブレットに現れたので、読み上げていこうか。


「分かりました。N町の近くにあるアウトレットモール。駐車場に車を停めると、並木道の奥に様々な店が軒を連ねているのを確認できる――じゃあ、情報が手に入ったかの判定を。技能はなしで、目標値7です」


復讐者も人間なので、運が下振れれば失敗する日もある。とはいえ、運をどうやって測ればいいのか……ズバリ、サイコロである。


「六面サイコロ二つを振らせてもらう……合計値が9。判定は成功か」

「良い値ですね。アウトレットの情報をどうぞ」


いかにも知ってますよ感を出しつつ回すが、RTRPGによって具現化したシナリオなので、こっちにとっても初の情報開示となる。


「ふむ――閉店時間を過ぎたアウトレットで、オオナの姿が目撃されている――か」


黒い噂のある旅館の主がうろつくアウトレットかー。KPとはいえ、中盤はマジでプレイヤーと一緒に推測するくらいしか出来ないんだよね。


「それでは、二ノ腕筋次郎がどのようにこの情報を獲得したのか……狩南さんのロールプレイを見せてもらいますか」


筋次郎がどういうキャラなのかを知るためにも、ここでのRPには注目していきたい。

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