第6話
こんにちは。お久しぶりです。
結婚式から一週間後、私はアルフレドと登城していた。王自らの呼び出しであったために、無視することもできなかった。王城に呼ばれることなんて前回はなかったはずだ。アルフレドやアルハードとの生活を脅かされるのであれば、王とて戦うしかないかもしれない。
王が我々を呼んだ理由は、外からの神子が私に会いたがっていたからだった。それなら神殿でよいだろうと思ったが、どうやら神子が神殿を嫌がったそうだ。
「アルフレド様までいらっしゃらなくてもよかったのでは?」
「いえ、私は貴方を守る義務がありますから。」
アルフレドは私が一人で行くと言っても聞かず、共に登城することにした。外の神子の話は全くと言っていいほど耳に入ってこなかった。自ら調べようとすれば、アルフレドかアルハードに見つかってお茶に誘われてしまう。彼らが外の神子について私が知るのを拒んでいる理由がわからない。前回の私では外の神子よりもアルフレドに夢中だったために、女性なのか男性なのかさえも知らない。
窓の外に目を向ければ豪奢な王城が目の前だった。アルフレドにエスコートされながら城の廊下を歩けばヒソヒソと話す令嬢の声が聞こえてきた。
「外の神子がいなければ、今も神子として担ぎ上げられていたのにねぇ。」
「それにあんなに年の離れた方と結婚なさるなんて…神子様が可哀想だわ。」
私が咄嗟に声を出そうとすれば、アルフレドが私の名を呼んだ。気にするなと、困ったように笑みを見せた。それが悔しさを増した。私は神子だった時よりもはるかに幸せだというのに、それが端から見れば可哀想に見えるなんて、我慢ならなかった。
「悔しいです、アルフレド様。私はこんなにも幸せなのに…」
「私達が幸せだと思うのであれば、他の者の意見など些細なものですよ。ね?」
見上げれば溶けるような優しい笑みを浮かべたアルフレドがいた。周りの令嬢も思わずため息をついている。私のアルフレドなのに、こんな人がいるところでそんな顔しないでほしい。
「…行きましょう。神子に会わなくては。」
私達は王と神子のいる場所へと急いだ。
部屋に通されれば、既に神子がいた。王は王子が問題を起こしたようで、先にそちらを片付けてから来るようだ。
外の神子は男性だった。髪は、染めているのだろうか。きれいな空色が素敵だと思った。上背もある、垂れ目のブラックブラウンの瞳が私をまっすぐとらえていた。
「はじめまして。ハルマ・ススギです。お会いできてよかった!」
人好きしそうな好青年だ。差し出された手を握り返そうとすれば、アルフレドに止められた。そうだ、今の私は神子ではなく、エルピン侯爵夫人だ。夫人としての礼をし、神子をまっすぐ見つめる。
「はじめまして、ハルマさん。私はアルフレド・エルピンと申します。隣の女性は私の妻であり、元神子のエドナ・エルピンです。」
「つ、妻…?」
ハルマは目を落としそうなほど見開いた。私とアルフレドを交互に見ると、情けない息をついた。
「親子って言われた方がまだ納得できるよ…」
ハルマの一言で部屋の空気は一気に凍りついた。




