25話
◆◆◆◆◆25話
チカチカチカッと金色の傘をかぶった裸電球が突然消える… 外は白が所狭しと暴れまわる猛吹雪。
ガタガタガタと雨戸が鳴って家中に「ゴオゥゥゥー! ビュゥーン! バタン! バタバタバタッ!」と、物音を響かせる。
家中の板の間を「パタパタパタッ」と、小さな足音がすると暗闇の中で「おとぉー! おっかぁー! じぃーじ! ばぁーば!」と、慌てた雪ん子の声が辺りに走った。
猛吹雪で停電したことなど雪ん子には解るはずもなく「おとぉー! おっかぁー! じぃーじ! ばぁーば!」と、半べそのような声を響かせた。
すると暗闇の中から「坊ー! ホラホラこっちゃこー♪ 声の方へゆっくりおいで♪」と、御爺さんの声がして「おどぉー♪」と、安堵の声を発した雪ん子。
ペタペタと四つん這いになっているのか愛らしい音が板伝いに聞こえると、囲炉裏の前に座る、御爺さんの胡坐座りをする足に手を伸ばした雪ん子。
徐々に暗闇に目の慣れた雪ん子が「おどぉー♪」と、キョロキョロしながら抱っこしている後ろの御爺さんに笑みを見せた。
すると御爺さんが抱っこしている雪ん子に「坊ーも夜になったら寝るべぇ~? 今日はなぁ~ 電気休みっちゅうてなぁ、電気も寝る日なんだ、いっつも部屋の中ば明るくしてくれてるべぇ… だから疲れてしまったんだべぇ~♪」と、雪な子のホッペをそっと撫でた。
囲炉裏に小さな小枝をヒョイッと父親が、放り投げると「パチパチッ」と、音がして炎が「ユラユラ」と、舞い上がり「あはははー♪ みんな居たぁー♪」と、揺らめく炎に照らされた家族たちを見回した。
真っ暗な中、囲炉裏の炎が揺らめき、照らされた家族の顔を見て安堵の声を出す雪ん子に「昔、昔、あるところに…」と、御爺さんが雪ん子を抱っこしながら昔話を始めた。
すると「チカッ!チカチカチカッ!」と、点きそうになるものの直ぐに消えてしまった電球を見上げた御爺さんが「おっほほほ~♪ そかそか… 電気さんも、おらの話しっこ聞きたいのかぁ~♪」と、嬉しそうに雪ん子の頭を撫でた。
御爺さんが話し始めると雪ん子は「あっははははー♪ おどぉーの話しっこ面白いがらぁ♪ パチパチパチ」と、小さな手を叩いて電球を見上げた。
話に聞き入る雪ん子を揺らめく炎の向こうで、暖かい笑顔で見守る家族達は囲炉裏の炎を頼りに雪ん子を見守り、小枝が燃え尽きると、一本、また一本と囲炉裏の炎で雪ん子を照らし出していた。
コックリコックリと雪ん子が御爺さんの腕の中で眠り始めると「おどぉ…」と、母親が雪ん子をそっと受け取ると奥の間へと姿を消した。
雪ん子が寝んねして奥へ母親と入った瞬間「チカチカチカッ」と、電球は家中を灯し役目を終えたとばかりに、囲炉裏の小枝も燃え尽きた。
御爺さんが湯飲茶碗の濁酒どぶろくを「クイッ」と、飲み干すと「さてさてぇ… おらだちも、寝んねの時間だなぁ♪」と、御婆さんと一緒に奥へと姿を消した。
囲炉裏の前にゴロンと横になって、湯飲茶碗の濁酒を一口流し込んだ雪ん子の父親が「昔、昔あるところに…」と、呟くように口ずさんだのを裸電球は聞いていた。




