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  作者: 縄奥
24/30

24話

◆◆◆◆◆24話






 吹雪で白が吹き荒れ閉めた雨戸をガタガタと小刻みに震わせたかと思うと、突然「シーーン」と、何事も無かったように静まり返り家中を照らす裸電球がチカチカし始める。




 外が静まり雪ん子がホッとしたような顔した瞬間!「ビュゥゥゥーン、ドドドドォォー! バタン! ガタガタガタ!」と、激しく家中の雨戸を吹き荒れる風に押されて白が体当たりを繰返す。




 柱時計は夕方の6時を指し、何処からか入った隙間風が囲炉裏の炎を勢い良く揺らしては「スゥー」と、静まると傘の付いた裸電球まようやく落ち着きを取り戻した。




 夕食ゆうげ時の囲炉裏の周りには、暖をとりながら食事をする家人たちに「ゴオォ~ン、ゴオォ~ン」と、6時を知らせる柱時計の音ねが伝わり、一瞬家人たちの視線が時計に集まった。




 繰返される吹雪からの攻撃に「おっかぁー!」と、耳を塞いで立ち上がって母親の元へ走り寄る雪ん子と「ありゃありゃ♪」と、それを見て微笑む家人たち。




 母親にしっかりと抱っこされた雪ん子が「もう… 終わったかや?」と、ばかりに両耳を塞いで母親を見上げる。




 抱っこした雪ん子を「ギュッ」と、抱き寄せて吹雪の終わらぬことを雪ん子に知らせる母親から、雪ん子を「ヒョイッ」と、受け取って抱っこする御婆ちゃんが「あれはなぁ♪ 山の神さんたちが元気にしてるかぁって、坊ば見に来てくれてんだぁ♪ なぁーんもおっかなくねえはんでなぁ♪」と、雪ん子の両耳から手を避けて優しく語り聞かせた。




 すると雪ん子がバタつく雨戸の方を指差して「ばぁーば、ばぁーば」と、目をまんまるにさせると「神さんはのぉ、開けてやんなくてもホラ、もうここさ入って来とるでなぁ♪」と、囲炉裏の揺らめく炎を指差して微笑んだ。




 すると「坊もホラホラ、ちゃんと御飯まんま食わねば神さんに怒られてしまうはんで、まんま食え♪」と、湯飲に入った濁酒どぶろくを口に含む御爺さんが、囲炉裏の上の渡し網で焼いている沢庵をひっくり返した。




 グツグツと囲炉裏の自在鉤じざいかぎ に掛けられた鍋の音が吹雪の音を和らげ、中の三平汁が塩気を含んだ旨みを漂わせると「おっかぁー おら! まんま食う!」と、雪ん子が御婆ちゃんの膝の上から立ち上がると父親の横へと意気込んで移動した。




 雪ん子の頭に軽く手を乗せた父親は満面の笑顔で、湯飲茶碗の濁酒をクイッと飲むと、甘しょっぱい香りを立ち上げる御爺さんの焼き沢庵を「ヒョィ」と、箸で掴んで口に運ぶと「くわぁ~坊ば見ててやられてまったでぁ♪」と、額を手の平でパチッと軽く叩いて大笑いする御爺さんだった。




 今か今かと焼き上がるのを待っていた御爺さんも、雪ん子の勇ましさに見入ったお陰で、息子に焼き沢庵を取られ悔しいやら嬉しいやらで頬をあからめて大笑いしていた。




 雪ん子には熱くて手に負えない三平汁も、引き戸の向こう側の土間に置いた小さなお椀を、神様がちゃんと冷やしてくれたお陰で、雪ん子には丁度いい三平汁だったようだ。




 


 ※自在鉤じざいかぎは囲炉裏の中央部に天井から吊るされた鍋の火力調節のための金具


 ※焼き沢庵は強めの塩加減で作った沢庵を渡し網で焼いて水分を飛ばして暖かくして食べるが、焼いて寒干したものは絶品である


 ※三平汁と記したが強めの塩汁の中に寒干大根・長ネギ・白菜・昆布・凍り豆腐・干し魚などを入れて煮込みながら食す


 


 




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