18話
◆◆◆◆◆18話
白と黒の上を大きな足跡と小さな足跡が並び、大きな足跡は小さな足跡に合わせるように歩幅を揃え、緑があるとさの部分だけ小さな足跡は遠回りしてまた、大きな足跡と並ぶ。
白が透明に変化し山々からそして、辺りの黒の上から「待ってくれぇー」と、ばかりに一つに交わり「サラサラサラ」と、辺りに流れる音色を響かせゆっくりと麓の方へと旅立って行く。
何処までも波打つ海原のように厚みを見せる白と、太陽の陽を浴びて緑を暖める黒の境目を、ゆっくりゆっくり辿る変化した白たち。
時折り大きな足跡は小さな足跡を黒から遠ざけ、遠くを眺めれば真っ青な空と薄青色の山々が左右を何処までもその広さを見せつける。
黒の上に付いた大きな足跡と小さな足跡を掻き消すように、姿を変えた白が追いそこに小さな流れが交わり、少し先の少し大きな流れへと白は引き込まれて行った。
大きな足跡は「ヒョィ」っと小さな足跡を固くなった白の上に、そして透明に姿を変えた白の上から木の枝で何やらなぞっていると、辺りの透明はなぞったところに「連れて行けー!」とばかりに集まり始めた。
大きな足跡は小さめの木の枝を小さい足跡に渡すと、大きい足跡の横で黒の上を「うんしょ! うんしょ!」と、なぞり始めた。
あちこちの透明な溜まり場へ大きな足跡と小さな足跡が行くと、木の枝が「スゥー」っと入って透明は導かれるように流れた。
大きな足跡と小さな足跡、そして二本の木の枝はやがて黒と緑を削り取って麓へと押し寄せる白の最後の罪を笑顔で阻んでいた。
黒と緑を愛しみ白に罪を重ねさせない里人の心根は太陽よりも暖かかも知れない。
※雪解け水が濁流になって麓の集落に流れこむのを、雪ん子に行動で教える父親の姿は今はもう遠い昔の想い出だろうか。