17話
◆◆◆◆◆17話
「カーン! カーーン!」と、山々にコダマする音は流れる雲の間を擦りぬけるように、青い青い空へと吸い込まれて行く。
黒を覆った白は、緑を丸く描くように空から届けられた陽の光にキラキラと輝いては、透明と言う色に変化し天へと上って行く。
「カーン! カーーン!」と、白の上を駆け巡り、山々の奥へと木々を横切った音は頂上を目指しては消えて行く。
止まることの無い音は、澄み切った空気を流れる微風そよかぜに乗り、山の向こうの里にまで届けられる。
耳を澄ますと「ホラッ」あちこちから… 「カーン! カーーンッ!」と、聞こえる音… 何処から聞こえるのだろうと手を耳に当て息を殺す。
「カーン! カーーン!」と、聞こえる方へ耳を向けると「カーン! カーーン!」と別の方からもそしてまた別の方からも。
山々にコダマする妙な音に近づくこと数分「おど(爺さん)ー! 一服すっべがのぉぅ~」と、額の汗を拭くおどーに声かけて近寄った婆ちゃん。
この日の青空は白が天に昇る時期とは言え、まだ寒さを凌がねばならない里人たちに薪割りの一時を与えたようだった。
白が姿を変えて染み込んで割られた薪から、次々に天に昇った白たちは湯気になって、オドーに空から別れを告げた。