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封 神 伝  作者: 原 海象
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第14話 祟候虎の弟 祟黒虎参上! 夜露死苦!!

初めまして!原 海象と申します。


今回は有名な『封神演義』の編集・アレンジバージョン『封神伝』を投稿致しました。


「封神演義」は明代以前に発行された神魔小説で、今の形になったのは明代の編者 許仲琳によって現在の形になりました。また漫画やアニメとなったのは安能務先生の封神演義版によって一代ブームとなり、皆様のよく知っている形となりました。原作と安能務先生の翻訳ではかなり違いがありますが、ライト小説らしくできるだけ読みやすいようにしております。


<封神伝>

第14話 祟候虎の弟 祟黒虎参上! 夜露死苦!!



斥候はただちに祟兄弟にこれを伝えた。「外で蘇全忠が戦いを挑んでおります」

祟黒虎はこれを聞いて心中喜んだ。


わしがここに来たのは、一つは長兄が負け戦をしたためだが、もう一つは蘇護に助け船を出してやり、あいつとのよしみと付き合いを守るためだからな。


そこですぐに部下に乗獣を用意させ、それに飛び乗って陣前へ出た。

そして、馬上の勇ましい蘇全忠を見て言った。

「全忠よ、ちょっと戻って、そなたの父上を呼んできてはくれないか。話したいことがあるのだ」

しかし、若い蘇全忠には巣黒虎の含みがわからず、また父から祟黒虎の勇猛について聞かされていることもあって、おいそれと戻るわけにもいかない。


大声を張り上げて怒鳴った。

「何を言うか、祟黒虎、父との交情は、すでに消え去ったのではないか?

わたしとおまえは既に敵同士。父とおまえとの付き合いももはやこれまで。さっさと軍を退けば命だけは助けてやる。そうせねば後悔することになるぞ」


これを聞いた祟黒虎は腹を立てた。

「小僧が、何と無礼な!」と金斧をかざして斬りかかる。

蘇全忠は慌てて戟で受け止めた。聖獣と白馬は入り乱れ激しい戦いとなった。

二人の将は冀州城外で激戦を続けた。

蘇全忠は血気にはやって、黒虎の武器は短い斧だと侮ってこともあり、祟黒虎を生け捕りにしたい一心で平素鍛えあげた武芸のほどを全て出し尽くした。


祟黒虎は蘇全忠を傷つけないように、手加減をして戦ったが、蘇全忠が技の限りを尽くしたので祟黒虎はそれを応戦するために後手にまわり冷や汗をかいた。蘇護の息子もたいしたものだ。蘇護は立派な武門の跡取りを得たものだ。まったく血は争えぬものだな。そこで、祟黒虎は金斧を一振りすると、聖獣の向きを変えて逃げ出した。


それを見て、蘇全忠は馬上で身体を揺すって大笑いした。

「もし父上の言うことを聞いていたら、とんでもないところだった。

よし、やつを捕らえて、父上が何も言えないようにしてやる!」

こうして、蘇全忠は祟黒虎を追った。祟黒虎が聖獣の足を速めれば速め、祟黒虎がゆるめれば蘇全忠もゆるめ、逃がすまいと一心に追い続けた。

祟黒虎は,背後から馬につけた金鈴の音が聞こえてきたので振り向き蘇全忠が必死に追いかけて来るのを見た。そこで、祟黒虎は幼いときに仙人を師と仰ぎ、一個の宝貝 瓢箪ひょうたんをもらい受けていた。


そこで、祟黒虎は背中につけていた瓢箪の栓を急いで開け、口の中で何やら真言を念じた。すると、瓢箪の中から黒い煙が噴き出し網のように広がった。そして大小の煙が不気味な声を響かせたと思うとそれは天を覆うほどの無数の鉄のくちばしをもつ神鷹に変わり、大きくくちばしを開けて蘇全忠に襲いかかった。

蘇全忠はこれまで馬上の将しか相手にしたことがないので、祟黒虎の玄術などわかるわけがなかった。慌てて戟をふるい身体を守ったが、神鷹は彼の馬の目を突いたので、馬は痛さのあまり飛び跳ね、蘇全忠は真っ逆さまに地面に投げ出された。

「それ!やつを捕らえろ!」

祟黒虎が命じたので飛虎兵たちはどっと押し寄せ、蘇全忠を縛り上げてしまった。こうして祟黒虎は勝利をおさめ、軍営に戻り聖獣を降りた。これに先立ち斥候は祟候虎に勝利を知らせた。

「祟黒虎様が逆臣、蘇全忠を捕らえて、軍営の門前に控えておられます」

「よし、祟黒虎に陣に入るように伝えよ」

祟黒虎は天幕内に入って来て報告した。

「長兄、それがし蘇全忠を捕らえて、軍営の門前に連れてきましたぞ」

祟候虎は大喜びし、早速蘇全忠を連れてくるように命じました。まもなくして、蘇全忠は引きたてられてきたが、ひざまずこうとはしなかった。祟候虎は罵り言った。

「この逆臣が!とらわれの身で、まだ何か言うつもりか、それともまだ逆らいたいのか。

昨夜の五崗鎮の英雄でも、今日は天下の極悪人よ。早く表へ引きだして斬首し、さらし首にしろ」

蘇全忠も声を張りあげた。

「殺すならさっさと殺せ!何をもつたいつけている。この蘇全忠、死など少しも恐れていない。ただ我慢できないのは貴様らが天子を惑わし、民を害して、成湯の偉業を滅ぼそうとしていることだ!お前らの肉を生きたまま喰らってやれないことが口惜しいわ!」

祟候虎はカンカンになって怒鳴った。

「くちばしの黄色い小僧が何をぬかすか!捕虜の身でよくもほざいたな!」

そして祟候虎は即座に命じました。「この小僧を引きずり出して斬ってしまえ!」

近習の者が言われるままにしようとしたところへ、祟黒虎が制止した。



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