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封 神 伝  作者: 原 海象
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第13話 祟兄弟集結!姫昌は当てにできない信頼できるのは身内だけだ!

初めまして!原 海象と申します。


今回は有名な『封神演義』の編集・アレンジバージョン『封神伝』を投稿致しました。


「封神演義」は明代以前に発行された神魔小説で、今の形になったのは明代の編者 許仲琳によって現在の形になりました。また漫画やアニメとなったのは安能務先生の封神演義版によって一代ブームとなり、皆様のよく知っている形となりました。原作と安能務先生の翻訳ではかなり違いがありますが、ライト小説らしくできるだけ読みやすいようにしております。


<封神伝>

第13話 祟兄弟集結!姫昌は当てにできない信頼できるのは身内だけだ!


夜襲を駆けられ逃げまどい、伏兵に待ち伏せられて狼狽した祟候虎は、伏兵が去った後も恐怖のあまり馬から降りなかった。祟候虎親子は傷の痛みをこらえ、一晩中馬を走らせてすっかり疲れきっていた。

ついて来ている敗残兵もわずかにもとの一割ほど、それも皆傷を負っているといった状態であった。


祟候虎はこれを見て意気消沈しているところに、黄元済が進み出て口を開いた。

「我が君、そのように嘆かれますな。勝敗は兵家の常。昨夜はつい一時の油断から

敵の策にはまってしまっただけのこと。

まずは将兵をしばし休ませ、西岐に文書を送り、西伯候にすみやかに援軍を送るように催促しましょう。


その上で我が軍を整え、これから戦に備えるのです。

そうすれば兵力増強もできますし、今日の恨みを晴らすこともできるというもの。

いかがでしょうか?」


祟候虎はしばらく考えてから答えた。

「いまや憎いのは蘇護ではなく姫昌だ。やつは兵を出さず日和見をしているが

君命を受けながら兵を動かさないのは、明らかに反逆ではないか。

もしここで俺が援軍を催促すれば、聖旨を無視した奴の罪を問うことはできなくなる」


迷っているところへ、遥か彼方から一群の人馬がやってくるのが見れた。

また来るのか。祟候虎は蒼ざめ、驚きのあまり魂が消し飛びそうになった。慌てて乗馬して前方をみると先頭にはためく二本の旗、牙旗と曹州旗

そして、その中央に一人の大将には見覚えがある。


鍋底のように黒い顔、真っ赤な髭、白い眉の下には金色の光る目。

頭には九雲列焔飛獣冠を被り、連結の鎧と赤い戦砲をまとい、身分の高さを示す白玉の帯を締め、

火眼金晴獣(赤眼で瞳が金色の乗騎獣)にまたがって、二本の金斧を手にしている。


この人物は祟候虎の実弟で曹州を治める祟黒虎であった。


祟候虎は相手が実弟の祟黒虎であることを知って安心した。

祟黒虎はあきれ顔で狼狽する兄者を見て言った。

「長兄が戦に敗れたと聞き、わざわざ助太刀に来たのだが、ここでお会いできたのは運がよかった」


甥っ子の祟応彪すおうひょうもも馬上で欠身して挨拶をした。

「叔父上、はるばるご足労おかけいたしましてありがとうございます」

「お前も無事でよかった。それがしは、長兄と兵を合わせ、あらためて冀州を攻める為に参ったのだ。これから冀州城下に赴いて、設営する。お前は、父上を助けて、後から合流せよ」


こうして兄弟は兵を合わせた。

巣黒虎は三千の飛虎兵を先鋒として率いていたが、さらにそのあとには二万の大軍が従っていた。

彼らは再び冀州に到達し、城外に兵営を設けた。


冀州城下に着くと、曹州軍は設営にかかる。その知らせを受けて、こんどは蘇護が蒼ざめた。

祟黒虎都は蘇護と盃をかわした義兄弟である。しかし、彼はきっと実兄の敵討ちに現れたに相違ない。そう思って蘇護は暗然と思案にくれた。


そのようなうちに、曹州兵が城外から戦いを挑んでかかってきた。

冀州の報馬(騎馬斥候)はさっそくこれを蘇護に知らせた。

「曹州の祟黒虎が手勢を率いて城外に押し寄せてきました」


蘇護はそれを聞いて頭を垂れ沈黙していたが、やがて口を開いた。

「祟黒虎は、武芸百般の達人である上に、幼少のとき仙人を師とあおぎ玄理を心得て妖術を使う。

城内の諸将ではいずれも彼の相手にならないだろう。いったいどうしたものか……」


これを聞いた諸将は、いずれも自信なさげにうつむいた。ただ一人蘇全忠のみが否をとなえた。「『兵来たれば将に当たり、水来たれば土で圧す』しかないでしょう。

祟黒虎一人に、何を恐れることがありましょう」


蘇護は言う。

「お前はまだ若いからわかっておらん。武勇を頼んでの怖いもの知らずもの結構だが。

あの祟黒虎はかって仙人から玄術を学んでいて、百万の軍の中にあって敵の大将の首をとるなどは、彼にとって袋の中のものを取り出すように造作もないことなのだ。見くびってはいかん」


蘇全忠は大声を上げた。

「何故父上は、敵を過大評価して、味方の士気をくじくようなことをいうのです?

わかりました。わたしは祟黒虎を生け捕りするまでは、誓って父上にお目にかかりません」


「自ら敗れに行くようなものだ。きっと後悔するぞ!」と蘇護は言ったが、蘇全忠は耳を貸さない。


たちまち馬に飛び乗り、一気に城門を駆け抜けた。曹州軍の轅門に現れるとただ一騎先駆けし

高らかに大声をあげて叫んだ。

「曹州兵につぐ!ただちに陣営に戻り、蘇全忠様が祟黒虎に話があることを伝えろ」



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