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白金の聖女  作者: 座頭海月
始まりの聖女
8/10

第7話 囚われの少女(偽)




 うーん⋯これは俗に言う誘拐というやつだろうか?


 男に突然体を縛られ檻に閉じ込められ、馬車で連れて行かれることはや一時間。突然のことに思考停止してしまっていた。

 

 だが突然のことすぎて全く理解ができなかった。これはどうすればいいのだろうか?逃げる?いやでも縛られてるしなぁ…


 そう困惑していると馬車が開く。


(ここは⋯森と洞窟か?)


 周囲を見渡すが目の前にある洞窟と深い森ということ以外はわからない。


「これが今回の獲物か?」

「はい。あの村に泊まっていた冒険者の女です」

「そうか。それにしても随分といい服を着てやがる。教会の人間か?」

「いえ、そこまで詳しくは聞いてませんが⋯」

「まあいい。とりあえずこの女は奥に運んどけ。女だからって手を出すんじゃねぇぞ?この女は大事な餌なんだからなぁ」


 そんなことを話している俺を誘拐した男と赤い派手なローブを着た男。


 その二人を見ていると突然檻が持ち上げられる。うおっ!?


 雑に持ち上げられて体勢を崩し檻の中で頭をぶつける。うぅ、散々である。


 抗議するようにじっと男たちの方を見つめるが男たちはその視線を気にすることなく洞窟の奥に入っていくのであった。


























「暇ですぅー!!!」

「うるせぇな!突然叫ぶんじゃねぇ!」


 監視の男にそう叫ぶ。


 檻の中に閉じ込められて1週間ほどが経過した。その間俺は与えられた飯を食べ排泄をして寝る。といった事を繰り返していた。


 出てくるご飯は黒く硬いパンと雑草スープだけである。どちらもまずいが我慢すれば食べれないことはないといったレベルだ。


 排泄に関してはしたいというと手を縄で繋がれたまま外に出てするのだが一応見ないように顔を逸らしてくれる。


 まあ音は聞かれるので恥ずかしくはあるが元男なのでそこまでである。嫌なものは嫌だが⋯


 そんなこんなで経過した一週間だが俺のやることは目の前にいる監視役の村にいたお兄さんと話すだけだ。


「そろそろ出してくれてもいいのではないでしょうか?」

「駄目だって言ってるだろ⋯」

「ですがもう一週間ですよ?私はなぜ囚われているのでしょうか?理由くらいは教えてくれても良いのではないでしょうか?」


 暇なのでガンガン話しかける。はじめはあまり刺激しないようにしていたがどうやら俺はなにかの『餌』らしく暴力などは振るわれない。なのでここ2日は遠慮することも無くなり積極的に話しかけていた。


 まあ大半が無視されるのだが、暇つぶしにはちょうどいい。逃げるかも考えたのだが今はなぜ誘拐されたのか気になるので脱出しようとは思わない。


 はじめは動揺したがよく考えれば能力を使えば盗賊の彼らの拘束は簡単そうだし⋯


「暇ですよー」

「⋯⋯⋯」


 返事がなくなった。どうやらサービスタイムはここまでのようだ。


 やることがなくなったのでぼーっと檻の外を眺めていると複数の足音が聞こえる。結構な人数だ。


 足音の方をよく見ると10人ほどの顔を怪しげな仮面で隠した黒衣の者たち。なんかいかにも怪しげな奴らである。


「この者が?」

「ええ、お約束の品ですよ」


 黒衣の者たちと話す赤ローブの男。


「では、鍵を頂こう」

「こちらです」


 赤ローブから鍵を受け取るのは先頭にいた仮面の男。そのまま仮面の男は檻を開けこちらの方に近寄ってくる。おお?なんだてめぇ?やんのかおい。


 そう心の中で威嚇しながら男を見つめる。


「⋯ん?」

「どうかしましたか?」

「この少女はほんとに依頼の女か?」

「はい⋯?たしか村に来ていた二人組の冒険者の女の方ですよね?」


 そう言う赤ローブに返事をすることなくこちらに近寄る仮面の男。そのまま仮面の男は俺のフードをめくる。


「違う⋯この女ではない!」


 ⋯村に来ていた冒険者二人の女の方って⋯え?もしかしてルミアのこと?


「どういうことだ!?我々を騙したのか!!」

「チっ、しくじりやがって⋯この程度の誘拐もできねぇのかよ⋯これだから無能は困る⋯」


 その瞬間、檻の外にいた仮面の集団の一人が倒れる。背中にはナイフのようなものが刺さっていた。


「貴様!」


 それと同時に仮面の男たちは武器を取り出す。後ろからはいかつい男たちが武器を持って現れる。


 そうして、突然の大乱闘が始まったのであった。







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