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白金の聖女  作者: 座頭海月
始まりの聖女
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第6話 はじめての経験



「やっぱりここは当たりだな」

「そうよね。ここまで料理が美味しい宿は珍しいわ」

「そうなんですか?」

「ええ。中にはパンとくず野菜を出すような所もあるから⋯」


 なんと、異世界で初めての料理は普通より素晴らしいものだったらしい。これからはこういったものを期待していると少し損をした気分になるだろう。注意しておこう。


「明日に俺達はグロリアに戻るんだが、セシリアもついてくるってことで大丈夫だよな?」

「ご迷惑でなければですが⋯」

「俺は大丈夫だ。ルミアも大丈夫だよな?」

「もちろん大丈夫よ。人は多いほうが楽しいし」


 アレクとルミアは俺をそう受け入れてくれる。優しい。


「じゃあ今日はもう寝よう。明日も早いし」


 そういうアレクに二人で頷く。そして俺達は部屋に戻ることにした。部屋がどんな状況であったか、その時の俺は忘れていたのだ。



 
















「じゃあもう寝ましょう」

「あっ、はい⋯」


 ベットに寝そべる彼女はそう俺に告げる。ついにこのときが来てしまった⋯

 

 さっきの着替えのときは余裕がなかったが部屋に入ったとき少しだけ違和感があったのだ。


 部屋の中にはタンスと一つのベットだけ。そう、ベットが一つしかないのである。不思議だよな?普通二人で同じ部屋に泊まるならベットは2つないとおかしいだろう。


「どうしたの?そんなところでぼーっとして」

「あ、えっと⋯その⋯」


 さて、問題だ童貞諸君。この状況で俺が選ぶ選択肢はなんだと思うかね?あっ、童貞にはわからないかぁ!⋯俺もわからん助けて。


 そんなことを考えている俺の方を不思議そうに見る彼女。愛らしい顔つきは文句なしの美少女である。一緒に喜んで寝たい。だがもしアレクとルミアが恋仲だった場合どうだろう?俺がいるから見せていないだけで実はイチャラブカップルだったらどうする!?気まずいのと罪悪感ですごいことになっちゃうよ!?


 いや、アレクと恋仲ではなかったとしても何も知らない彼女を騙していいのか。


 そんなことを考えているといつの間にか彼女は俺の目の前に来ていた。


「ずっと難しそうな顔してどうしたの?熱でもあるのかしら?」


 そう言いながらおでこをくっつけてくる彼女。

 

(うん、なんでもいいか!)


 俺は欲望に敗北した。























 目に当たる光から逃れるように体を動かす。だが何かに捕まっているようで思うように体が動かない。


「んっ⋯?」


 目を開けるとそこには絶景があった。控えめながらもしっかりと主張する美しい山。温もりを感じられるその山は女性特有の柔らかさをしていて⋯


(ふぉぉぉぉぉぉお!!!)


 初めて感じるその柔らかさはまるで母のような安心感で俺を包み込んでくる。どうやらルミアは俺に抱きついて寝ているらしい。


(え?というか女の子ってこんなに柔らかいのかよ!?)


 自分の体を少し触っただけではわからなかったその感触に俺は興奮する。


 先程まで寝起きだった意識は完全に覚醒していた。

 

 今はこの感触を全力で楽しまなければならないと俺の本能がそう言っている。


 それから一時間、俺は全力でその柔らかさを堪能したのであった。


















「おはようございます。ルミアさん」

「んー。おはよー」


 そう返事をする彼女を眺める。寝ていた彼女はさっきまでの俺には気づくことはないだろう。


 少し目をそらしながら彼女に話しかける。


「今日はいつ出るんですか?」

「そうね⋯昼過ぎくらいだと思うわ」


 昼過ぎか⋯まだ時間はあるな。


「少し村を見てきてもいいですか?」

「ええ、大丈夫よ。でも昼食はあるからお昼には帰ってきてね?」

「はい、わかりました。それでは行ってきます」


 そう言い俺は部屋を出る。


(さて、どうしようか?)


 異世界で初めて来た村である観光はしてみたい。だがどこに行くべきか⋯


 まあここで考えていても仕方ない。とりあえず外に出よう。


 フードが邪魔くさいのだが夕食のときに二人に絶対に外さないようにと強く言われたのでかぶっておく。やはり女性が一人でいるのは危ないのだろうか⋯


 少しだけ不安に感じるが、異世界を感じる貴重な経験だ。そう思いながら村をウロウロとする。昨日来たときにも思ったがやはり人が少ない。たまに見かける人もご老人ばかりだ。


 何をしようか⋯?金もないし土地勘もない。そんな俺ができることはほぼないと言ってもいいだろう。おっ?若い兄ちゃんを発見!


「こんにちはー」


 そう挨拶をするとその兄ちゃんは怪訝そうな顔で俺の方を見てくる。ありゃ?なんか間違えた?


「あんた⋯ここの村の人間じゃねぇよな?」

「あ、はい。そうですけど⋯」

「そうか⋯」


 なんだろうか?この人はこの村の人じゃないのか?


 そう思っていると、その男がこちらの方に近づいてきた。


(おぉ⋯でかい⋯)


 今の俺の身長が低いのもあるのだろうか。感覚だが150くらいだろう。だがそんな俺を圧倒的に上回るこの兄ちゃんは190くらいはあるのではないだろうか。


「えっーと⋯どうかしましたか?」


 そう聞くと兄ちゃんは返事をすることなく俺の腕を掴む。およ?


 なんだろうなーっとぼけーっと男の動きを見ているといつの間にか俺は男に拘束されていた。あれぇ?ナニコレマジック?


 そして俺はまるで当然のように誘拐されたのであった。




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