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白金の聖女  作者: 座頭海月
始まりの聖女
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第1話 神様の優しさ?



「ここが死後の世界ってやつ?」


 雲の上から空を眺めながらそんなことをつぶやく。夕日がきれいと言うこと以外感想はない。


「もう少し片付けたほうが良かったかねぇ⋯?」


 小さい頃から何かを集めるのが好きだった。缶バッチやペットボトルのキャップ、ビー玉など、大人になると刀や高いカード、アニメグッズや美術品など様々なものを興味がなくても買い集めていた。


 はじめの方は飾ったりしていたが新しいものを買うと場所が足りないのでダンボールの中に古いものを詰め込む。そのダンボールを部屋の隅に置いたりしていたため部屋はどんどん生活場所がなくなっていくが集めることをやめることはできなかった。


 死ぬ瞬間は覚えている。部屋に積み上げていたダンボールの上にネットに売ってあったよくわからない本を投げて、その衝撃で落ちたのだと思う。


「痛かったなぁ⋯」


 身体をさすりながらひとりごとを言うが特に返事があるわけでもない。死ぬ瞬間を思い出しながら俺は何もない場所を歩き出した。


























 この場所に来てから何日が経ったのだろうか?流れる雲を見つめながらそんなことを考える。景色は動くが日が落ちることもなく、お腹はすかないし眠くもならない。歩いてみても終わりが見えることはなく動くことすらなくなった。こんな状況だが精神に異常はない。不思議な状態である。


「暇だぁぁぁあああ!」


 大きな声で叫ぶ。ただ気を紛らわせるために叫んだだけで返答には期待していなかったのだが突然後ろから人の声がした。


「なんじゃ!?」


 ここに来てから初めて聞いた人の声。声がした方を振り向くとそこには、驚いている老人がいた。































「なんでここに人がおるんじゃろうか⋯?」


 そんなことを老人が言っている。この老人はどうやら地球の神様のようなものらしい。とは言っても厳密に言うと神様ではないらしいが⋯そんなことより気になるのは俺がこれからどうなるのかである。


「俺って結局どうなるんですかね?」

「そうじゃのう⋯まあ普通に輪廻の輪に戻すことになるかのぉ⋯」

「ここから出られるならOKです」


 そう言うと神様は驚いた顔をしてこちらの方を見つめてくる。


「怖くないのかね?」


 そう聞かれるが⋯実感がわかないのだ。これから自分が消えると言われてもどんな気分か全くわからない。不安といった感情はないのが確かだ。そう伝えると神様は不思議そうな顔をしながらもそうか、と答えた。


「では、ゆくぞ?」


 そう言うと身体がだんだんと光となって空に消えていく⋯すごいゆっくりだ。おぉ⋯?身体が浮いていくような感覚である。ん?あの本は⋯


「その本あなたの本だったんですね」

「ん?」

「あなたが手に持ってる本ですよ。何も書いてなくて適当にダンボールの上に置いたんですよ。その衝撃でダンボールが崩れて死んだけど⋯」


 その瞬間、突然身体が光になる現象が止まる。体は透けているがまだ意識は残っているんだが⋯?


「何かありました?」


 すると神様は冷や汗を浮かべながら本のことを聞いてきた。


「これはお主の家にあったのか?」

「えぇ⋯まあそうですけど⋯?」

「少し待っておれ⋯」


 神様は無言のまま目を閉じる。何をしているのかと思っていたら突然、


「やはり今のはなしじゃ!」


 と声を張り上げてそう言う。


「なし⋯ですか?」

「うむ!お主には今から異世界に行ってもらう」

「異世界ってエルフとか獣人とかいろんな種族がいるようなやつですか?」

「うむ。何か不満はあるか?」


 消えるはずだったのにそんな素晴らしいご褒美をもらってもいいのだろうか?そう思いながらも、


「いや、大丈夫っすよ。俺オタクだったんで。ただなんで突然そうなったのかな?と思っただけです」


 と答える。もの集めとは別に、よく小説を買っていたものだ。異世界に憧れたことは何度もある。文句なんてあるわけがない。


「まあわしにも色々事情があるのじゃ!ちょっとした優しさのようなものじゃ。そんなことより何か質問はあるかのう?」


 と言われたので少し考える。俺の知るような異世界の場合はやはり魔物などもいるのだろうか?そう聞くと、


「うむ。当然そういった生き物もいるぞ?」

「流石に日本生まれ日本育ちの俺に化物相手は厳しいんですが⋯」

「ふむ?」


 なにかチートのようなものを貰えないかなぁと少し期待しながらそう言うと神様は、


「ではお主に一番合うものを用意しよう」


 そう言うと神様はまた考え込む。また少しの間暇な時間が過ぎると


「ほほぅ⋯お主にはこれが一番なのか⋯」


 そう言うと手に持った本をこちらに渡してくる。


「この本ですか?何も書いてなかったんですけど⋯」

「それはこの本にまだ何も入っていないからじゃ」

「入っていない⋯?」


 本を受け取りながらそう聞くと神様はこの本の説明をしてくれる。


「この本は強欲の書じゃ。物を集めるとそれ相応の力を与えるという物なのじゃよ」


 神様が言うには向こうの世界にはたくさんの武器や防具、魔導具などがあるらしい。それを本に記録するとそれを使うことができるらしい。コピーのような感じでその物を見るだけで記録することができるらしい。他にも物を記録すると身体能力が上がったりと便利な能力があるらしい。らしいだらけであるが聞いただけなので仕方がない。


 名前は物騒だったが結構なチート能力では?自分の性格に随分とマッチした能力である。


 色々説明を聞いているとそろそろじゃなと言う。


「実はお主の体は欠けてしまっておるのじゃ。魂に問題はないが新しい体を用意せねばならん。何か要望はあるかのう?」


 と言う。あ、これやっぱり消えかかってたんだと思いながら、


「そうですね⋯うーん、やっぱり容姿はいいほうがいいよな⋯?世界一素晴らしい容姿とかってできるんですか?」


 そう聞くと問題ないと言われる。


「じゃあ白金の髪に金色の瞳で世界一美しい容姿とかでいいですかね?」


 ゲームで昔見たことがあるかっこいい王子様のようなキャラを思い浮かべながらそう伝える。地球では地味で冴えない顔だった。生まれ変わるならそれくらいはいいだろう。


「うむ、問題ないぞ」

「じゃあそれで」


 そう言うと神様はすぐにそれじゃあ行くぞと言うと次は魔法陣のようなものが出てくる。


「おぉ!?」


 さっきとは違い目の前が突然光で満たされる。光の中で段々と意識が薄れていく。意識が途切れる寸前、マジですまんかったのうと言う声が聞こえたような気がしたが神様がマジなんていうわけがないので気のせいだろう。

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