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『秋の歴史2022』投稿作品

海の向こうからの手紙

作者: 桜橋あかね

[注]

この物語に出てくる人物は、フィクションです。


▫▫▫


芽島家:鎌倉に昔から住んでいる名家。

現当主の芽島葵子は、当時では珍しいオランダ語の翻訳家である。

大正初期の頃。

――ここは、鎌倉。


「……こんにちは。芽島(めじま)殿はいらっしゃるか」

外から、声が聞こえた。


「はい、ただいま」


この家の当主である、芽島葵子(めじまあおいこ)が出る。


「手紙でございます」

そう、配達員が手紙を渡した。


「あら、そうでございましたか。ありがとうございます」


この切手と消印、文字からして和蘭陀(オランダ)からだ。

部屋に戻り、封を切る。


中身を出してみると、折り畳まれた紙と写真が出てきた。

手紙を開くと、達筆な和蘭陀(オランダ)語が書かれている。

写真は、家族写真であろうか。


葵子は、書斎の席へ座り……手紙を読み始めた。


▪▪▪


拝啓 アオイコへ


僕の事を覚えている、かな。

長崎で宣教師として活動している、エドウィンさ。


アオイコと出会ったのは、昨日のように覚えているよ。

鎌倉の地を知りたいと思ったときに、丁度アオイコが相手してくれたのが、交流の始まりだったね。


実家に帰省したあと、落ち着いたからこの手紙の筆を執ったのさ。

ほら、こちらの家族の顔を見たいと言っただろう?

だから、写真と共に送ろうと思ってね。


帰省したのは良いものの、いつ戻れるか正直分からないのが現実でな。

地元の教会の宣教師が、人手不足で僕に話が来たのだ。


日本に戻ってきた際、またアオイコの世話になるかもしれない。

その時、またよろしく頼みます。


それでは、また逢う機会まで。


エドウィン・ウーウェルト


▪▪▪


手紙を読み終えた葵子は、写真を見た。


真ん中に居るのは、エドウィン。

その右隣に居るのは、母と父。

そして、その左隣は妹。


なんと微笑ましい写真だろうか。


「……記念に、取っておこうかしら」


書斎の片隅に、写真と手紙を飾った。


この手紙は、彼女の思い出の片隅と……

運命の糸となったのは、また後日談であります。

読んで頂き、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 秋の公式企画から拝読させていただきました。 優しいお話ですね。 遠い海を挟んだ恋が実を結ばんことを。
[良い点] さり気の 「結婚前提に付き合って」の意思表示ですね分かります [一言] 記念に取っておこう。 この台詞がこの物語をビシッと整えてますなフッ
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