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Bクラス②

~クヨトウ南第三冒険者学院、冒険科Bクラス~


教室の中には、

自身の順位とクラス分けを確認した

学生が続々と集まっていた。

Bクラスにある机には

29~56までの番号が振って有り、

発表された順位が自身の出席番号となる。

そそくさと教室へ入ったエミーレは、

46番の席に座ると痛めた肩に手を添える。

「(・・何なの馬鹿力で・・・“治癒”)」

自身の持つ治癒技能を発動させると

肩の痛みを和らげていった。

「治癒の力だね」

不意に45番の席に座ろうとする

男子に声をかけられた。

「ノ、ノウビシウム・・弟!」

エミーレは驚いた拍子に

そう口走り、

慌てて口を押えた。

「君がアベーレだな?まさか治癒士だとは・・」

ドキッ!

反対側からの声に驚きつつ

エミーレは47番の席に視線を移した。

「(あ、兄ナトス・・二人に治癒技能を見られた・・)」

エミーレはナトスとミノアに

治癒技能を見られたのがよほど恥ずかしかったのか、

赤面してしまう。

「おばさん以外の人が治癒技能使ってるの初めて見たかも」

「お、おばさんって・・ピュ・・」

「どうした顔が赤いぞ、熱でもあるんじゃないか?因みにおばさんの治癒は病気も治せる、見てもらいに行くか?」

「え!!」

ガタ!

エミーレはミノアとナトスの言葉を聞き、

勢いよく立ち上がると、

狼狽えつつ言う。

「あ、会えちゃうの!ピューネ・ノウビシウム様に!?」

ナトス/ミノア「?」

ガラララ。

「はい!皆ー席に着いてー」

教室のドアが開かれ、

教壇に向かう男性の声が響いた。

「あっ・・」

エミーレが我に返ったように

慌てて座ると、

ナトスの隣、エミーレと反対側に

女生徒が滑り込むように座り、

呟く。

「・・セーフ・・」

「(・・48番、同じ班になる子だな・・)」

ナトスが横目で気にしていると、

教団から声が響く。

「よーし、皆揃っているようだな・・俺はこのBクラスを受け持つロミシュだ、約10か月間の付き合いになるが、宜しく頼む!」

ロミシュと名乗る教員が、

名簿と目の前に座る生徒たちを

照らし合わせながらそう言い、続ける。

「皆も知っての通り、この冒険者育成科に編制された時点でA・B・Cクラス関係なく冒険者ランク章が発行されている・・ランクは最低のGだが・・」

ロミシュは“G”と鉄のプレートが

打ち込まれた木製のランク章を一つ手に取り、

皆に向かって続ける。

「一人一人、紹介を兼ねて名を呼ぶ、呼ばれたものから順次取りにこい!」

ロミシュはランク章の裏を確認し、

名簿と照らし合わせ言う。

「・・29番!スレイ・ディラード!召喚士!」

「は・・はい!」

ロミシュが生徒の名を呼び、

順次ランク章を渡しだすと、

「30番!アネリオ!剣士!」

「ハーイ」

48番の席に滑り込んだ女生徒が、

小声でナトスに話しかけた。

「ねー・・」

「ん?」

「あんたってノウビシウム家の人間だよね?」

「45番のあいつもそうだ」

「・・お父さんはアンプレス・ノウビシウムだよね?」

「45番のあいつもそうだ」

「・・・(な、なにこいつ・・めんど)」

「33番!ガイド!狩人!」

「はい!」

ナトスが普通に返答しない事に

その女生徒は苛立ちを感じた。

「34番!キーヨ・マルプティ!魔法士!」

「は、はい・・」

しかし気を取り直し、

質問を続ける。

「じゃ、じゃぁさ、お母さんはソロル・ノウビシウムだよね?」

「何を隠そう45番のあいつもそうだ」

イラッ!

「(こ、こいつウザすぎる・・でも、父親は民間ギルドA型“アルフィーン”のギルドマスター、アンプレス・ノウビシウム・・母親はあのノウビシウム家現在の当主、ソロル・ノウビシウム・・こ、これは間違いない・・期待大!この班編成は大当たり!!)」

「38番!レポー・トランス!斥候!」

「ういぃ!」

ロミシュのランク章手渡しが進む中、

ミノアが小声でエミーレに話しかける。

「ねぇエミーレさん」

「え?・・な、何?」

「ピューネおばさんの事知ってるの?」

「し・・知ってるも何も・・むしろ知らない人の方が少ないんじゃない」

「え!?そうなの?・・有名人って事?」

「・・その反応・・まじ?」

その話を聞いていたナトスが

声をかける。

「ただの30を超えたおばさんだぞ、因みに怖い」

「・・ふん、冗談でしょ、怪我も病気も治せる治癒士様・・きっと絵本に出てくる聖女の様な方よ・・」

ナトス/ミノア「(・・・聖女!?)」

エミーレが憧れの眼差しで空を

見つめる中、ナトスとミノアは

困惑の表情を浮かべた。

「45番!ミノア・ノウビシウム!剣士!」

「あ・・はい!」

ミノアの名前が呼ばれると、

教室内の生徒が“ノウビシウム家”と

所々で呟き一瞬ざわつく。

「(・・はは・・何だろ・・・)」

ミノアがロミシュの前まで来ると、

ロミシュからランク章を手渡される。

「ランク章だ首からかけておけ」

「は、はい」

ロミシュはミノアにランク章を渡すと、

続ける。

「46番!エミーレ!治癒士!」

「はい・・」

エミーレの名前が呼ばれると、

教室内の生徒が“治癒士”と

所々で呟き一瞬ざわつく。

「(・・は・・はずい・・)」

エミーレが恥ずかしがりつつ

ロミシュの前に来ると

ロミシュがランク章を渡しながら言う。

「因みにこのクラスに治癒士は2人だ、ランク章は首からかけておけ」

「え・・あっ、はい・・」

ロミシュは続ける。

「47番!ナトス・ノウビシウム!斥候!」

「・・はい」

ロミシュは自分の手元に有る名簿に

視線を移し、ある項目を確認する。

「(・・ミノアもナトスも持ち込みの申請をしていない・・上流階級・・裕福なはずだが・・・)」

ロミシュはさらに視線を動かし、

別の項目を確認する。

そこにはナトスの欄に“S”と表記されていた。

「(適正・・S・・)・・はっ」

ロミシュはナトスが自分の目の前に

来ているのに気付き、

ランク章を手渡す。

「ランク章だ・・」

「首からかけときます」

ナトスはランク章を受け取ると、

首に掛けながら席に戻っていった。

ロミシュは気を取り直し、続ける。

「・・48番!ラン!魔法士!」

「イエス!」

ランと呼ばれた女生徒が上機嫌に

ニコニコと歩いてくるのを見た

ロミシュは大きなため息を付く。

「はぁ~・・(こいつ・・)」

足取りの軽いランはロミシュの前に来ると、

両手を前に出した。

ロミシュはその手にランク章を置きつつ、

小声で言う。

「えらく上機嫌じゃないかラン・・」

するとランも小声で返す。

「ロミにぃ・・私の班は大当たりだよ」

「学園でロミにぃはやめろ・・それにお前の予想は外れてる」

「ん?」

ロミシュは声の大きさを戻し続ける。

「ランク章だ、首からかけておけ」

「了解!」

ランは敬礼しそう言うと、

上機嫌で席に戻っていた。


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