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Bクラス①

~異世界メジューワ、リデニア国首都クヨトウ南街~

~クヨトウ南第三冒険者学院~


1月10日、学院生活最後の10カ月を過ごすための

クラス発表が行われていた。

先月12月20日に行われた、各学生の進路別実力試験の

結果を基に発表されており、

冒険者育成科の前にも希望した学生で

混雑していた。

その中に自分の名前を探す

二人の男子学生が居た。

~~~~~~~~~~

43位:・・・・・・・・・

44位:・・・・・・・・・

45位:ミノア・ノウビシウム

46位:エミーレ

47位:ナトス・ノウビシウム

48位:・・・・・・・・・

49位:・・・・・・・・・

~~~~~~~~~~

「フ・・47位、冒険科希望者92名の内ほぼ中間、悪くない」

「僕も45位、狙い通り、同じBクラスだね」

見た目も性格もあまり似ていないこの二人は

双子の兄弟である。

「・・しかし、このエミーレと言う人物・・・」

「前回も前々回も、いや、もっと前の試験でも僕とナトスの間に居たよね?」

「そうだ、俺達の中間値、平均狙いを脅かす危険な人物だ・・・」

ナトスがそう言うと

ミノアは苦笑いを浮かべる。

「ははは・・そ、そかなぁ・・・」

すると前方の脇から大声が響く。

「オラァ!どけろ!見えねーだろーが!」

見るとひときわ体格のいい男が

人だかりをおしのけ突き進んでいた。

「どうだフレイドさん、これで見えるか?」

「ありがとうトリップ、早速確認して見るよ、まっ、見るまでも無いけど」

フレイドと呼ばれた学生は、

自身に満ちた顔でそう言うと

掲示板に視線を送った。

~~~~~~~~~~

01位:フレイド・ナビードル

02位:サイ・サイバーダ

03位:トリップ・ワグナー

04位:キャロル・ジョグルナ

05位:・・・・・・・・・

~~~~~~~~~~

「やっぱり1位か、まっ、当然か」

フレイドが言うと

一緒に居た女子学生が言う。

「キャハハ♪だよね!フレイド様なら当然よ!」

「そう言うキャロルは何位何だい?」

「私は4位、班編成でもフレイド様と同じよ!キャハハ♪」

「俺も3位だ、今後ともよろしく頼むよフレイドさん」

キャロルと呼ばれた女子学生が、

自身の近くに居た取り巻きであろう

女子学生に声をかけた。

「リサ、ジュナ、あなた達は何位だったの?」

「私は27位、一応Aクラス・・」

リサが答えると

ジュナも続く。

「28位、ギリギリAクラスです・・」

少し怯えた様に答えた二人に

キャロルは言う。

「あらら残念、Bクラスだったらここであなた達と縁が切れたのに・・・キャハハ♪嘘よ嘘!同じAクラスなんだから・・これからもよろしくね・・二人とも」

含みのある言い方と笑顔に、

二人とも怯えつつ答える。

リサ「す、すみません・・・よろしくお願いします・・・」

ジュナ「足を引っ張らない様頑張ります・・・」

「よし、邪魔したねみんな、行こうか」

フレイドがそう言うと掲示板から離れだした。

「おう」

トリップもそれに続き、

キャロルも動き出した。

「行くわよ二人とも」

リサ/ジュナ「はい・・」

立ち去るフレイド達を

遠くから見ていたナトスとミノアに

突然男子学生が声をかけた。

「よう!アベレージ兄弟、期待通りの結果だったな」

その声に振り返り

ナトスが言う。

「何だ、その呼び方は!素晴らしい響きじゃないか!」

「はぁ?・・・」

「そうだよ!みんなにも広めてよ、サイ!」

「はぁ・・・」

予想とは違う二人の反応に

サイと呼ばれた学生はため息を付き

続ける。

「安心しろミノア、もう広まってる、そのせいで“その女子”も変なあだ名で呼ばれてるよ」


人ごみを縫うように、

ピョンと飛び出た髪が進んでいく。

立ち去ろうとしていたキャロルが

それに気づき、フレイド達に言う。

「先に行ってて、後から追いつくから」

そのアホ毛の持ち主は小柄な女子学生だった。

その子も自身の順位を確認する為

掲示板に視線を送った。

「(ゲッ!・・・またノウビシウム兄弟に挟まれてる・・・)」

エミーレがそんな事を思っていると

後ろからキャロルに声をかけられる。

「あらあらアベーレさん、期待を裏切らない結果じゃない」

その声に振り返りエミーレは言う。

「(・・キャロル・・・)何か用?」

エミーレの対応にキャロルはムッとしつつ言う。

「私に付いてればAクラスだったかもしれないのに、残念ね」

「・・・それだけ?じゃぁ私は行くね」

立ち去ろうとするエミーレの肩を掴み

キャロルが呼び止める。

「待ちなよエミーレ!」

肩を掴まれたエミーレが言う。

「な、何なのよキャロル!」

「キャロル?あなた如きが私を呼び捨てに!?」

掴む手にギュッと力を籠め

キャロルはエミーレを睨む。

「ッツ!」

エミーレの肩に激痛が走る中

キャロルは続ける。

「許されるとでも?・・・」

パシ!

エミーレはたまらず手を振り払い言う。

「あなたはAクラス、私はBクラス・・それでいいじゃない・・」

そう言うとエミーレは

肩を抑え立ち去って行った。

「(それでいい?・・・いい訳ないじゃない!私の誘いを断ったのよ!孤児院出の分際で!・・・後悔させないと、徹底的に・・・人生そのものを後悔させないと気が済まない!!)」


「サイはアベーレの事を知ってるの?」

「エミーレな・・知らないよ、しかしアベレージ兄弟のせいで“アベーレ”を呼ばれるようになったのは知ってる」

ミノアの問いにサイが答えると

ナトスが言う。

「羨ましい奴だ・・個人でそんな呼び名を得るとは・・・」

それを聞きサイは観念したように言う。

「はぁ・・はいはい、平均である事が何でそんなに魅力的なのかはわからんが、人それぞれか・・・今から俺はAクラス、お前らはBクラスだ、離れ離れになったのは寂しいかな・・」

サイの言葉を聞きミノアが言う。

「サイは2位だよね、フレイドとかいう奴らと同じ班編成になるよね?」

「あぁ、4人の班分けは基本的に順位で線引きするからね、多分な、あんまり楽しい奴らじゃなさそうだ」

サイが答えると、

ナトスが言う。

「サイ、何か困った事があったら必ず俺達に相談してくれ、力になる」

その言葉を聞き

サイはある疑念を口に出す。

「・・なぁお前ら、前にも聞いたかもしれないけど、本当に“わざと平均点”取りに行ってないよな?本当は“1位2位狙えますけど”とかないよな?」

「そ、そんなわけないじゃん!」

ミノアが全力で否定し、

ナトスが怒った顔で続けた。

「人聞きが悪いぞサイ、それじゃまるで俺達が出来る子みたいじゃないか!」

「な、なんだよ、わかったわかったよ、急に怒り出すなよまったく・・・怒る事でもないだろ、ホントに・・・」

腑に落ちないサイだったが、

それ以上疑念を口には出さなかった。


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