第一章:5話 オーラハッジ王国のお話し
※胸糞悪い描写があります。苦手な人は見ないようよろしくお願い致します。
縄を締められ、入れられた檻の中は、薄暗く波の様に揺られながら何日が経過したのだろうか。
俺は一体何をしたって言うんだ!拘束される様な事なんてして無いぞ…クソ!
「着いたぞ降りろ!」
そして、布が被って薄暗かった檻が太陽のまばゆい光と共に扉が開き、俺は目を瞑り光を遮断した。
「早く降りろ!いくぞ!」
力強く引っ張られ、そのまま町の中に入っていくと見張り役の様な人が
「ご苦労様であります!レンフォン様!」
っと敬礼をして、レンフォンを通す
レンフォンって言うのか……俺のなりたい騎士が、こんな目の前に居るのに…話しが出来ないなんて…がっかりだ…っと俺は悔しがった。
そんな事を考えて、街を歩いていると多くの人がこっちを見ている。そして、こんなヒソヒソ話しが聞こえて来る。
「こんな、子供が囚われるなんて可哀想…」
「まったく!陛下も変わられたよなぁ。」
「あれだけ、優しかった陛下が、まさか子供まで、捕らえるとは…」
っと周りが騒がしい。そして、レイフォンがギロッと街の人の方を見ると、街の人は何も無かったかの様に立ち去る。
「あのー……これから僕はどーなるのでしょうか?僕は何も…しておりませんし…」
俺は、モジモジしながら、レイフォンに言うと。
「確実に死刑か何かだな、陛下殿は怒ってらっしゃる。お前何をした?ずっと聞きたかったんだが……何故あの村の近くが、あれだけ荒れてたんだ?」
っとびっくりした様に聞かれると、あの村であった事を全て話した。
「なん…だと!?」
一瞬の大きな声が響き、後ろに居た兵士達が慌てて走ってきて
「ど、どーかされましたか!?戦士長!」
「い、いや、なんでもない…」
レイフォンは、焦りを隠し誤魔化しながら言う。
「それは、本当か!だからあの場には、コーラム様とシーロ様が居なかったのか……あれぐらいの規模の魔法ならシーロ様なら……出来るかもしれん……」
いやぁ…それをしたのは俺なんだけど…っと思いつつも黙っていた。
ヒソヒソ話しで、俺とレイフォンは話している内に王の居る城に着き。
「ご苦労様です!レイフォン騎士長様」
っと敬礼をされながら城の中に入る。
俺は、初めて王宮殿を見て感激していた。
天井が見えないほど高く、とても広い広場があり
目をキラキラとさせていた。
この時俺は、こんな地獄に変わるなんて思ってもいなかった。
そして2階3階と、階段を上らされ扉の前に立つとレイフォンが
「オーラハッジ王国聖騎士隊一番隊隊長レイフォン=ベーネス只今お戻り致しました。」
っと大きな声で言うと、扉の中から『入れ』と言う声が聞こえて来る。
扉を開けるとそこには、髭の生えたお爺さんが立派な椅子に座り、高級そうな赤い絨毯がそのお爺さんに向かって敷かれていた。
赤い絨毯に導かれるままにレイフォンと俺は歩き出す。
そして、髭が生えたお爺さんの前でレイフォンが胸に手を当てて跪くと
「陛下!ご命令通り連れてまいりました」
「よくやった!レイフォンよ其方は仕事が早いよのぉ」
国王陛下が満足気な顔をして言うと。
「もったいないお言葉!有り難き頂戴致します。」
レイフォンがそう言うと、国王様が『本題に入ろうか』と真剣な眼差しになる。
「おっほん!タウラス=アーロンはピユロ村の侵略及び『ピユロ村の領主シーロ殿とコーラム殿を殺した罪』によりエランテル国家反逆罪と見做し罰する!」
咳払いをして、騎士達に連れて行け!っと怒った顔でそう言う。
騎士たちが一斉に『はっ!』っと敬礼すると、
5人程の鎧を着た人たちに囲まれる。
「待ってください!誤解です!僕はお父さんとお母さんにその様な事はしておりません!」
言っても誰も聞いてくれない。そして、首筋から鈍痛が響いて俺は目を閉じ気絶した。
…ロン……ア…ン…目を…なさい…
暗い暗い水の中にいる様な気がした。
息も止めてしまうぐらい静かで孤独を感じる。
なんでだ…なんで!俺がやった事になってんだよ……ちくしょう…
そんな事を考える場合じゃない!考えるな!っと思い
目を開けると、とてつもなく綺麗な赤髪で、眼も綺麗な赤い美女が暗い暗い所に一人でポツリっと立っていた。
「あれ…この人…どこかで見た気が……」
っと恐る恐る近づき、触れようとすると少女の口が動いた。
「ごめんなさい…アーロン…貴方にこんな辛い役目を押しつけて…本当にごめんなさい…」
涙をポロリっと出し、か細い声で言う。
「なんで…俺の名前を知ってるのですか!?貴方は一体…」
俺は、驚いた顔で言うと
「私の名前は『再生と秩序を司る女神・アリステラ』貴方の名前を知っているのは、この世界に送り込んだのは私なの…ごめんなさい…私…こんなことになるなんて思っても見なかったの…」
っと俯きながら憂鬱そうに言うアリステラ
「そう言う事だったんですね…それで目的は何ですか?魔王の打倒ですか?」
俺は、とても落ち着いていた。
そして、そんな事をアリステラに聞いた。
「今はまだ、何も言えないの…許して…もぅ時間だわ行かなくちゃ…ごめんなさい…アーロン……
一つ約束して!何があっても自分を見失わないで……」
アリステラがそう言うと俺の頭の上に手を翳し、口が動き始める。
「再生と秩序の女神が命ずる。私の全なる力を彼に差し出し、彼の者に神なる力と祝福を与えよ」
っと言うと、俺の体から光と力が込み上げてきて。俺の目の前からアリステラが消えた。
そして、俺の目が覚めると、そこは薄暗く手足を拘束され、牢屋らしき所にいた。
「くっ!はなせ!我を守りし天の大神よ我の手に水の精霊よ!ぐあああああ」
そう言葉に発すると電撃の様な痺れと痛みが身体全身に伝わってくる。俺は、大きな悲鳴を上げる。
「無駄だ!魔法を使用をしようとすると死にたいと思う程の電撃がお前を苦しめる」
そう言いながら、階段を降りて来る。
「ははは、これは…虐め甲斐がある顔してるじゃねぇか」
そして、鞭を持った男が、俺の口元を押さえ笑いながらそう呟いてくる。
俺は皮肉顔をして、彼を睨みながら
「そんな物を持って騎士様が拷問ですか…ははは」
っと俺は、そう言葉に発すると
「おい!黙れ!その口が動かない様に仕付けをしてやる」
鞭を持った男が、俺に数えられないほど鞭で叩かれ、俺は激痛を無言で耐えていた。
「俺…は…魔族でも…なんでも有りません…」
俺は、息を絶え絶え状態で言っていた
「まだ、そんな口を叩けるのか…まだ仕付けが足りない様だな…」
鞭を持った男は、顔や腰それからお腹などあらゆる所に鞭で叩く。
「ぐっっ」
俺は必死に絶えた。叫んだら相手の思う壺だと思ったから。
そして、鞭を持った男は腰からナイフを取り出す
「そうか…しかたないよ…あひゃひゃひゃ……これに耐えたらやめてやる」
そう言うと、笑いながら俺の爪に刃を突きつけてきて、一本の爪を剥がされた。
「ぐっっっ」
とんでもない激痛が走った。
俺は歯を食いしばり叫ばずにいると、また2本3本と剥がされた。
4本目で歯を食いしばり過ぎたのか歯が折れ、5本目になると、耐えきれず
「あぁぁぁぁ」
っと俺は叫んでいた。そして、また鞭を持って。
「ほら言え!自分は魔族ですって言え!」
と言われ鞭で叩かれた。我慢の限界だった俺は、激痛で言葉を言えないまま叫んだ。
「叫べ!もっと叫べ!」
っと連呼しながら大笑いして叩いて来る、鞭を持った男は『はぁはぁ』っと息を切らしながら『今日はこのくらいにしといてやる』っと言って出て行った…
そして、俺は痛みで何も考えられず目を閉じた。
そして、寝ていると神経繊維を通り身体中から激痛と衝撃が同時にくると俺は目を覚まし。気絶するまで拷問された。
深い闇の中に、小さな赤い炎の様なものが見えるなんだ、あれは…俺の中に何かいる…のか?
っとそう思うと、いきなり激痛が走り目が覚める。
目を開けると鞭を持った男が立ち尽くすと
パンと水を無理やり口に入れさせられ、飲み込むと
また、気絶するまで鞭で叩かれた。
「ヒールとカーロン元気にやってるかな…はは…お兄ちゃんは、頑張るよ…だから、お前らだけは…楽しくな」
っと俺は、死に瀬する様な声で独り言を呟いていた。
それから、何時間が過ぎたのかも何日経ったのかも分からない。痛みに慣れ始めた頃。
俺の目が覚めると、パンと水を無理やり口に入れられ、違う人が来て俺の事を殴ったり蹴ったり鞭で叩かれたり拷問を毎度毎度してくる。そんな日々が続き。
俺はもう、痛みすらも感じない叫びすらもしない。何も考えることもできない。段々と怒りと憎しみが湧き上がり、俺の精神と身体はボロボロだった。
「またここか…あれ…炎が大きくなってる…」
ここに居ると何故か息をする事を忘れ、俺の怒りと憎しみが湧いてきた。
何故だ…なんで、こんな事をさせられないといけないだ…喋ろうとすると、鞭で叩かれて痛みが押し寄せて来て喋れない……誰も助けに来てくれない…あは。あはははははは
「ぐっぐああああ。」
――っとここが地獄かの様に息が出来なくなるくらい、もがき苦しみ
その時、眠っている俺の中から、誰かが殺せ殺せと呟いてくる。
ああ…もう…殺…す…何もかも殺す。殺して殺して殺し尽くす。人間を殺す空想が見えて、俺が楽しくなって来たのが分かった。
そして、その炎が段々と大きくなり、俺の目の前まで来て触ろうとすると。
俺の中にいた何かが『ダメ…それを触っちゃダメ…』っと誰かが呟いてくる。その瞬間俺は、正気に返りお母さんとお父さんの事を思い出し、泣いていた。
「助けて、誰か助けて!お願いします!だれか…」
俺は、無我夢中に泣きながら大声で叫んでのたうち回る。もう…限界だった。こんな生活が痛みに耐えるのが、もう…何もかもがどうでも良くなった。
「助けてください…お願いします…何でもしますから!妹や弟に会わせてください…お願いします…」
っと鎖に繋がれた手足から血が出るほど踠き、
息を忘れるかの様に泣きじゃくりながら言葉を発していると
――バタンっと扉が開き
走って俺の方に来た。そこにはフードを被った小さな少女らしき体型の人が居た。
「おね…がい…します…妹や弟に会わせてください…たす…けて…ください…」
泣きながらそう言うと、フードからポロリっと涙を出しているのが分かった。
いやあ、ごめんなさい!胸糞悪いシーンを見させてしまって…
遂にアリステラが出て来ましたね…さて、ここからアリステラはどーなるのでしょうか?
少女は一体誰なのか!ここまで読んだ貴方ならわかるはずです…笑笑