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第一章:3話 ピユロ村の英雄のお話し1


 昨日の事で泣き疲れた俺は、ご飯を食べた後その場でぐっすり眠ってしまっていた。


ーーー朝になり、ヒールの叫び声で目が覚める。


「起きて!お兄ちゃん!早く用意して!外でカーロンと待ってるからね!」


「んん。あれぇ…昨日は確か…居間で…そうか、ここまで運んでくれたんだな…」

そして、俺はパチンっパチンっと顔を叩いて目を覚まし、ヒールの言っていた事を思い出す。


 そうか今日は、ヒールとカーロンと一緒に村に行く日か…

俺は顔を洗い、身支度を整えて外に出ると


「お兄ちゃん!おっそい!早く行こ!」


「あはは…ごめんごめん」

 俺は、頭を擦りながら薄笑いをして口にしていた。


「兄ちゃんも疲れているんだから、あんまり急かせるなよ…」


「カーロンお兄ちゃんは黙ってて!」


「な!?なんだと?ヒールだって寝坊してたじゃないか!後5分眠らせてぇ…お兄ちゃん…なんて言って」


「な…それは、言わない約束でしょ!」

二人は口論になった。ヒールとカーロンは本当に仲がいい。『喧嘩する程仲がいい』って言うけれど…こう言う事か。


「ププ…あははは」

 二人の仲良さに俺はつい大きく笑い、そして二人も釣られて笑っていた。いつの間にかいつも通りに戻っていた。


「では!お母様いってきます!!」

「いってきまーーーす」

3人がお母さんに言うと。


「あら?もーいくの?気をつけて行ってらっしゃい!あ、そうだ!村に行くなら人参とジャガイモをかってきて!」


「はーい」

 元気に言いながら、手を振り3人は歩き出す。


 俺は、この世界にきて初めてのお使いで調子付くと

無意識に昔見た番組の歌を、その時鼻歌で歌っていると

「お兄ちゃん!それ、なんて言う〈詩〉なの?なんかやる気が出てくるね!」


 この世界は〈歌〉っていう表現は無いのか…

何の、歌ってゆわれるとなぁ…どう、表現すればいいいんだ?『前いた世界の番組の歌』なんて言えないしなぁ…

「この歌は俺ら子供たちが旅立つ時の詩なんだよ?」


「そっかぁ!それじゃあその詩は、今の私たちにぴったりだね」

 ヒールは、目を閉じて満面の笑みで言う。


 ダメだ…可愛い…可愛すぎるぞ妹よ…俺も妹を持てばこんな感情になったのかな?

この子がもし、嫁に行く事になると、お父さんはともかく俺まで反対しそうだ……


ーーーー村に近づいてきた。


 っというか……こっちにきて3ヶ月だと言うのに、庭から村を見る程度で、実際街に来るのは初めてだなぁ…

薪を割ったり、掃除をしたり

ずっと、お母さんの手伝いとかしてたから、村に行きたい。なんて思った事もなかったしなぁ…


3人で仲良く手を繋ぎ歩いていると村が見えて

「おぉー、村だぁ!結構賑わってるなぁ!」


「兄ちゃん子供かよ!そんな興奮することかぁ?」


「そうかもしれないな…でもカーロンも子供だろ?」


「お兄ちゃんみたいに街をみて興奮する様な子供じゃ無いよ!」


「こ、このやろー!」

 と俺は言い、微笑みながらカーロンに襲いかかり横腹を擽る


「あはは、兄ちゃんやめてくすぐったい!」


「もぉ。二人ともほんっと子供なんだだから」



 そんなこんなしている内に村に付き、穏やかな村の人もひそひそとして、目が合うと頭を下げていた。やはり領主という肩書きは凄いなと驚く

村の人達は、『俺が異世界からの人』とは知らなさそうだ……やっぱり言えないよな『死んだはずの自分の息子が蘇って別次元の人になって戻ってきた』なんて。

「よかった…」


「ん?兄ちゃんなんか言ったか?」

  俺は、誤魔化しながら薄笑いを浮かべて


「いや、な、何でもない何でもない」


ーーーそしてある八百屋に着き

そこには、ハチマキを巻いていて太った八百屋の店長らしき人が居た


「おお!アーロン?アーロンなのか!?ひっさしぶりだなアーロン!」

俺の肩を掴み、嬉しそうに口にした。


「え、ええ…とても元気です!」

 この人の思うアーロンじゃないけど…今はアーロンを演じるしかないか…


「おお!そうかそうか!儀式の後から顔を見て居なかったからな、俺は嬉しいぞ!あ、でも、もちろんお前の親父からは『元気にしてる』って聞いてたぜ!」

 おっちゃんは、俺の肩を叩き、嬉しそうに言っていた。


「は、はぁ…い、痛い…」


「しっかし、大人になったもんだ…なんだかしっかりしたなぁ。2年とちょっとで、子供はこんなに変わるのか…なんか俺泣きそう…」


「おいおい!八百屋のおっさんが何でそんなに、泣きそうなんだよ!」


「うるせぇ!カーロン!お前は、相変わらずだな!」

 八百屋の店主は笑いながら、カーロンの頭を拳でぐりぐりとする


「い、痛えよ!おっさん!」


 凄く暑苦しい人だ…お父さんと仲良いのか?これは聞いておくべきだ!家に帰ったら聞いておこう…


「八百屋のおじちゃん!ジャガイモと人参買いに来ました!」

 ヒールが満面の笑みで言うと八百屋の店主が


「おお。ヒールお嬢ちゃん居たのか!今日もエライ別嬪さんだな!どうだ?コーラムの娘なんかやめて、俺の娘にならないか?」


おいおい…なんていう事をいうんだ!命知らずかぁ!この人は!こんなのお父さんが聞いたら…

いやいや、ていうか妹を渡すなんて断じて俺が許さん!と思っていると


「いいえ、八百屋のおじちゃんやめておきます。」

  ヒールは満面の笑みで断ると


「くぅ。全くコーラムが羨ましいぜまったく!」

  八百屋の店主は、何かに打たれたみたいに悔しがっていた。


「あ、そうそう。ジャガイモと人参だったな。ほらよ!持って行きな。」

 何かを思い出したかの様に、人参とジャガイモを手に取り、袋に入れてくれた。

「後で、コーラムに合うからその時にお代をもらうから、嬢ちゃんのそのお金は大事に持っときな」


「ありがとう!八百屋のおじちゃん!」

 また、目を閉じて満面の笑みで言うと、八百屋の店主は顔を赤くして何かに打ち付けられた様に照れていた。


 おいおい。ヒールの笑顔は強烈だな…世界だって救えるんじゃないか?そんな事を思っていると


「あ、兄ちゃん!俺…ちょっと寄りたい所あるから先帰っててくれよ。」


「カーロンお兄ちゃんまた、なんか余計な事企んでるでしょう?」


「い、いや、そ、そんな事ないって。ほ、ほらあれだよ友達に会わないと行けないからさ。あはは…」

 顔を引き攣りながら何かを隠すかの様にカーロンは発した後、ヒールが

「怪しい…怪しすぎる。絶対何か隠してるよ!」


 妹よいいじゃないか、6歳なんだ隠し事何て1つや二つあって……


「行ってみよお兄ちゃん!また、なんかの悪戯だよ!先に見つけて暴いてやる!」


「え?っておい!ヒール!」

ヒールは、話しをする隙もなく俺の手を握り走り出す。


「おいおい!やめよう?『後をつけるなんて』よくないよ!」


「シっ!聞こえちゃうでしょ!黙ってて!」

 どこか楽しそうだった。楽しそうなヒールを見ると従いざるを得なかった。


ーーーそれから後を付け続けて、カーロンが不気味な家に入って行った。


「なぁ?ヒール?やっぱり…ってあれ、ヒール?」

 後ろを振り向くと、今まで後ろに居ると思っていたヒールの姿が見当たらない。


そして、村中を探し回ったが一向に見つからない…


「一体何処に行ったんだ?なんか嫌な感じがする……おちつけ俺!何処に居るんだ…ヒール!そうだ!カーロンにも頼もう!」


 もしかしたら誘拐されたと思い、俺はかなり焦っていた。そして、カーロンが入った不気味な家に入ると

そこには、図体がでかくて厳つい顔をした怖そうな人が、ハンマーの様なものを持ちながら、カーロンと向き合っていた。


「カーロン!」

俺は息を切らしながら焦った様に発した。


「に、兄ちゃん!?どうしてここに…!?」

カーロンは、驚いた顔で俺の方をジッと見ている。


「話しは後だ!ヒールが居なくなった…村中を探しても居ないんだ…だから一緒に探して欲しい…頼む!」

俺が必死に頭を下げ、カーロンに頼んだ。


「なんだって!?ヒールが居なくなっただって!?そう言う事なんで鍛冶屋の旦那、すみません!話しは後でお願いします。」

 カーロンはハンマーを持った男性に『そんな事は良い!早く行ってやれ』と言われすぐに俺と一緒に走り出した。


「このまま一緒に探しても時間の無駄だ!俺は村の外を探すから、カーロンは村の中をもう一度探して欲しい!」

そう言うと、コクリッと頷くと何も言わずにカーロンは走り出した。


ーーーー村の外を探していると。

きゃあああと言う大きな悲鳴が、森の方から聞こえてきた。


「この声は!?ヒール!?」

俺は、ヒールの声をした方向に一目散に走り出した。


「どこだ!ヒール!ヒール!」

草を薙ぎ倒しながら、そう叫んで探していると

顔が泥だけになり腰を抜かして強張ったヒールと、悪どい顔をした人がナイフを持ち、ヒールを脅している様だった。


「お嬢ちゃん!もう、鬼ごっこは終わりかぁ?」

そう不気味そうな笑いをしながら、悪どい顔の男性は楽しげに笑って居た。


「ヒール!!今助けてやるから待ってろ!おい、お前!俺の大切な妹に手を出すな!」


「おにい…ちゃん…?」

 っと俺は無我夢中でヒールの所に飛び込み、そして、怒りを抑えつつ男に言い放った。そしてヒールは気を失った。


「けっけっけ、よかったなぁ?こんな、頼もしいお兄ちゃんが来て…でも、ガキが何人増えた所で俺の敵じゃねぇ」

 っと不気味な笑い方をした男が言い放った瞬間、手のナイフを俺に投げてきた。


ーーー俺は、やばい!と思うとそのナイフがスローモーションに見える。そして、ナイフを避けると男は目を大きくして


「!?ほぉ…少しはやる様だな!だがな、それで勝った気でいるなよ!」

 っと悪どい顔の男は楽しんでいた。そして手が動き、『俺は来るっ!と思い体制を整えた』そして、10本程度のナイフが飛んできた。


 やっぱり遅い…これは俺のスキルの様な物なのか?と思い、全て避けた。


「お、お前…何をした!たかが子供に…あれだけのナイフを避けられる筈が…」

男は驚きを隠せず、戸惑っていた。


「何が目的かしらない…でも、俺の大切な人を傷つけるなぁ!」

俺は怒りに震え、男に向かって走りながら頭の中から、『誰かにそう言え』と言われた様に言葉がフッと浮かぶ。


「我を守りし水と大地の精霊をこの拳に力を」


「な、なに!?まさか?超精霊術だと……がはぁっっ」

 っと俺は溝落ちに殴りかかって、悪どい顔の男は死んだかの様に静かになった…


「ーーヒール!大丈夫か!よかった…息がある。直ぐに駆けつけてあげられごめんな。」

 気絶しているヒールに優しくおでこを撫で、そう言葉をかける。

 しかし、なんだったんだあれは…頭からいきなり言葉が浮かんできたあの感じは。超精霊術ってなんなんだ…と思っていると


「ぐ、ぐ、ぐがぁぁぁ、何だよこの雑魚が!こんなクソ餓鬼なんかに負けよって…まぁいい、この俺、グレン・ゴール様が復活したんだから捨て駒にしては褒めてやってもいい。」

悪どい男は雄叫びを上げた後、黒光りしていて2本の角が生えている悪魔の様な姿になった。


「な、なんだ!?人間が!?ま、魔物になりやがった!?いや…なんだこの威圧感は…」

そう、俺は驚いていると、目の前いた魔物が消えた。


「き、消えた!?どこだ!?」

 と思った瞬間。左から顔に向かって拳が飛んできた…


「!?うわあああ」

俺はとっさに手でガードするが、相手の力に押し負けて吹き飛ばされる。俺は、気を失いかけ。だが、『ここで諦めてはならない』と思い意識を保つが、酷く痛んで体が動かない。


「ぐははは、これが魔王様に貰った俺の力だ…この娘の血を捧げれば魔王様は完全体となる!」

 自分の力にご満悦なグレンゴールが不敵な笑みをする。


「やめ…ろ。それが…目的か…ま、魔王が完…全対に…なるなんて……許される訳が無いだろう!」

俺は、ひどく痛む体に反抗的に立ち上がろうとする


「!?ほぉ、この俺様の一撃を食らってまだ生きていたのか。そのまま寝てれば死ななかった物を。さっきの一撃の衝撃でお前の上半身の骨は全てボロボロで、動かすのがやっとなのに、どう戦うんだ?」

グレンゴールは高笑いをしながら、楽しんでいた。


「お…はそ…に…」

息をするとジンジンっと痛む。俺は正直逃げ出したいでも。逃げたらヒールが危ない。


「あ?なんだって?声が小さすぎて聞こえないなぁ?もう声もだせないのかよ!がはははは」

グレンゴールは、俺のことを貶す様に笑いながら言う


ーー兄ちゃん!これを使って!とカーロンの様な声が聞こえると


剣が目の前でささり、俺はカーロンの投げてくれた剣を抜いた。


「この剣は…カーロンが…そうか」

そして俺は剣をぬいて握り締めて


「俺は、そこに守りたい物がある限り何度でも立ち上がってやる!」

 俺は、痛みを忘れ大きな声で言葉を発すると、

『!?ドクンッと何かが全身を走ったかの様に力がみなぎる』辺りが光り。俺は黄金輝きに見を包み、力が湧いてきた。


「こ、この力は…!?この力はやばい!くそ!一撃で仕留めておけば…こんな事にならなかったのに。チクショォォーーー。」

 といい、グレン・ゴールは一直線に俺の方に向かって来る。


ーー俺は剣を構えながら。目を閉じ、集中して息をするかの様に剣を振り下ろした。


「ぐあああああ」

 っと悲鳴を上げながら、グレン・ゴールは真っ二つに切り裂かれ、消えていった。


 そして俺はひどく痛む体に戻り、その反動と安心で俺は、気絶した。

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