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12話 サンドイッチ(意味深)

「さて、それではこれにてクエスト完了とさせていただきます!」


 アレクたちがギルドを出て行ったのを確認したところで、受付嬢が明るい声で言う。

 ティアの証言もあることだし、今回の迷宮での異常事態は終息したと判断するようだ。


「そうだ、モンスターの素材も持ち帰ってきたので買い取って欲しいのですが……どこか広い場所はありますか?」


「それでしたらギルドの裏庭にお願いします。今ご案内しますね」


 イオリの質問に笑顔で答えると、受付嬢はカウンターから出て裏庭の方へと案内してくれる。


「よし、ここなら大丈夫そうですね。《黒次元ノ黒匣》、発動」


 裏庭の中心部に立ち、収納魔法を発動するイオリ。

 黒い霧とともに、ドレイクを始めとしたモンスターの死体の数々が現れる。


「ド、ドレイクの死体が丸ごと二体も!? それに他にも色々……」


 死体の数々を見て、受付嬢が驚愕の声を漏らす。

 ドレイクの首を持ち帰っただけでも驚いていたのだから、そんな反応も当然であろう。


「どれも状態がいいですね……。でもこの数だと査定に時間がかかるので、よろしければ酒場でお待ちいただいてもいいですか?」


「わかりました。よろしくお願いします」


 受付嬢の提案に頷き、イオリはコレットとティアを連れてギルドの併設された酒場へと移動する。


「イオリ様、せっかく大きなクエストを達成したことですし、お酒はいかがですか?」


 そう言って、コレットが酒類の載ったメニューをイオリに差し出してくる。


「そうですね、たまにはお酒もいいかもしれません。頼みましょう」


 そう言って、イオリはメニューに目を通す。

 ギルドの酒場だというのに、なかなかのメニューの充実ぶりだ。


 ある程度注文が決まったところで酒場のウェイトレスを呼び、蜂蜜酒(ミード)やツマミとなる料理を注文していく。


「ご主人様、よろしいのですか? 奴隷の私がこうして一緒に食事をさせてもらうなんて……」


 所在なさげに、イオリの隣でそんな質問をしてくるティア。

 隷属させられたので、もっと酷い扱いを受けると思っていたようだ。


「いいんだよ。確かに隷属魔法の制御下に置かせてもらったけど、今のティアは無害だし、それに女の子に酷い扱いはできないしね」


 そう言って、イオリはティアの頭に、ポンっと手を置いてやる。

 そんなイオリに、ティアは感極まってしまったようだ。


「ご主人様……!」


 と、瞳を潤ませ、そのままイオリに抱きついてしまう。

 コレットほどではないが、それでもかなり大きめの彼女の双丘による柔らかさという暴力が、イオリの顔に襲いかかる。


「うむぅ!?」


 ティアの柔らかさの下で、イオリがくぐもった声を漏らす。


「ちょっとティア! 何を抜け駆けしているのですか!」


 イオリの対面の席に座っていたコレットが、ガタッ! と立ち上がり、そのままティアとは反対側からイオリを、むにゅん! と抱きしめてしまう。


「うむぅ〜〜〜〜!?」


 コレットの柔らかさまでもが後頭部に襲いかかり、完全にむにゅむにゅサンドになってしまったことにより、イオリがさらにくぐもった声を漏らす。


 ジタバタと抵抗するイオリだが、魔術師である彼にモンスターであるティアと、近接戦闘職であるコレットの、本気の抱擁を振り解くことは叶わない。


「くそ! くそ! なんて羨ましいんだ!」


「強い上にモテモテとか反則じゃねーか!」


 イオリたちを見ていた他の男性冒険者たちが、またもや血涙を流しながら呪詛を吐いている。


 何人かの女性冒険者までもが、「いいなぁ、私もイオリくんをおっぱいに埋めてあげたいなぁ……」「私は食べちゃいたい……」などと、獲物を狙う雌豹のような表情を浮かべる始末である。


 結局、イオリがむにゅむにゅサンドから解放されたのは、三人分の蜂蜜酒が届いてからだった。

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