1話 追放を言い渡される劣等魔術師
アウシューラ王国、その王都に建つとある高級宿屋にて――
「イオリ、お前はクビだ!」
「ク、クビ……?」
突然の言葉に、魔術師の少年イオリは戸惑った声を漏らす。
そんな彼に、勇者アレクは「ああ、その通りだ!」と見下したような笑みを浮かべる。
魔術師イオリ、黒髪に黒い瞳を持った少年であり、まだ幼く可愛らしい顔立ちをしている。
対し、勇者アレクは赤い髪に同じく赤い瞳を持ち、気性が荒そうな顔立ちをした少年だ。
イオリとアレクは幼なじみだ。
数年前、アレクは勇者のクラスに目覚め、国の命令で人類の天敵、魔族を倒す救世の旅に出ることになる。
時同じくして、イオリは魔術師のクラスに目覚め、アレクのサポートをするためにともに旅立つことになったのだ。
ちなみにクラスとは、人間がある程度育つと備わることがある、戦闘に関するスキルを得られる能力の総称である。
「どうしてぼくをクビにするんだ?」
「イオリ、お前は既に足手まとい、このパーティのお荷物なんだよ!」
イオリの問いかけに、鼻で笑いながら答えるアレク。
そんなアレクに、賛同する声が二つ。
「イオリ、あなたも気づいているのでしょう? 自分が役立たずだって」
「この前も中級モンスターにやられそうになってたしね! あはは!」
前者は女僧侶のレイネ、後者は女戦士のルナである。
二人とも、イオリたちが救世の旅を続ける中でパーティに加わった仲間である。
そんな彼女たちの言葉に、イオリは「……ッ」と押し黙ってしまう。
彼自身、彼女たちの言うように力不足を自覚しているからだ。
クラスから得られる戦闘スキルは大きく五つに分けられ、下級スキル、中級スキル、上級スキル、超級スキル、それに固有スキルが存在する。
アレクは超級までのスキルを使いこなし、レイネとルナは上級スキルを使用できる。
そんな中、イオリは中級スキルまでしか使うことができず、他のパーティメンバーとの力の差が開き始めていたのだ。
アレクたちから言わせれば、イオリはこのパーティのお荷物――〝劣等魔術師〟なのである。
「でも、私たちの要望に応えてくれるなら、パーティに残してあげても良いと思うけれど」
「うんうん! 私もそう思うよ!」
何も言えずにいるイオリに、レイネとルナがいやらしい笑みを浮かべながらそんなことを言ってくる。
「レイネたちの要望……?」
いったい何だろうと、不思議そうに聞き返すイオリ。
しかし、アレクが薄ら笑っているのを見るに、ロクなことではないだろうと何となく察する。
そんなイオリに、レイネとルナは――
「イオリ、私たちの奴隷になりなさい?」
「身の回りのお世話はもちろん、〝あっちのお世話〟もしてもらうからね〜?」
――そんな衝撃の言葉を放ってきた。
「な!? いったい何を……」
レイネたちの言葉に、狼狽するイオリ。
奴隷になれというのも衝撃だが、二人が自分をそういう目で見ていたとは思いもしなかったのだ。
突然の衝撃に硬直するイオリを見て、レイネは妖艶な笑みを浮かべ、ルナは得物を狙う雌豹のように舌舐めずりする。
アレクは彼女たちを見て、「まったく、クソビッチどもが……」と、呆れたように、それでいて愉快そうに口元を歪めている。
「もう一度言うわ。イオリ、パーティに残りたいなら私たちの奴隷になりなさい?」
「まずは服従の証に、服を脱がせて足でも舐めさせよっかな〜♪」
そんな言葉とともに、イオリに迫るレイネとルナ。
イオリにはパーティに残らなければならない〝とある理由〟がある。
しかし、奴隷になれなどいう要求を受け入れるわけには……。
「おい、早く決めろよ?」
戸惑うイオリに、アレクまでもがイライラした様子で先を促してくる。
パーティに残るためにレイネとルナの奴隷になるか、それともこのままパーティを追放されるか。
残酷な二つの選択肢を前に、イオリが選んだのは――。
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