3日目…バーク街(4)
程なくしてテルルと分かれた場所まで戻ってきたクロムは、ゆるりと辺りを見渡す。
戻っては来たものの、彼女があの時のままここに留まっていることは、あまり期待していない。
彼女にも『異変』が伝わったようだったし、いち早く宿へ引き返しているかもしれない。
ひと通り目に見える景色を一巡し、やはり姿が無いことを確認する。
「――おい、この娘なんとかしてくれ!」
すると、戻ろうとしかけたところで、後ろから男の悲鳴が聞こえてきた。なんとなく振り返ってみると、
声がした方向には小規模の人だかりができていて、何事かで取り込んでいるようだった。
「どうしたんだ、病人かい?」
「違うよ、何だか飲ませたら…急に倒れこんじゃってよ」
クロムの顔が、サッと青ざめる。 …まさか――
胸騒ぎを感じて足早に近付き、群衆の頭の隙間から中心を覗き込んでみる。
「……」
予想通りの光景に、クロムは軽い眩暈を覚えた。
人だかりの中心の、周囲の視線をめいっぱいに浴びている人物は…クロムのよく知る者だった。
「――テルル」
テルルはまるで部屋のベッドに横たわっているように、実にリラックスした面持ちで地面に寝転がっていた。
群衆は彼女を取り囲んでいるものの、何か越えてはいけない線が引いてあるかのように、彼女から数歩分の
距離を置いて綺麗な輪を作っていた。
本気で他人のふりをしたいと思ったクロムだが、まさかこのまま放って離れる訳にはいかず…諦めて群衆を
かき分け、中心へと足を運ぶ。
この喧騒の中にいてもなお、テルルは顔を若干赤らめ、幸せそうに寝入っていた。クロムはそんな仰向けに転がる
彼女の傍らに片膝を付き、息のにおいを嗅ぐ。
…微かにだが酒臭い…
「っと…兄ちゃんどこ行ってたんだよ、こっちは大変だったんだぜ?」
そこへ、悲鳴の主である男が近寄ってきた。見るとそれはテルルと分かれた時にいた、あの飲料店の店主であった。
どうやら彼が、事の当事者であるらしい。
「…何があった?」
「俺は何もしてないさ! この娘が、さっき渡したジュース飲んだだけだよ」
「酒だったんだな」
「そ、そうだけど…こんなもの子供の飲み物だぜ。 数滴リキュールを垂らして入れただけだ、酒と言えるか!?」
「…言えんな」
店主が声を荒げるのはもっともだが、テルルの下戸っぷりは彼ら一般人の常識を遥かに逸脱するものだった。
酒と名の付くものなら、飲めば例外無くその場に突っ伏してしまうし、そも酒の匂いだけで目を回し、酔いを訴える。
そうとは知らずに飲ませた店主は、予想だにしない展開に焦り、苛立ちの矛先をクロムに向けるしかなかった。
「とにかく、今すぐ何とかしてくれ! これじゃ商売にならない!!」
クロムは迫る男をいなして、テルルの頬を軽く叩く。が、完全に寝こけた彼女が起きる気配は一向に感じられない。
何よりもまずこの場からすぐに立ち去りたいクロムは、テルルを担いでいくしかなかった。
「…すまん、少し道をあけてくれ――」
「おい、邪魔だ! 往来でゴミが群れてんじゃねぇぞ!!」
と、クロムが群衆を撒こうとしたのとほぼ同時に、外側からそれらを片っ端から崩す者達が現れたようだ。
しかし助かったと思ったのも束の間、人だかりを蹴散らして、クロムと鉢合わせになった者共は、見覚えのある
顔だった。
「あ! てめぇ!!」
「忘れもしねぇこのスカした顔っ…」
クロムも一応記憶の片隅に残していた彼らは、いつぞやかリンに絡んでいた粗野な男連中だった。
災難は重なるものである。
抱き起そうとしていたテルルを再び寝かせ、クロムは息をつきながら男達を見上げる。
「…今立て込んでいる。お前達の相手をしている暇は無いんだが」
「うるせぇ! 今度は逃がさねぇぞ、きっちり落とし前付けてやる」
「ああん? 何だこいつ、こないだと別の女連れてやがるぜ」
「け、見せつけてくれやがるじゃねぇの…!」
何事も無くかわそうと思ったのに、クロムの意図しないところで一方的に男達の方が息巻いてしまったようだ。
初めに逃げていったのは、彼らの方だったような覚えもあるが…今はそんな揚げ足を取っている場合ではない。
よくよく彼らの顔ぶれを眺めてみると、最初に会った時の覚えのある顔は面子の一部に過ぎないようで、それなりに
大きなグループを作っていたようだ。最終的には、十数人がクロムに対するように頭を連ね、囲いを作っていた。
厄介な輩と面識をつくってしまったと、リンを恨めしく思う。
しかしどんな形であれ、彼らの相手をしなければこの場は収まりそうにない。
…やるしかないのか…
クロムは重い腰を上げる。
「待てよ、こいつは俺が相手になるわ」
すると、囲う男達の間から、クロムへ向かって真正面から立ちはだかる者が現れた。クロムより2回りくらい縦横に
大きく、人足なのだろうか、日に焼けて黒光りした筋肉が隆々としている。明らかに他の男連中とは一線を画す
風体のその男に、クロムも少し気を止める。
男は品定めでもするかのように、彼の頭から足先までを眺めると、フンと鼻を鳴らす。
「お前、見たところ商人や人足じゃ無さそうだな…さしずめ剣士か?」
「…ああ」
「…ふーん」
男の顔が、若干歪んだ。
「『剣士』ってのは、どうもいけ好かねぇ。大した働きもしないのに、人の上に立った気でいるような屑ばかりいやがる」
言いながら男は、クロムへと数歩詰め寄る。話しながら、自分の射程内に収めようとしているようだ。
「得物無しか…丁度いい。前々から一人や二人ねじ伏せてやりたいと思ってたが、絶好のチャンスが来たってところだなっ」
「!」
しゃべり終わると同時に、男は拳をクロムに繰り出して来た。ある程度予想をつけていたクロムは、眼前に迫る
それを一段上回る素早さでかわす。が、間髪入れずに男が二撃目の蹴りを振るった。
「! っ…」
クロムはそれも、間一髪でかわし…体勢を整えた彼のこめかみに、かすかに血がにじむ。
「おおお〜!」
周りの男共は、一斉に沸き立った。どうも個人的な感情があるらしい筋肉男は、黒い肌から妙に白い歯を覗かせ、
ニタリと嘲笑う。
「……」
つくづく理不尽な恨みを向けられているような気がしてならないが…クロムの眼にも、ようやく鋭さが込められる。
いつの間にか、一旦蹴散らされた群集が再び集まり、クロムらを囲むギャラリーと化していた。いけだのやれだのと、
好き勝手に盛り上がりを見せる。
クロムは内で舌打ちをする。今の自分は、あまりにも目立ち過ぎている。避けられないならせめて、場所を変えたい。
「――ドーって…あれ? クロム何してんの?」
が、クロムが口を開きかけた時を同じくして、背後から聞き知ったトーンが不必要に良く通る大声で乱入してきた。
先ほどからシドを探し歩いていたネオンが鉢合わせたのである。
もう溜息しか出ない。クロムは幾分か肩を落としながら、振り返る。
「…お前こそ、ここで何を…」
「あ、おれ? シド探してるんだよ。見なかった?」
「…知らん」
「ちょっと待て。お前ら仲間か?」
と、そこに筋肉男が会話へ割って入る。
「? …そーだけど」
空気が読めず、状況がよくわからないネオンだったが、クロムと男連中を交互に見、何かトラブルが起きている
ことだけは理解できたようだ。
声をかけてきた男を睨む。
「じゃ、お前も剣士か?」
「だったら何だよ」
ネオンの回答を聞くと、他の周りにいた仲間らと顔を見合わせ、大口開けて笑い飛ばした。
「最近の剣士ってのは、随分と貧弱なんだな? どこをどう鍛えてるんだか、こんな奴らが俺達より高給取りたぁ、
怒り通り越して笑えるわ!」
「んだと!?」
「ネオン!」
あからさまな男の挑発に、ネオンは一瞬で啖呵を切った。クロムの静止を押し切って、両者の中心へと躍り出る。
「貧弱かどうか、思い知らせてやる! 後悔すんなよ」
「上等だ。おい、お前らでこのガキの相手してやれよ! こっちは俺一人で充分だ」
筋肉男のひと声で、後方にいた仲間十数人が一斉にネオンへ襲い掛かる。ギャラリーが喚声と悲鳴と共に
沸き立った。
「ガキじゃねぇ!!」
ネオンは怯みもせず、手近にあった支え棒を手に、真っ向から相手の群れへ突っ込んでいく。
手のつけられない鉄砲玉と化したネオンを、最早見送るしかないクロムだったが…
「おい、こっちはもう始まってんだぞ」
その後方で、やる気満々な巨男が、バチンと拳を鳴らす。
…どうとでもなれ。
「…んー……?」
テルルの霞んだ視界に、青い空と大勢の群集が映った。と、舞い上がる砂塵に、少しむせる。
「な、何…?」
テルルは目の前に広がる光景に、驚きつつ覚醒する。意識が戻ると同時に周囲の喧騒が次第に伝わってくるが、
やはり状況は飲み込めない。
え、えーと…クロムと分かれて、とりあえず渡されたジュース飲んで、それから…、……
そこから先が思い出せない。そしてやっと、自分が地面に寝転がっていることに気付く。
「え…え、どういうこと…!?」
気を動転させながら、砂煙の先を伺う。そこでまた驚愕する。
「ネオン…と、クロム!? 何してるの!!?」
「っんのガキ!!」
男連中は、概ねネオンに引っ掻き回されていた。
支え棒を振るい、ネオンはひしめく男共の群れの中で縦横無尽に飛び回っている。機敏な動きをなんとか目で
捉えることはできる。が、気付いた時には当てられた後だ。交える隙が見つからない。
連中は手出しもできず歯噛みするだけだったが、呻いている間にも仲間はどんどん沈んでいく。
ネオンは鼻を鳴らす。
「相手になるんじゃねーのかよ」
軽量であるネオンの特技は、力技より瞬発力と脚力を生かした翻弄攻撃だった。とにかく残像を残すが如く、
動きが素早い。そして素早いだけでなく、多様な角度から相手を攻める。手を変え品を変え、常に相手が
先読みできない攻めを見せる。
これらは、クロムとパーティを組んでからこっち半年で鍛え続けている技である。力量に欠けるが瞬発力はある
というネオンの性質を生かし、クロムが教え込んだ。
ネオンは当初、クロムのような大剣を遣う剣技に憧れ、彼の指南に不満することもあった。しかしクロムの
根気強い説得と、度重なる危機的状況を経験する中で、今では自分自身の特性を理解し認め、それらを伸ばす
方向へと考えを見定めている。
リンと会った時の段階では、まだ実戦には程遠い完成度だったが、今ではそれなりに対人戦でも使いこなせる
レベルになっている。彼らのような一般人が束でかかってきても、後れは取るようなことは無かった。
もちろん、素人相手に戦闘術を振るうことは暗黙のルール違反ではあったが…相手から挑発されたのなら話は別だ。
そんなネオンの指南役・クロムの方も、それなりの収束を見せていた。
仲間が一人また一人と倒されていくのを横目で見、筋肉男は唸る。
「くっそ!」
悔しがる間にも、クロムの蹴りが飛ぶ。男は憤怒の表情を彼へ向け、両腕を振り回して間合いを取る。
得物が無い今のクロムは、体術のみで巨男を相手していた。男の厚い筋肉の前では彼の打撃は致命打にこそ
なり得なかったが、その一つ一つのダメージは重く、且つ確実に男の隙を攻める。逆に男の方は、最初は威勢が
良かったものの、その動きは攻撃を受けるにつれて急激に鈍くなっていた。威力とそれなりの機敏さは
あったようだが、重い体が仇となり、戦闘が長引くにつれて精彩を欠いていく。既に力任せとなっている
男の攻撃はクロムに当たるはずもなく、ただ無駄に空を切る。
クロムは発狂しそうな男の様子を見て、一旦距離を置く。
「頭を冷やせ。…これ以上やっても無駄だ」
「うるせぇ!!!」
「――ねぇ」
ふと、怒声を吐く男の背後から、声が掛かる。
既に大量の仲間全員を地に伏せたネオンが、こちらを退屈気に見やっていた。
「もう諦めなよ。あんたじゃクロムに敵わねぇって」
「しゃらくせぇー!!!」
男がネオンへ勢いよく振り返り、雄叫びを上げながら迫る。
「ほら、よそ見してっと危ねーよ」
「!!」
しかし男が気付いた時には、眼前に宙を飛ぶクロムの左足が迫っていた。そのまま、クロムは男の首に
決定打を与える。
「――」
首の向く方向がおかしくなったまま、スローモーションのように、男の巨体が地面に崩れ落ちる。
……
ギャラリーはしばらく呆けたようにその場を見守っていたが…次の瞬間、突如湧き上がった。
割れんばかりの歓声と囃し声に囲まれながら、ネオンはクロムへ歩み寄り、上目遣いに彼の顔を窺った。
「…やっぱまずかった?」
クロムはやはり、眉根を寄せていた。
「当たり前だ。目立つ真似をするなと何度言えばわかる」
「わーかってるけどさーぁ。 …で、結局何してたの?」
「……」
「……」
テルルは寝かされた場所に座り込んだまま、一連の騒動を見守っていた。
気が遠くなりかけながらも、眼前で起こった事態を整理しようとする。
とにかく、ネオンとクロムが収束つけたみたいだけど…どうしてあの2人が暴れることになったの?
「――大丈夫?」
と、不意に後ろから肩に手を置かれる。テルルははっと振り返った。
「…シド!」
「強いんだね、2人共」
シドも一部始終を見守っていたようだ。テルルが驚いたような顔を向けると、にっこり笑う。
つられてはにかみ笑いをするものの、テルルは内心穏やかではなかった。
「立てる?」
「うん、ありがとう…」
シドに支えられながら立ち上がり、ほこりをはたく。
「テルルはここで倒れてたみたいだけど…どうしたの?」
「…う…わからない。何かあったとは思うんだけど……」
とりあえず、クロムは無事。ネオンも無事。でも、説明のつかない自身の状況。
「シド! あたし…ここでどうしてたのかな!?」
テルルは切羽詰った表情で、シドを見上げた。突然の予想外な質問返しに、シドも虚を突かれる。
「えっ!? お、俺もそれを聞いてるんだけど…」
「あぁっ、そうか…そうだよね」
「テルル、落ち着いて? あの二人なら何があったのかわかるかも…」
「あ、シド〜!」
と、またしても場違いな大声と共に、ネオンが近付いてくる。
「どこ行ってたんだよ、探したんだぞ?」
ややご立腹なネオンに、シドははっと気付いて、それから少し困ったような笑顔を見せた。
「あぁ…、すまない」
「あれ、テルルと一緒だったの?」
ネオンが傍らにいたテルルへ視線を移すと、彼女はプルプルと首を横に振った。シドが慌てて訂正する。
「いや、違うんだ。その…落し物をした人がいて、届けようと追っていたんだよ」
「そーだったの? 全然帰ってこないからよ〜…」
テルルは2人の会話を横目に、クロムへと近付く。彼は群集の視線を避けるように、街道の隅にとどまっていた。
「あ…の…クロム?」
クロムは視線だけをテルルへ向ける。テルルは視線を合わせず、やや下向き加減にしどろもどろ切り出す。
「この騒ぎって…もしかしてあたしが原因?」
「! …いや、違う」
「…本当に!? だってあたし、どうしてだか道に倒れてて…何があったかよく覚えてないし、起きたら…二人が…っ!」
「…落ち着け、テルル」
テルルは気を動転させ、思いつめた表情でクロムを見上げた。しかし混乱を極める彼女の頭に、クロムの
落ちるような低い声が響く。
「あれは先日も絡んできた奴らで、さっきまた偶然会ったから相手せざるを得ない状況になっただけだ。
お前は一切関係無い」
クロムは表情こそ無かったが、テルルの目をしっかりと見て、言い切った。若干息を荒げていたテルルだったが、
彼のロートーンが脳内を冷やし、徐々に興奮が収まっていく。
「…そ…れなら…いいんだけど」
しかして、テルルの疑問は消えない。
「…じゃあ、どうして倒れてたんだろ…」
「!! っそれは…俺にもわからん。…怪我は無いんだろう?」
「うん」
「それならいい。気にするな」
ややしどろもどろに、苦しい物言いをするクロムだった。
「…わかった。それじゃあ、[彼ら]は…?」
「!」
冷静になったテルルは、先ほどのクロムの動向を思い出していた。彼女の言葉に、クロムも一連の騒動で薄れ
かけていた記憶を戻す。
真っ直ぐな視線を向けるテルルを見返し、クロムは暫時黙っていたが…やがて息をつく。
「――気配が消えた。今は何も感じられない」
「そう…」
「この町付近に潜んでいることは確かだな。油断は出来ん」
そう言いながら、クロムは周囲を見渡す。テルルはそんな彼の仕草を見上げていたが…ふと手元に視線を落とした。
「…うん、わかった」
「ちょっとぉ〜、何してんのよあんた達?」
と、気だるそうなトーンにテルルとクロムが振り返ると、リンが腕を組み、不服そうな顔でこちらを睨んでいた。
シドが消え、ネオンが戻らず、そのまま店ですっかり待ちぼうけを食らって、仕方無しに探し回っていたようだ。
ネオンとシドははっとして振り返り、ばつが悪そうにする。
「あー、ごめん、リン…」
「シド追っかけてたらさ、クロムがおっさん達に絡まれてたんだもん! 何でかは知らねーけど」
「はー? って何こいつら、一昨日ナンパしてきた奴らじゃない!」
「…え!?」
リンの言葉にネオンとテルルが同時に驚き、双方クロムへと振り返る。クロムは苦い表情で、顔を背けていた。
「どういうこと…?」
「えー? 酒場で声掛けられて、そのままくっついてきてさ。人相悪いし何かしつこかったから、丁度良くいた
クロムに追っ払ってもらったのよ」
リンはヘラっと言ってのけた。
「お陰で巻き添えを喰らったんだが」
クロムがじとっとリンを睨む。
「あ、何もしかしてあんた、因縁つけられちゃったの? それは災難だったわね♪」
「ていうかさ、あれくらいの奴らならリンだけで十分じゃねぇ?」
ふとしたネオンの横槍に、笑い飛ばしてたリンがキョトンとし、ついで溜息をついてみせた。
「っはぁ〜っ、ネオンわかってないわねー。 誘われた女は、儚げにしおらしくしてるモンなのよっ」
「?? …ふぅん?」
リンの高度なご教授にひたすら首を傾げるネオンの横で、テルルは呆れたように脱力する。
「…これが理由というわけか…」
でもそれが原因であって、安堵した気持ちでもあった。しかし依然としてそれとは結びつかないだろう自分の行動に、
やはり納得のできないテルルであった。
2010/4/7 手直し再更新
次回更新予定日…2010/5/1