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柚科葉槻の怪談噺。  作者: 柚科葉槻
25/43

会社の人から聞いた話。さんにんめ、その1。

 Sさんから聞いた話。


 彼は元自衛官である。

 彼が配置されたとある基地であったことだ。

 その基地には娯楽室がある。皆で使うテレビが置いてあり、よく仲間と集まっていた。

 娯楽室は板の間と畳が敷かれた空間に分かれていた。畳の方は板の間より少し段差があり、妙な噂はあったが、さして不便など感じなかった。


 その日も仲間たちと楽しい時間を過ごしていた。

 厳しい訓練の疲れを癒やすように、たわいのない会話が飛び交う。

 だがそのとき、突然テレビが置かれていた台のガラス戸が砕け散った。

 テレビ周辺で何かしていた人間はいない。

 何もしていないのに、ガラスが割れた。

 そのことに屈強な自衛官たちも慄いたという。


 何でも畳の下、段差になっているその場所に「死体が埋められている」という噂話があった。

 真相は定かではないが、その噂は基地内で長く語り継がれている。

 そのためそのガラス戸が割れた時は、誰もがその埋められた死体の呪いでは……と思ったらしい。


 何事もなく割れたガラスやテレビ台は片付けられたが、疑念は残ったままだった。

 自衛官は「幽霊」を信じている人が多いらしい。同期たちも怖がっていた。

 命をかけ、職務を全うする彼らは、そういった存在が近しく感じるのかもしれない。

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