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柚科葉槻の怪談噺。  作者: 柚科葉槻
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地元の話。1

 幼いころに住んでいた家の近くに神社があった。

 そこの神社はその集落の氏神様といった感じで、こじんまりとした境内には寄り合い所や滑り台、ブランコといった遊具が置いてあった。近所の人や子供会で定期的に掃除なども行われ、年越しにはお焚き上げなどもやっている。

 私はその神社で自転車に乗る練習をしていたが、試しに自転車に乗れるようお参りしたら一発で乗れるようになった、という逸話?もある、霊験あらたかな神社である。

 

 ただ、その神社にはよく車が突っ込んでいた。

 出会い頭の交通事故。十字路の一角に鎮座する神社の石柵は2年に1~2回くらいのペースで新しいモノに変わっていた。

 私も事故が発生した時の音を聞いたことがある。

 ドーンという響くような音。何事だと思ってやっていた宿題を放って外に出てみると、車が神社に突っ込んでいたのだ。

 

 神社から時計回りに畑、ビニールハウス、個人の住宅といった順で、その十字路は囲まれている。

 半透明のビニールハウス、背の高い垣根がある住宅、木々の生えた神社と確かに見通しはあまり良くない場所ではあった。だが親たちも「あそこは事故が多いねぇ」と噂するくらい、頻繁に事故が起きていた。

 

 そしてほぼ、車は神社の石柵にぶつかる。

 たまに対角のビニールハウスに突っ込んでいたときもあったが、その回数よりも多く神社の石柵を破壊していた。

 

 何故車は神社に突っ込むのか。

 「あの神社の角には落ち武者の霊が居て、そいつが事故を招くらしい」

 そんな話も聞いた。

 一応、神社のすぐ南西にはかつて城があったらしいので、武者がいてもおかしくはない。

 命を落とした武者が、道連れにしようと事故を招くのか……。

 幸いなことにそこの事故で命を落とした方は筆者が知る限りでいなかったので、武者のもくろみは外れてしまっているが……。

 

 あまりの交通事故の多さに信号機が設置されるようになってからは、事故は一件も起きなくなった。

 信号機が落ち武者に勝ったのか、それともただたんに運転手の慢心による事故の多発だったのか。

 今となっては謎である。

 

 ちなみに、この神社の交差点から一ブロック離れた見通しの良い十字路では死亡事故が起きている。

 前後左右を田んぼに囲まれた、何も視界を遮らない十字路。

 スピードを出しすぎ、ついでにシートベルトもしていなかった男性が、脇のガードレールに突っ込んだらしい。

 その事故の衝撃で、男性の首は胴体から切り離されたと聞く。

 どんな道路でも、安全運転は心がけたいものである。

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