予感
「凪咲先輩〜」
「どうしたの?」
「彼氏が最近LINEの返信遅いんです〜!絶対浮気してますよね!?」
「単に忙しいだけじゃない?」
「え〜!絶対そんなんじゃないですっ!!」
「えー。もう面倒くさいなー」
「先輩だったらそう思えるんですか!?」
「わかんない。そもそもね、恋愛経験のない私に恋愛相談なんかしちゃいけないの」
そう。私、小早川 凪咲はこう見えて恋愛経験がないのだ。
「ええっ!先輩綺麗ですしモテそうじゃないですか」
よく私に相談してくれる後輩・中森 夏未はオーバーなくらいに驚く。
「それはありがと。でも実際今もう27歳だけど彼氏いないわよ?」
「いやいや、先輩!“まだ”27歳ですよ!?先輩なら今からいくらでもできますって!」
夏未は私の両肩を持ち揺さぶる。
「例えば……あっ!月島さんとかどうなんですか!先輩と同期ですし!それに社内人気No.1な上に仕事もできるじゃないですかっ!」
そう言って夏未が指さす方を見た。
そこには何人かの女子社員と楽しげに話をしている月島くんがいた。
「…私、ああいうタイプ苦手なの」
「ちょっ、先輩!聞こえますって!!」
私が特に気にする様子もなく普通の声で言ったものだから、夏未は慌てて私を月島くんの目から見えないところまで押した。
「大丈夫よ、隠すつもりもないし、向こうも私にどう思われようと気にしないだろうから」
それだけ言って「はい仕事仕事」と、夏未を自分の席へ追いやった。
その時ふと月島くんから視線を感じたのは、間違いではなかったようだ。