ライオンの声
あの子はいじめっ子、鋭利な言葉で人の心を傷つける。
あの子の生き方はライオンに似ている。
広く轟く咆哮で、自分の力を誇示している。
でも、本当は少し臆病で、近くに敵が来ることを恐れている。
だから必死に叫んでる。
私は強いと、私はここにいると。
あの子もきっと一匹の獅子なのだろう。
そんなことを思った時、怖くて憎たらしかったあの子の顔はひどく弱いものに見えた。
私達のライオンは今日も虚しい咆哮をあげていた。
私は遠目にライオンを観る。
その姿は孤高ではなく、孤独のように思えた。