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特別問題児  作者: キャンティ
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特別問題児1






特別問題児1











落ちて行く。



この果てが見えない感情と言う名の海へと沈み、沈んでいき上手く息ができない。


口を開けても入ってくるのは数え切れない感情の塊で苦しい。もがいた所でどんどん落ちて行くばかり。



ああ、俺たちはいつまでこの海へ沈んで行くのだろう。誰か俺たちをーーーー




「助けてほしい」


















この私立、白桜はくお高校は、世間から問題児と言う問題児が集まる学校として有名だ。が、その話は『嘘』であり『事実』でもある。問題児は問題児だが、白桜の学生達は『特別』が付く問題児だ。皆んながそれぞれ悩みを持ってこの学校に入って来る。我々教師はその生徒達をサポートする義務がある。



「って、今日これを俺に見せてくれるの二回目なんですけど、意味ありますか、羽毛田先生」



俺がこの学校に来るまで調べていたことが全部書いてある紙を二回も、しかも教師用を見せられ、呆れた目で羽毛田先生を見るが、先生はマイペースに笑い出した。



「あれー?そうだったけな。まあ、永瀬ながせは昨日転校して来たばかりだし、二回読んでもいいと思ってな。どうだ。先生の優しい、まるで天使の様な心、伝わったか?」


「伝わんねーよ」



意味不明な話にきっぱり言うとしゅんと肩を落とす。

この人って凄く意味がわからない。まるで宇宙人と話してるみたいだ。昨日、俺がこの学校に来た初日も自分は羽毛田優雅はけた ゆうがで担任だと、いや、これは普通か。だけどその後、いらない自己紹介を始めた。自分はAB型だの、まだ独身の27歳だの、間近い人で良い女性が居れば紹介してくれなど、必要のない情報を俺は頭に入れるしかなかった。



「先生、それより俺、何で呼ばれたかそろそろ説明してくれませんか。先生に放課後呼ばれて職員室に来てもう30分も過ぎているんですけど」



まだこの学校に来て二日目なのに、いい加減先生と話す事が面倒臭くなって来て訴えると、やっとやる気を出してくれたのか椅子を俺の方へと向き直す。



「ああ、それなんだけどな、昨日お前に学校の校則について説明するのをわすれちゃってさ」


「校則?」


「校則って言っても二つしかないから簡単だ」



学校なのだから校則がある事は当然だが、二つしかないとは大丈夫なのか。俺が不安で微妙な顔をすると羽毛田先生は目の前に人差し指を立てる。



「一つ、この学校では、五人のチームで活動をする事。全校生徒の人数が少ないから学年関係なしな。授業中は無理だけど」



今度は中指も一緒に立てる。



「二つ目は簡単だ。相手が嫌がったら相手の【イレイス】を聞かない事。ほら、簡単だろ?」



確かに、今まで羽毛田先生が説明してくれた中で一番理解がしやすい、二つ目は自分にとって都合がいいが……。



「チームって何、五人ってなに!?」



俺が叫び出したら羽毛田先生は「うるさい」と言って耳を手で塞ぐ。だが、俺は止めず必死に言葉を投げ出した。



「チーム行動なんて嫌だよ!俺は一人が好きなんだ!他の人に気を遣うなんてクソくらえだ!」



一気に喋ったせいで息が切れてしまい、息を整えていたらデコピンされてしまう。



「いたっ」


「この学校に来た以上腹くくれ。二つの校則は絶対なんだよ」



俺は羽毛田先生に向けていた視線を下の方へと落とす。

しょうがない。我慢しよう。どうせここに長居する気はないから。



「それで、ちょうどチームに入ってない四人がいてな。まあ、お前をそこに入れるってわけよ。うーん、と」



羽毛田先生は書類やお菓子などで散らかっている机の上から一枚の紙を取り出し、「はい」と俺に渡す。その紙には七星瑠奈ななほし るなと名前が書かれ、横には長い髪を一つ結びにした女の子の写真が貼ってあった。



「まずは探しやすい七星でいいだろう。この時間だと美術室にいるからな」



羽毛田先生は手を振りながら、ほいほいと早く出て行けアピールをしてくるが、俺は紙にもう一度視線を落とし疑問を持つ。



「こいつ俺と同じ二年ですよね。しかも隣のクラスだし。何でまだチームに入ってなかったんですか」



二年生ならば一年生の時にチームに入っていないと駄目なはず。それとも、もしかしてこの七星って奴も俺みたいな転校生なのか。



「えー、それ聞いちゃう?」


「聞きます」



明らかに面倒臭いと書いてある顔で見てきたが、俺は許さない。気になるし。



「この四人は周りが五人のチームを作っている中で遅れて残った子達なんだよ。四人だと五人チームは作れないだろ?だからそのまま放置していた時、永瀬が転校して来たわけ」


「え、何、絶対五人じゃないとチーム作れないわけ?」


「うん」



当然かのように返答する羽毛田先生を一発殴りたい衝動に絡まれ、ぐっと我慢する。

いや、待て。もし、俺が転校して来た今、俺を含めて残りの人数が四人だったとしたら、俺はチームに入らなくても良かった事になるのかよ。なにそれ。めっちゃムカつく。



「ほら、ぐだぐだ言わずに早く行け。このままだと下校時間になってしまうぞ」



俺が持っていた紙を奪い取った羽毛田先生は俺の背中を押し、職員室から追い出す。



「ちょ、俺、こいつに会いに行くってこと!?会ってなに言えって言うんですか!」


「そりゃあ、あれだ。チームになったから挨拶が必要だろ。美術室はこの廊下を右に真っ直ぐ行って下の階な。じゃあ、健闘を祈る」



たっ!



羽毛田先生に職員室の扉を固く閉められ俺はぽつんと一人廊下に残されてしまう。

いつか羽毛田先生をこれ以上ないくらい困らせてやる。そう心から思った。














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