第一話 とある俺、これからの異世界生活の戦略を練る!?
翌朝、俺はすがすがしい気分で目覚めた。
体力を回復すればお腹は空かないと思っていたが、見当違いだったようだ。
■ふわふわパンでお腹を満たした俺は、これからのことを思った。
「布団で散財してしまったからな。これから、どうするかな?」
せっかくダンジョンがあるのだから、アイテムを集めて売りさばくのも悪くない。ダンジョンの側に住居を移したのだから、それを大活用するべきだ。
しかし、俺は困ったことに気がついた。
「そういえば、俺は鑑定スキルが無いから、物の善し悪しが判断できないぞ?」
俺は、うーんと腕を組んで考える。
「となると、唯一アイテムが鑑定できている■ふわふわパウダーを売りさばいて生活するしかないか」
しかし、■ふわふわパウダーを『パンの冒険屋』では買い取ってくれないだろう。
あの店主の言い方だと、俺は何年分かの■ふわふわパウダーを売ったようだった。
ということは、あの収入は見込めない。
「うーん……」
俺は、立ち上がると窓のところまで歩いてきた。
窓を開けると、朝の清澄な空気が風となって部屋の中に入ってきた。少し肌寒いが心地よい。
早朝のせいか、ひとの話し声もまばらだ。
こんな朝早いのに、相変わらず露店があちこちに出ているようだ。
「露店か……。そ、そうだ。露店の店主に■ふわふわパウダーを売ればいいじゃないか!」
俺は、今すぐに『ダンジョン①』に行こうと思ったが、■ふわふわパウダーを手に入れるためには、■空き瓶がないと持ち運べないことに気が付いた。
「■空き瓶か。『パンの冒険屋』の店主に貰ったけれど、売るときに渡してしまったからな」
■空き瓶を手に入れないと、話にならない。しかし、散在してしまい持ち金がまったくない。あるのは、この■ふわふわパンぐらいだ。
「これを売ろう!」
俺は、■ふわふわパンを片手に、近くの露店まで出かけて行ったのだった。