第五話 とある俺、『パンの冒険屋』の依頼を完了させる!?
俺はすぐさま、『パンの冒険屋』に向かった。
上着の包みを抱えて、ドアを器用に開ける。
店の中は食事時を過ぎたせいか、客足がまばらだ。
店主がトレイを片付けながらこちらにやってきた。
「こんにちは~!」
「いらっしゃいませ~って、アレ?」
店主は先ほど会ったばかりの俺を不思議そうに見ている。
「先ほどの件なんですが」
「なになに?」
店主は興味津々だ。
俺は、カウンターの上に透明なビンを置いた。
スノードームの中のように粉雪のような物がふわふわしている。
「これ、もしかして■ふわふわパウダーですか? ダンジョンに滅茶苦茶アイテムがあったんですけど自信なくて」
間違っていたら無駄足だが、店主の様子を見る限りその心配もなさそうだ。
店主は目をキラキラさせながら、■ふわふわパウダーの入ったビンを手に取って確認する。
そして、何度も頷いた。
「そうだよ! こんな短時間で、すごいよ、君! これだけあれば、当分お店をやっていけるよ!」
俺は内心ガッツポーズだ。
「では、報酬をいただけますか?」
「10,000Sといきたいところだけど……」
「えっ!」
ところだけどというのは、少なくなるということなのだろうか。
気落ちして眉が下がりそうになった時、店主が指を三本立てた。
「この量だから、30,000Sでどうかな!」
3倍も割増しで貰えるなんて、願ってもないことだ。
「あ、ありがとうございます!」
俺は、店主から報酬の30,000Sを貰った!
報酬の■ふわふわパンを3つ貰った!
「何とかなった。良かった」
依頼を完了した俺は、そのまま自宅のアパートに帰って行ったのだった。