第四話 とある俺、ふわふわパウダーのせいで悩む!?
翌日、味を占めた俺は、他のとある露店の店主の元に■ガラスのビンを買い求めた。
しかも、今度は1つと言わず、抱えて持てる3つを買い込んだ。合計1,800Sの出費だ。有り金はほとんど尽きてしまった。けれども、これを成功すれば、28,200Sの収入が見込める。
「じゃあ、よろしく頼むよ、ブルーガ君!」
「はい! 任せてください!」
俺は、やる気満々で『ダンジョン①』に向かった。しかし、例の場所に来ると違和感があった。
「あ、アレ?」
古びたドアをそっと開けて、目にした景色に驚愕した。
「な、何だこれ!? なんで、こんなに新しい足跡が!? もしかして、俺の足跡……?」
足跡に俺の靴を合わせてみる。
しかし、どう見ても、俺の足跡の形とは違う。
「どういうことだ……?」
もしかして、モンスターの足跡だろうか?
ちゃんと靴を履いているモンスターっていったい何だ?
しかし、あたりを恐る恐る窺っても、何の気配もない。
俺は急いで退散するべく、■ガラスのビンに■ふわふわパウダーを詰め込んだ。
【ブルーガは、■ふわふわパウダー入りのビンを3つ手に入れた!】
「やったぞ!」
俺は、命からがら『ダンジョン①』から退却した。
とある露店の店主の元に駆けて行く。
俺に気づいたとある店主は、気まずそうに目を逸らした。
「約束の■ふわふわパウダーを持ってきました!」
「ああ、それなんだけど……」
なんだ? なんで、歯切れが悪いんだ?
俺は怪訝に思った。
「もう、■ふわふわパウダーは買い取れないかな? ゴメンね、ハハハ……」
俺は、ギョッとした。
「な、何でですか!? こうやってちゃんと持ってきたのに!」
「いや~……、先客がね、■ふわふわパウダーをたくさん持ってきたんだよ。だから、それをたんまりと買い込んじゃってね~……」
俺は、ブラックホールに吸い込まれるような錯覚に陥った。
「そ、そんな……!」
この時になってようやく全ての謎が解けた。
あの、足跡は、俺の秘密の場所を誰かに知られてしまったからだ。
そいつが、俺より早く店主さんに大量に売り払ったんだ!
「いや、露店はここだけじゃないからね、他で買ってもらってね?」
俺は、頭痛を覚えながら、他の露店を見て回った。
しかし、どの店も答えはノーだった。露店と言わず、ほかの店も見て回った。
結局、返ってくるのは要らないという答えだけだ。
「どうすれば良いんだ!? この分だと■ふわふわパウダーが当分売れないんじゃ……!」
唯一の収入源がなくなると、これからの生活が厳しい。
普通に『ダンジョン①』に行って、アイテム集めをするにしても、武器と防具がないのでは命が危ない。
「せめて、武器と防具を買っておくんだった……!」
俺の考えが甘かったのではない。
当分、あの■ふわふわパウダーを売って生活する予定だったのに、計算が狂ってしまった。
俺の計算を狂わせた元凶が悪いのだ。
「誰なんだ!? 俺の■ふわふわパウダーを大量に売り払った奴は!」
「僕だけど?」
背後から声がかかった。
まさか、返事があるとは思わなかった俺は、ギョッとして振り返った。
そこには、一人の魔法剣士風の男が立っていた。