ココロノアリカ
<ココロノアリカ>
【心】
人間の理性・知識・感情・意志などの働きのもとになるもの。
精神・心情・本当の気持ち
<関連語句> 関心、良心、本心、風流心、恋心――――――
ある人は呟いた。
「心はどこにあるのだろう?」
その一言には何の意味も無かったのかもしれない。
ただ、その文面通りの疑問だけがあったかもしれない。
その短い言葉の裏に、世界の秘密があったかもしれない。
今となってはもう、知りようのないこと。
わかっているのは、その一言が世界を変えたという事だけ。
わかっているのは、その一言の答えなんてありはしないという事だけ。
ある人は言った。
「心は胸にある」
と。心臓こそが心なのだと。
だけど、それは嘘だ。
心が胸にある。
それが真実なら、〝彼女″の笑顔はどうして頭から離れないのだろう。
どうして僕の頭の中は〝彼女″で溢れているのだろう。
ある人は言った。
「心は頭にある」
と。脳みそこそが心なのだと。
だけど、それは嘘だ。
心が頭にある。
それが真実なら、僕の胸はどうして高鳴るのだろう。
どうしてこんなにも痛むのだろう。
ある人は言った。
「心などどこにもない」
と。そんなものは幻想なのだと。
だけど、それは嘘だ。
心なんてない。
それが真実なら、どうして僕は生れたのだろう。
どうして〝彼女″を愛せるのだろう。
僕は言った。
「僕こそが心だ」
と。僕の全てが心なのだと。
どうやら、それは嘘じゃないらしい。
僕の全てが心。
それが真実だからこそ、僕はココにいる。
〝彼女″に生かされて、ココにいる。
〝彼女″を愛して、ココにいる。
〝彼女″を壊して、ココにいる。
それこそが証明しているじゃないか。
それ以上の証明なんてないじゃないか。
僕が僕である。
だからこそ、僕が心だ。
全身で〝キミ″を愛する、僕こそが、心なんだ。