大和×雀=ウイークエンドショッピングモールイチャラブ観察日記①
大和と銀の喧嘩の翌朝
昨日の喧嘩など銀の顔の痣以外、まるで夢だったかのように
大和と銀は周りが違和感を覚える程ごく自然に接している。
銀は自分だけ早々に皆が来る前に食事を終え、
建物の中をシロアリ駆除業者と打ち合わせをしながら徘徊し始める。
事前の再確認が終わり、基本は床下天井を中心に作業をするため、各部屋に影響はないが、念のために各部屋の電子機器類に影響がない事を確認すると、予定通り午前10時の作業開始を皆に告げる。
食事を終えた6人は間に合わせるように外出の準備をし、一旦入口に集まることを約束し、各部屋に戻って行く。
特にすることもなく、準備にも時間のかからない、千里と大貴は、何となくみんなと一緒に家を出る為、玄関横の椅子でくつろいでいると、
素人目にもわかるほど、いかにも高そうなジャケットと、カジュアルではあるが、高校生には不釣り合いな程大人びて洗練された服装で大和が出てくる。
Tシャツまで高そうな感じが見て取れるし、髪もちゃんとセットし、大和の癖にネックレスをして、そんなの持っていたかと言いたくなる革の財布に、スニーカーではなく革靴、さらには普段つけている所など見た事のない腕時計まで、服に切られているのではなく、着こなしており、素直に同性から見てもカッコいいと思える。
「大和、洋服には興味がないって言ってなかったか?」
かつてないほど、あぁ、そう言えばこいついいところのボンボンだったなぁと距離感を感じる千里が、『別に服なんて切れれば何でもいいよ』と過去の発言と現状の差異を糾弾する。
「興味ないよ。」
「ならなんだよ!その恰好は」
「いや、俺は別にどんな格好でもいいけど、二人で出かける時に俺が変な格好とかしてたら、一緒にいる雀まで、変な目で見られるだろ、だから最低これくらいはね。」
「出かける時はって、俺は1年以上一緒にいるが、お前のそんな格好見た事ないぞ」
「別にお前らといる時は、お前らも変なんだから、格好なんてどうでもいいだろ。それに、俺もちゃんとしたの持ってるのこれくらいなんだよ。これ高いし、そんなに普段から切ることないさ。大切な一張羅だからな。」
「あら何、みんな揃って私の事でも待ってた?って、うわ大和君その恰好久しぶり、ねぇ、湊見てみて大和君!」
「、、、久しぶりね。でも、ほんとこの時期に着るのはそれしか持ってないのね」
「うーん、実家に戻ればあると言えばあるけど、、自分で買ったのじゃないからあんまり好きじゃないんだよ。」
「高校生で見事なまでにブランドもの着こなせるあたり、やっぱり育ちの良さが出るわね。でも、大和君、まだ身長伸びてるから、そろそれ、その恰好もできなくなるかもね。」
「あー、それはまずいね。どうしよう、お年玉で下だけでも買いなおすかな。」
「その時は言いなさい。私も選ぶの手伝ってあげるわ」
「あ、私も、そういう服売ってる店。行ってみたい。」
「いや、別に普通だよ。それに俺自分で選びたいんだけどな、、、」
「おい、そろそろ男子寮の方から始めるぞ、入れなくなるが忘れ物ないか?」
「銀さんも出かけるんですか?」
「ん、、まぁな。知り合いの業者だし、いない方が気も使わなくていいだろ。」
大和とは違い、銀は髑髏の趣味の悪い上着に、ゲームのド派手な赤色のTシャツ、下は迷彩柄のハーフパンツに、年中履いているトレッキングサンダル。
右手に実用性のみを考えた大容量の登山用のリュック、左手はポケットに突っ込み、
上着のポケットには、イヤホンから音が駄々漏れの最近お気に入りの音声合成ソフトの音楽を再生中のスマートフォン。
大和と対照的なだらしない格好だが、素材の良さで、最低限のラインは維持している。
二人並ぶと、銀の残念さが際立っている。
銀は皆とは違い、違う場所に行くのに他人を待つなどという時間の無駄はしない。
鍵は開けっ放しでいい、貴重品は持って行けとだけ、いい残し、
自前のフレームの歪んだシティーサイクルで、早々にいなくなった。
「銀さんって、ちゃんとした服って持っているのかな?」
「昔、一人で俺んちに乗り込んできた時もあんな格好だったよ。重要なのは動きやすいかどうかだけなんだと思う。銀さん自分の興味の有る無しはっきりしているから、」
「すみません、お待たせしました。」
銀が出て行った後にようやく雀が出てきた、雀は白と水色のワンピースにつばの大きな帽子をかぶり、髪は普段したことのないツインテール。」
「ちなみに私コーディネートだから。好きでしょああいうの」
湊は大和に近づき、耳打ちするように話す。
大和は返答しないが、親指を立て「イイね」のサインを湊にする。
完全に大和の趣味だ。
「あの、変じゃないですか?私、制服以外だと普段ズボンばかりで、こんなに軽いスカートみたいなのじゃ、めくれそうで落ち着かなくて変な感じなんですけど、、それに帽子は、今日は日差しそんなに強くなさそうですし、いらないんじゃ」
「ダメよ、それは許可できないわ」
湊が断言する。
「どうしても外したいなら、両手で帽子を持っていなさい。」
「こ、こうですか?」
湊は満足げに力強く肯定し、大和はここの中で湊に対する評価が鰻の上りだ
「さ、全員そろったし出ようか?」
「そういえば大和君たちどこに行くの?」
「どこってわけじゃないんだけど、雀が今まで映画館行った事ないっていうから、
映画でもって、今日はたまたま1000円だしね」
「そうなんです。私映画館って初めてなんです!」
「何を見るの?」
「何決めてないけど、まぁ、そこは向こうで決めればいいかなって。」
「私、怖いの以外なら何でもいいです。」
雀の言う怖いのとは、ホラーだけではなく戦争映画や、アクション映画、悲劇を伴うヒューマンドラマも含まれる。つまりは、何でもの割に選択はかなり狭い。
「そう、それは楽しみね」
「そうなんです。あ、そうだ良かったら、潤さんたちも一緒にどうですか?」
雀に見えない位置から大和が明らかに不快のオーラを出している。
元より邪魔する気などないのに嫌な感じだ。
「せっかくだけど遠慮しとくわ、私用事あるし。」
「私もパス」
「俺たちもな、」
「どうせ見るならビッグバジェットのアクションだし、今は特に見たいものもないしね。」
「そうですか、それは残念です。」
「それじゃ、行こうか」
6人は業者さんにあとはお願いしますと、丁寧に挨拶をして家を出る。
潤は業者さんの為にお茶とお昼のおにぎりと簡単なおかずを用意している気のききよう
「それじゃ、私たちこっちだから、」
「え、そうなんですか、分かりました。」
4人は大和と雀を見送り、角を曲がって見えなくなるまで見送りを続けた。




