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神鳴寮  作者: MASA
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大和×銀=男二人の真剣勝負外道編 2本目!!

「さて、次はどうする?そうだな俺のお勧めはサイコロで大きい目が出たら勝ちか、それともくじ引きか、まぁその手の物だと俺の頭の良さは関係ないから間違いなくお前が勝つからお勧めだぞ、」

「それじゃ、勝負する前から俺の負けだろうが、ちょっと待ってろ」

怒りと悔しさが入り混じる感情の大和は雀や順に励まされながらいったん部屋を出ていく。

「、、、、君はいいのか?大和を励まさなくて」

「、、別にたかだがゲームで負けただけでしょ、落ち込む理由が分からないわ。」

部屋に残った湊に銀が話しかける。

「その通りだよ、たかだかゲームだ。そんなものにでも熱くなれるから、俺は毎日が楽しいんだよ。君には到底理解できない感情だよ。

くだらないと思えば、そこに一切の価値を見いだせず、実益が伴わなければ一生懸命にもなれない視野の狭い君にはね。」

「ムカつく言い方ね。だから私、銀さんの事嫌いなのよ」

「奇遇だね。俺も人が熱中する物を、自分の価値観だけで決めつけるつまらない大人みたいな考え方をする人間は嫌いさ。そうだついでに聞かせてくれよ。

湊にとって熱くなれるもの、価値ある物は何なのか」

「私は、勉強よ。将来の為に遊んでいる暇はないの

「勉強は島を出ないとできない事かい?それは知らなかった、で、それで?」

「それでって何よ?」

「勉強というのは何かを学ぶためだ。君の語る勉強とは高校での授業、その勉強をするのは何のためかと聞いているんだよ。」

「何のためって」

「将来なりたいものでもあるのかい?

No、君は20歳で婚約者と結婚する事を受け入れている。

もし、それが君の夢だというのなら、時代錯誤の花嫁修業でもしてればいいさ。

両親の様に医者になりたいのかい?

No、君は両親の事を尊敬などしていない。

就きたい職業があるのなら、将来叶えたい目標があるのなら、自分でそれに向って思いくらいはせられるはずだ。なのに君は口を開けて与えられた知識を蓄積するだけだ。

いい大学に行って、楽しい大学生活を満喫したいのかい?

No、君自身感じているんだろう、この中で自分が最初に神憑きに目覚めるであろうことを、そしてそれを受け入れている。だから君の進路希望にはいきたい大学がない。」

「見たの!」

「1学年しか違わずとも、ここでの身元引受人は僕だ。学校から君たちの両親に行く資料は目を通してある。」

「最低!」

「つきたい職業が、やりたいことがあるわけでもない。

俺は始まる前から諦めている人間を、漫然と生きる人間が大嫌いだ。

そしてそんな人間が他人が一生懸命になっている事を見下すことは我慢らないんだよ。」

その威圧に思わず湊は身を半歩引く

「だってしょうがないじゃない、受け入れるしかない。私たちはそういう運命に生きている。私たちは憑代である雀とは違う、決して島の運命からは逃れられない。

夢を見るだけつらいだけよ。」

「君はせっかく島を出た。」

「一時的なものよ何の意味もない。私は別に島にいたままでよかった。

外の世界を見たところで、結局変わらないなら知らない方がいい。

私がここにいるのは両親がそうする事で親の役割を果たした気になれるから。

残酷よね、結局期限付きの自由なのにそれで娘にしてあげる事をしてあげた気になって。

それに、あなただって、偉そうなことを言った所で、何もできないでしょ。

結局雀を助け出せたのは、あなたのおかげなんかじゃない、大和君のおかげ。それとも何、あなたなら私たちを開放できるとでもいうの」

「もし、俺が神鳴島の楔を解き放ったとして、君は何を求める。自由になれば君は何を求める。」

「、、、考えるだけ無駄よ。さっき言ったでしょ、かなわぬ夢なら見ない方がいい、もし、や仮定するとなんてものに意味なんてないの、」

「なら、問題ないこれは仮定の話じゃない。俺は君たちを開放する。」

「何かできるっていうの?」

「今はまだ何も、でも近いうちに必ず」

「そんなの無理だわ」

「やってみないとわからないさ、神鳴島が神鳴島と呼ばれ始め、神憑きが生まれたのはたかだか1000年前、それまではそうではなかった。ならできないとは限らない。というかそもそもこの1000年間、この世界には俺がかかわっていなかったそれだけの事」

「あなたに何が出来るの、あなたは私たちをどうしたいの?」

「気に入らないだけさ、神が島が、そしてあそこに生きる人間が、そうだな、約束しろ、俺が、君たちの呪いを説くことが出来たら聞かせろ、湊がしたい事、湊が本当に価値があると思える事を」

「本気で言っているですかそんな事」

「当たり前だ」

「相手は神ですよ」

「だったら俺は神殺しか、いいね、厨設定だ、箔がつく」

銀は笑う楽しそうに、歪に禍々しく、なぜだろう、そんなこと絶対にできないとわかっているはずなのに、彼なら本当にやってしまいそうな気がする。

そう感じた湊の心の中に一つの不安が走る。自分は運命を受け入れ仕方がない事だと思っている。でももし、それが本当に変える事が出来たなら、神憑きに目覚める事もなく、

村長が決めた婚約者と結ばれる必要がなくなった時、自由になる反面、

将来の揺るがぬ道筋が消えてしまう。湊はそれを不安に感じていた。

彼女が努力する理由。その源流にあるのは他人に認めてもらうため。

他人に尊敬されたいため、もし、神憑きみ目覚めても、それまで人に誇れる生き方をしていれば、仕方がなかったと思える。周りの人間もそう思ってくれる。

彼女は本当は凄い人間なんだ。尊敬は永遠のものになる。

でもそうでなくなった場合、彼女はずっと結果で証明しつづけなければならない。

老いて死ぬまで、努力しつづけなければならない確証も保証もないそんな中で、彼女はそう考えると不安になって切ってきた。

「馬鹿みたい、私、銀さんと話している暇なんてないの自分の部屋に戻るわ。」

「、、、、銀さん言い過ぎですよ。あれ、結構ダメージ受けてますよ」

「悪い、明日でも謝っておく。俺も内心言い過ぎていると思ったが、人が真剣にやってるのを馬鹿にされているみたいで我慢ならなかった。」

「相手がだれでも気に入らなければ容赦なしですね。」

「まぁ、それが銀さんらしいっつぇばそうっすけど、今回のは正直きつかったかな。

つか銀さんうちらの事情に平気で入り込んできますよね。」

「事実は変わらないからな、ま、期待していてくれ。いや、覚悟していてくれか、さっき言ったのは、俺は本気だぜ。」

「ま、うちらはどっちでもいいって感じっすけど、」

「そうだね、でも、もし銀さんがやるっていうなら銀さんが嫌がらない程度には手は貸すよ。」


「あれ?湊は?」

「飽きたからって部屋に帰ったよ、、、、、次はそれ?」

大和は自分の部屋から将棋盤と駒を持ってきてテーブルの上に置いた。

「将棋、、、本気か?」

「あぁ、これなら、運の絡む要素はない、実力が上の方が必ず勝つ、小細工なしだ。」

「はぁ、これじゃ、欠片も勝ち目がないじゃないか」

「なめんなよ、これでも将棋はじいちゃんとやってたんだ、そこいらの奴と一緒にすんなよ。」

「はぁ、分かったよお前がこれがいいっていうならこれでいいよ。まったく、何考えてんだか」

「余裕そうだな、」

「別に、そう見えるか?」

「あぁ、」

「そうかそれは何より、ちょっと待ってろ、これだと長引くから、俺も部屋から取ってくるものがある。あぁ、ちなみにルールは?」

「ルール?ルールの何も将棋だろ」

「そうだけど、将棋なんだ、そのなんだ、持ち時間的なものだとか、途中で席を離れちゃいけないとかそういうのだよ。」

「別に厳密に決める必要はないだろ、まぁ、あまりの長考はどうかと思うけど、銀はそんな時間を使うタイプなのか?」

「いや、たぶんそんなにかからないと思うぞ、じゃあ、なんでもありでいいか?」

「あぁ、構わない。」

そう言って一旦部屋を離れた銀は5分後戻ってくると不遜な態度で、席に座る

「それじゃ、時間制限なし、相談ありの何でもありで、そっちはみんなで知恵を絞っていいぞ。」

「相談必要ありませんね。」

「そうか、それじゃ、俺は困ったら大貴の知恵でも借りるか。」

「え?僕?銀さん僕、将棋はちょっと、ほとんどやったことないよ」

「大丈夫だからそれで問題ない。さそれじゃ、始めるか、先手はくれてやるよ。わずかばかり有利なんだろ。」

「、、分かりました。いいでしょうどっちでも僕が勝ちますから、、、、、」

「なんだよ、」

「携帯くらいおいたらどうですか?」

「俺はこれで全力なんだよ。御託はいいからさっさと打ちな、なんでもありって言った以上は、別に対戦相手が携帯いじってて問題ないだろ、心配するな、別に手を抜いているわけじゃない。気に入らないなら置かせるくらい真剣に打たないと負けると思わせればな」

「いいでしょう、後悔しないでくださいね。」

開始と同時に黄色い声援がまた飛び出す。

今回は、千里と大貴も、潤と雀がルールを知らない為、

解説係で大和側から盤面を見つめる。


そして開始から30分後、だんだんと銀の打つ手が早くなり、大和の思考時間が長くなっていたが、とうとう大和の手が止まった。

「ねぇ、さっきから大和ずっと考えこんでいるけどどうしたの」

「これは、、、詰んでるだろ。」

「あぁ、やっぱり、、これは流石に僕でも分かる、、」

「詰みっていうのは、これ以上どう打っても勝ち目がないってことだよな。」

銀の口から信じられない質問、

「えぇ、そりゃ。」

「だってよ、大和どうする、負けを認めるか」

「、、、、、、負けました。」

「やまと君、、、、」

「というか銀さんどれだけ強いんだよ。俺も大和程じゃないけど、将棋は結構強い方だけど、強過ぎだろ、ゲームなら負けなしかよ。」

「将棋はルールを知っているくらいだ。実際に打つのは今日が初めてだ。あれだな、パチンって駒置くの難しいな、全然できない」

大和はうつむいたまま、悔しくて握りこぶしに力を入れる。

「そう落ち込むな、お前は弱くないぜ、」

「ここまで圧勝しておいてよく言いますね。特になんですか終盤はほとんど考える時間もなくあんな手を打つなんて。」

「嘘じゃないって。お前の腕前は2段並み、と先生はおっしゃっております。」

そういって銀は携帯の画面を見せる、そこには将棋盤が映し出されている。

「銀さんこれ、、、」

「あぁ、VNCで俺のディスクトップにつないである。

そこからさらに、VPNはって入り口につけてる監視カメラを借りてる大学のコンピュータに繫がっている。工学科のゼミの生徒が将棋好きでね、その人がテストで使っている将棋ソフトの入ったPCにリクエストを出して結果を帰してもらっている。」

「VNC?VPN?」

「ヴァーチャルネットワークコンピューティングの略だ。まぁ、PC同士のリモートディスクトップみたいなものだ。VPNはヴィジュアルプライベートネットワーク。一般回線を専用回線みたいにして使えるサービスだ。

携帯から直接VPNはっても向こうのPCは操作できないからな。いったん自分のPCを経由している。俺のスマートフォン若干操作しにくいけど、流石大学の、12台並列化してるらしいんだけど、もらった自前のPCで動かすのと比べても段違いで早いな。

でも、コンピューターは終盤に強いとは聞いていたが、その言い方だと本当みたいだな。」

「それじゃ、イカサマ?」

「だから、最初に言っただろ、これじゃ、欠片も勝ち目がないじゃないかと」

「え、あれって大和が勝ち目がないっていうのじゃなくて?」

「まともに遣ったら俺の勝ち目がないって言ったんだ。

だから大和がルール無用っていうまでテンション低かっただろ。」

「こんな勝ち方して嬉しいんですか」

「負けるよりは、それに本気で悔しそうな大和の顔が見れて俺は満足だ」

銀は断言する。

「銀さん、これはちょっと僕でもひどいと思うよ。」

「俺は嘘はついていないし、ルールにも違反していない。」

「うわ、なんか小学生の理屈みたい。」

「銀さん、これはいくら何でもないでしょ」

「銀さんの卑怯者、やまと君が一生懸命勝負してたのに!」

雀をはじめ全員からのバッシング、それを心から楽しそうにしている辺りが、本気で銀が駄目な所なのだろう。

「じゃあ、いいよ、銀の勝ちで、俺は銀が悔しがる顔が見れればそれでいい普通に負けるよりも収穫があったというもの、さ、最後はどうする何で勝負する。」


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