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神鳴寮  作者: MASA
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全員集合!

沈む空気の中、時計を見て8時半を過ぎているのを確認すると銀は遅くなったと、夕食の準備をしに台所に向おうと、立ち上がる

いつもなら7時半には夕食だが、今日はこんな事をしているうちに遅くなってしまった。

幸い米は炊いている。ちゃちゃっと簡単なものを作ろうとみんなの同意を得て居間を出る

「あの、私も手伝います。あ、、」

「いいよ、行ってきな」

ふすまを越したところで、雀は何かを察し、銀の許可をもらい玄関に走っていく

「大和君、お帰りなさい」

「ただいま、ん?まだ制服、どうしたの今帰り?」

「そういう訳じゃないんだけど、皆で話してて、それで」

居間から残る4人が身を乗り出し姿が見えないが、雀と帰ってきた大和のやり取りを盗み聞きする。

「よく、帰ってきたの分かったわね。」

「玄関開ける前に気付いてたよ。もうあれだな、忠犬スズ公的な動物的な勘だよ。」

「銀さんも気づいてたみたいだったけど、」

「俺のは、防犯アプリだ。うちの門をくぐるとセンサーが監視カメラが反応して。この携帯で見ることが出来る。」

「そんなハイテクなものがこの家に、、」

「とはいっても、その速度で見えるのイントラ内の家の中だけ、外出先だと、VPNをはれば見れるけどもっと重くてラグがあるけどな。、、、なんだその目は」

「他の所に仕掛けてないでしょうね?」

「するわけないだろ、これはまだテスト段階のものだ。まだそれほど作り込めてない」

「作り込めてないってこれ銀さんが作ったんですが?」

「全部じゃない。基本は既存品だ、俺がしたのは赤外線感知連動通知機能とウェブサーバーでのファイル参照機能だ。まだ遠隔操作はできないし、重い誤作動も多い。

ちなみに、さっきから湊が何かやましい事をしていると思い込んでいるようなので言っておくが、ちゃんと門の所と玄関の所に俺が手書きで防犯カメラ作動中と張り紙をしているだろう。まだ直接言っていないのは実験中で入れるかどうか決まってないからだ。」

記憶をたどると確かに、張り紙の記憶が、

しかし手書きであったし、こんな古い屋敷にあるとは思わず、偽物だと思っていた。

「あ、そうだ、雀、うるる、あぁ、ちょうどいい湊もいたか。というか銀も、全員いるって珍しいな」

「何よ、いちゃ悪い?」

「別にそういう意味じゃないよ、癪に障ったなら謝るよ。で、湊さ、甘いもの大丈夫か?」

銀とのやり取りでイライラしている湊は帰ってきたばかりで関係のない大和にもきつく当たるが、大和が素直に謝った事で罪悪感が芽生え、冷静になる

「そりゃ、好きだけど」

「よかったプリン大丈夫か?」

「プリン?」

「あぁ、ほら、駅ビルに昨日オープンした店あるだろ。あそこのプリン。なんかみんな並んでて、並ぶほどおいしいのかってながらせちゃって。

俺も日本人だな、て思いつつ並んじゃってさ。でも1個だけ買うのも悪いだろ。

5個パックで買ってきたんだけどさ、生ものだから今日中に食べた方がいいって言われたけど、俺1つしかいらないし、銀は甘いもの嫌いだろ。」

「あぁ、嫌いだ。和菓子なら考える。」

地獄耳で台所から返事をする

「だからどうしようって思ってたところなんだ、食べるか」

「嘘っ!買えたの!普通買えないわよ」

潤が立ち上がり食いついてくる。

「そうなのか?じゃあこれも力のせいなのかな」

「いいの貰って?」

「喜んでもらったなら、何より、どうする今食べる?

夜ごはんまだみたいだし、後からにする?」

喜んでもらった事が嬉しかったのか大和は潤に微笑みかける

「優勝」

潤は大和の腕を上げる

「え、何が?」

「何って、恋人にあげるなら何を上げるか選手権、もう、大和の圧勝。」

「はぁ!お前それ1個いくらだよ!」

「5個でちょうど千円と、1個だけ別で、それが350円だったから、、、、」

「無粋ねぇ、値段じゃないのよ。このハピネスプレイスレス。

限定品だよ、手に入らないだよ!

馬鹿じゃないの比べるまでもないでしょ!」

銀は食事の準備にまだ時間がかかる為、先に食っていろと、銀に指示する。

銀は促されるまま、今のテーブルの上にプリンを並べる。

すると一つだけ違うホイップクリームとイチゴが乗ったプリンを雀の前に置く

「それ雀のだから、あんまり食べた事ないだろ、こういうの」

「え、でも、これみんなと違います。こっちの方が偉そうです。これは大和君が食べた方がいいと思います。」

「ごめん、俺生クリームダメなんだ、それは雀用、それともみんなと同じ方が良かった?」

雀は周りを見回す

「僕たちはただでもらってるわけだから、こっちでいいよ。」

「私はそんなごちゃごちゃしたのは好きじゃないわ」

「私もこっちでいいよ。せっかく大和が愛をこめて雀ちゃんに買ってきたわけだし。」

「そうなんですか?」

にやける潤に真面目に、尋ねる雀、物事には動じない大和であっても流石に内心はドキドキだ。だが、それでも大和は自分のイメージを守るために、

否定するわけでもなく、平静を装うように対応しようと

「別にそんなんじゃないよ、雀が喜ぶかなって思っただけだよ。」

そう言ってあえて雀を子ども扱するように頭を撫でる。

華奢な雀の頭は大和のそれに耐えきれず頭が左右に揺られてしまう。

「わぁ、ありがとうございます。」

見事雀、本人はごまかせたようだが、千里からは心の舌打ちが聞こえてくる。

みんなで食べようとした時、あんなに喜んでいた、雀が少しも食べようとせずに何かを考えている。

「どうかしたの?」

心配した湊が声をかける。

「湊、このあいだ、大皿使ってただろ、あれ、どこにしまった。」

銀が、料理をよそう為の皿の場所が分からず、前回銀が最後に使っていた記憶のある奏でに、タオルで手を拭きながら尋ねに来る。

すると雀は、プリンを持って立ち上がり、銀に近寄って行く

「あの、銀さんも一緒に食べましょ、私の半分上げます。」

「あ、そう、じゃ」

銀は躊躇いなく、雀のプリンの上に載ったいちごのヘタを掴み、そのまま口に運ぶ

「え?、、、、、、」

銀の顔をプリンの間を何度も目線を移動させる。雀

、、、、、、、ぶわっ

状況を理解した雀は、思わず涙が出そうになる。一番のメインのイチゴを銀は躊躇ないなく、手を伸ばした、それは雀も予想外だった

「銀さん、最低、、」

湊だけでなく、潤も、冷たい目で、銀を見つめる

「あぁ、その目イイね!。冗談だよ。食べたふりだ。」

銀は手の内側からいちごを戻す。まるで手品でもするかのような流れる、手さばき、全員の目に本当に食べたように見えた。

「ヘタの部分しか触ってないし、ちゃんと手を洗っているから大丈夫だよ。」

「でも、銀さんだけ、」

「あぁ、心配するな」

そう言って銀は台所にある銀専用の大型冷蔵庫から、雀よりもさらに豪華なプリンを取り出してくる。そして、2つ乗ったイチゴの大きい方を雀のプリンの上に載せる。

「俺はこれがあるからいい。」

銀はあっけにとられる皆を見て楽しそうに笑う。

「言ってなかったか?今日、植松電気にエアコン持ってきてもらった時に、設置の手間がかからない分、値引するって言ったんで、断ったんだ。

そしたら代わりにってもらったんだ、みんなの分もあるぞ。何か問題でも」


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